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「エレニカさんって元から強かったわけじゃないんですか?」

全然投稿できずすみませんでした...!

 決闘場を出る前に休憩室で一旦休むことにした。


 ここまで緊張することは戦闘に関してはここ最近あまり無かったので一気に疲れた白亜である。


「お疲れ様。どうだった?」

「強かったです……」


 エレニカに手渡された紅茶に口をつけてため息をつく。


 緊張の糸が切れたと自覚するのは本当に久々だった。


「一応あいつそこそこ長生きしてるしね。でもド素人だったろ?」

「はい、戦闘に関しては」


 そこについてはオブラートに包むつもりは一切ない二人である。


 相手が素人だからこそ、ようやく白亜は勝てたのだ。


「あいつ、生まれが恵まれてるから鍛錬するって知らないんだよ。俺の強さも元からだって考えてるし」

「エレニカさんって元から強かったわけじゃないんですか?」


 白亜にそう言われて、エレニカはきょとんとした。


 数秒の間の後に小さく笑う。


「ああ、言ってなかったっけ? 俺昔は結構弱かったよ? 君と同い年だったら君に瞬殺されてるね」

「そう、なんですか」

「そうそう。まぁ瞬殺ってのはちょっと語弊があるけどね。俺基本死なないから」


 エレニカは最初から無敵だったと言われても納得できるのだが、逆と言われると全く想像がつかない。


『しかし、他の神を生み出せる力があるのでは?』


 気になっていたのか、シアンもエレニカに質問をし始めた。


「んー……俺の息子たちの場合は勝手に発生する感じに近いからあんまり【作ってる感】ないんだよね。体力無限のただのでかい鳥くらいの認識でいいよ?」


 自己評価がいろんな意味で凄い。


「確かに力の総量で言えば昔からトップクラスだとは思うけど、俺の場合……心臓が複数ある感じかな。30個くらい心臓があるって考えてもらえばいいか?」


 心臓が30個ある、ほぼ不死身のでかい鳥……なんとなく白亜は想像つかなかった。そもそも心臓30個ある利点はなんだろうか。


 心臓が増えたら、それはそれでエネルギー使いそうである。


「心臓を一個使って子ども作れる……って言えばそれっぽいかな。俺の場合自分の意思で作ることは少ないけど。一個使ったらもう俺には戻せないから、その点だけ見れば俺は弱体化してるよ。昔に比べて出来ることは圧倒的に多いし、なんだかんだあって魔力とか神力も今が一番あるから、今の俺が最強なのは間違いないけど」


 そもそも、基本的に神は老化しない。何か特殊なことをすると老化に似た現象は起こるらしいが、滅多にないのだ。そのため肉体の全盛期という概念は存在しない。


 経験と知識だけが積み重なるので最新の状態が最強なのである。


 稀にそうならないこともあるのだが、基本的にはそうらしい。少なくとも白亜の顔見知りは全員そうだ。


「心臓を使って、ですか」

「わかりやすく説明するとそんな感じかな。俺が分体を何百体も作らないのも俺の心臓の残りがかなり少なくなってきたからなんだ。心臓使わなくても作れるんだけど、性能落ちるからね。分体なら消した時に心臓は本体に戻るからあまりリスクはないし」


 心臓を使って他の神を生み出した場合はその神に定着してしまうのでエレニカにはかえらないが、自分自身の分身を作る程度なら心臓は戻ってくるらしい。


「じゃあ今エレニカさんの中にある心臓って幾つなんですか?」

「えっと、分体の個数引いて……今は5個かな。これ以上減ると本体の運動機能に影響が出るから減らせないんだ。可能なら大量に分体作って仕事で楽したいんだけど」


 分身作れるのならなぜ量産しないのだろうと何となく思っていたが、作れない理由があったらしい。


 エレニカは紅茶を口に含んでから小さくため息をつく。


「そんな事情もあるから、俺みたいに神を生み出せる神はほとんどいなくなっちゃったんだよね。基本死にはしないんだけど、心臓全部使っちゃったらどうなるか分からないしさ」


 エレニカの場合、神を生み出すこと自体のコントロールが効かない。勝手に心臓を使って勝手に生まれるので、心臓を使いたくないと思っていてもエレニカの意思に関係なく消費されてしまう。


 いつ使い切ってしまうのか、予測がつかないのだ。


「双子が生まれれば俺は一気に二つの心臓使うことになるから、さらに弱体化する。いつどうなるか分からないってことは、寿命と捉えることもできるかもね」


 あと数年、という単位ではないだろうが、何百億年も生き続けているエレニカの感覚からすれば、それほど長い時間ではないのかもしれない。


 そんな話をしていると、突然休憩室に誰かが乱入してきた。


「エレニカ様!」

「はぁ……来やがった……」


 当然と言うべきか、何と言うか。


 その場にやってきたのは頭から血を流しているレーグだった。結構な出血量であるが、エレニカはそんなレーグを見て普段浮かべている笑みを軽く歪めた。


 どうやら先ほど頭から窓に突っ込んで大怪我を負い、そのままの状態でここまで来たらしい。


「私は負けていません! その元人間が何かおかしな事をしたはずです!」

「……黙れ、見苦しいぞ。たとえそうだとして、成ったばかりの下級神に自分から仕掛けて負けている時点で、もう覆らない。……そっち有利の戦いに付き合ってやった事、忘れてんじゃねぇ」


 キレている。エレニカが明らかにキレている。


 白亜の満面の笑みで破壊を繰り返すキレかたも中々怖いが、エレニカのはシンプルに恐ろしい。


 普段からどこかフニャッとした笑みを浮かべ続けているエレニカだが、ここまで真顔になると異常な怖さを感じる。


 声を荒げる訳でもなく、静かな怒りかただ。だが、キレているのが一瞬でわかる程言葉が荒い。


「で、ですが……っ」

「言い訳するな。これ以上ハクア君に突っかかるのなら……俺が相手してやるよ。細胞単位で再生を繰り返さなきゃ戻れないくらいに切り刻んでやろうか? 俺の血を混ぜて永遠に体の中から燃やしてやろうか? どちらにせよ、完全復活まで500年はかかるだろうな。そうなりたいのなら好きにしろ」


 内容も普通に怖かった。

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