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「全く……なにやってるんだ。情けない」

キリの良いとこで終わらせたのでちょっと短いです。

 白亜がひかり達と別れる少し前。東京では日本組一同が集まってエリスの認識改変がうまくいっているかなどを話し合っていた。


「うちの母さんなんかエリスちゃんまた遊びに来ないかな、なんて言ってるよ。あの人の魔法効力強すぎだろ」

「だねー」


 途中から白亜の妬みに話が移っていったが、そんな感じである。


「キャアアアァァァ‼」


 そんなに遠くないところで悲鳴が上がった。


「やだ、もしかして昨日と同じ状況だったりする?」

「……するね」

「まじかよ」


 全員顔を見合わせて悲鳴の方へ急ぐ。


「ヤバイぞ!一機じゃない!」

「やるのか!?」

「やるしかないだろ!武器になりそうなもの誰か探してきて!」


 周辺は混乱している人ばかりで思うように動けない。


「不味い!」


 一般人に襲いかかろうとしていた二型を思いっきり蹴り飛ばす。


「いってぇ!メタルタートル並みにいてぇ!」

「なに馬鹿なこと言ってんの!戦わなきゃいけなくなったじゃない!」

「仕方ないだろ!」

「そこ!喧嘩するなら時間稼ぎくらいやれ!」


 戦いはここ二年で慣れきっている。しかし、体は異世界に行く前なので思うように動かない。


「俺ってこんなに疲れやすかったっけ!?」

「しゃべってる暇があったら海道さんに連絡してよ!」

「携帯返してもらったからあの人持ってないよ!」

「そうだったぁぁ!」


 白亜ならば武器をその場で調達出来るのだが、生憎連絡手段がない。


「キャァ!」

「エリス!?」


 エリスの悲鳴に一瞬気が逸れてしまった。


「っ!?」


 気づいたときには眼前に鋭い爪が迫っており、周囲が助けにいっても間に合わない状態になっていた。


 痛みに備えて歯を食い縛り、腕で顔を庇う。


 顔に届く直前、なにかが目の前に飛び込んできて、盛大な金属音が鳴り響く。


「全く……なにやってるんだ。情けない」


 白い金属の棒を片手に持ち、魔獣の爪を軽々と支え、肩に男を担いだ………


「「「白亜さん!」」」

「……おい。本名で呼ぶなよ」


 至極面倒臭そうな口調で、そう言った。


「遅いし、力ないな、お前」


 低い声でそう言い放ち、アンノウンを振ると紙切れのように吹き飛んだ。


「スゲェ……。流石だ……」

「テレビで放送してたから来てみたが正解だったな。後は俺がやる。下がってろ」

「は、はい」


 因みに、グラキエス。白亜のスピードに目を回して気絶している。


「グラキエス。起きろ」

「はっ!?」

「起きたな。一般人に被害が及ばないようにしろ」

「りょ、了解いたしました」


 用件だけ伝えられて若干戸惑うグラキエスだが、周囲の状況を見て察したようだ。流石は白亜の配下である。


 白亜は一本だけのアンノウンをくるりと手で回す。すると服の中から三本出てきて一本の長い棒になった。


『やっと出番か』

『お前を使う程でもないかもしれんが。まぁ、保険だ』


 気力を流すと、模様が淡く光っていく。


「俺の弟子に手を出したんだ。相当の覚悟はできてるよなぁ?」


 戦闘モードに入り、ニヤァ、と不敵な笑みを浮かべる。


 トントン、と靴をならす。すると、白亜がフッと消えた。すると、周辺の魔獣が一斉に空に浮いて、地面に叩き付けられた。


「「「!?!?!?!?」」」


 全員の思考がストップする。その間にも右へ左へ、魔獣が突然空を舞う。


「こんなもんか……」


 突然白亜が目の前に現れた。もう戦闘モードは解除されている。つまり、


「今の一瞬で片付けたんですか……?」

「こいつらそんなに強くないしな。俺が唯一勝てなかったやつの時の敗因は疲労だし、万全の状態で一騎討ちだったら俺は勝ててたぞ?」

「マジかよ……」


 コキコキと首をならす白亜。


「ここまで目立っちゃったから、俺たちもう帰るな。何かあったら連絡をいれてくれ。エリスさんの箱の中に手紙いれてくれればこっちに届くから」

「は、はい」

「じゃあな。行くぞ、グラキエス」

「畏まりました」


 白亜は何事もなかったかのようにスタスタと歩いていく。いや、本当に白亜にとっては何もなかったのだろう。ただ、道の途中で邪魔なやつがいたから排除しただけ。


 白亜にとってはそんなものなのである。


 身体強化も魔法も気力も一切使わない、ただ棒を振り回しただけ。それでこの破壊力である。


 やはり、白亜は化け物だ。


「そこの君!」

「………包囲網出来上がってるな」


 いつの間にか警察に囲まれていた。


「署までご同行願おう」

「お断りさせていただきます」


 声色をなんとなく変えて、早口で言う。


「では……どうなるか、判るか?」

「そんなもの向けてどうする気ですか?」

「ついてきてもらおうか」

「お断りさせていただきます」

「これがなんなのか知らないのか?」

「知ってますよ?グロックですかね」


 まさか拳銃の種類を言われるとは思っていなかったらしく、分かりやすく一瞬固まる男性。


「銃刀法違反で現行犯逮捕する」

「武器なんて持っていませんが?」

「その棒はなんだ」

「あー……。なんでしょうね」


 ガッツリ武器だった。


「特殊警棒みたいなもんですけど、これって捕まるんですか?」

「駄目だな」

「じゃあ……逃げるか」

「なっ!?」


 そう言ったときには既に白亜の姿はなかった。グラキエスも居ないので即行で逃げたのだろう。


「白亜さん……。全く……」


 盛大にため息をつく日本組だった。








「逃げ切れたかな」

「大丈夫だと思いますよ。この速さについてこられる人間など殆ど居ませんから」

「確かにそうだけど」


 魔方陣が書いてある紙を地面に広げ、何かを書き込む。


「乗って」


 グラキエスを上に乗せて自分も乗る。魔方陣の端に触れて魔力を流しながら、節約するために詠唱をする。


「我、神の血を引く者。この世の理を歪め、別の地と一時的な繋がりを作りし者。時空を超越し、別世界へとの架け橋になれ。異世界転移!」


 一瞬暗い路地が光に包まれ、後にはすべて消えていた。

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