「これ、貴方なら幾らで買いますか?」
立体プログラムを立体ホログラムに変更しました。
「あ、でもよくよく考えたら金庫今開けに行ったら矛盾が生じる」
「今更ですね……」
死んでいるはずの人間が開けに来て持っていったら普通に考えたら泥棒でしかない。
「じゃあやっぱりこれを裏に流すか……」
掌サイズのクリスタルの様な宝石をポケットから取り出す。
「裏ってなんですか」
「だから、聞かない方がいいって」
「50年前とは色々違うかもしれませんよ?」
「そこなんだよな。……この時代にネットってまだある?」
「勿論」
一本の棒のようなものを鞄から取り出す。
「なにそれ?」
「携帯ですよ?」
「おお。俺の時代はスマートフォンだからな」
「わぁお」
棒についているボタンを押すと空中に画面が現れた。
「立体ホログラム……なんか映画で見たことあるな」
「映画の世界なんですね」
「そうだな」
検索画面を出し、白亜が色々と操作する。少し見ただけで使いこなせる辺り、やはり天才なのだろう。
「見つけた」
「嘘」
皆揃って画面を見ると裏サイトの様なものがデカデカと映し出されていた。
「これ警察にばれるとヤバイものじゃないですよね?」
「大丈夫だと思うけど。まぁ、証拠はでないように開いてるから気にしなくていいよ」
「使い方わかってるところが怖い」
スッと指の動きにあわせて地図が表示される。
「ここ……大手質屋ですね」
「そう。じゃあここに近いみたいだから行ってくる」
「大丈夫ですか!?」
「まぁ、なんとかなるだろう。ヤバそうだったら逃げるだけだし」
「海道様ならば逃げ切れるでしょうしね」
「「「俺らは!?」」」
日本組を放って白亜がもう行ってしまう。その後ろにグラキエスが付いていったが不安しかない。
「大丈夫かな……」
何かあったら全力で逃げようと覚悟した日本組だった。
「海道様。策はあるのですか?」
「ああ、一応な。こっちの素性を一切調べさせないようにこれを売り付けることだって不可能ではないはずだ」
服のフードを深く被り、ハイネックのインナーで口元をなるべく覆う。
「ま、どうなるかは不明だけど」
そう言って裏口から入っていった。
「君!そっちから入られると困るんだよ」
「あ、すみません」
普段とは全く違う声色でそう言い、店員に何か耳打ちする。
「………!?」
「どうです?」
「……店長を呼んできます」
血相を変えたようすで奥に走っていく店員。グラキエスは唖然と見詰める。
「今何を……?」
「内緒。あんまり喋らないようにしててくれ」
「は、はい」
にやっと悪戯に成功した子供のように口角を上げ、店員を待つ。
「お、お客様」
「あ、こんにちは」
「こんにちは。それで、先程のお話ですが」
「それなんですけど、もっと人気のないところで良いでしょうか?あ、彼は私のボディーガードですのでお気になさらず」
ぼそぼそと囁くように会話し、奥の部屋に通される。
「ここで宜しいでしょうか?」
「ええ。それで、これなんですが」
ポケットからあの宝石を取り出す。
「これは……!凄い……。手に取ってみても?」
「ええ。どうぞ」
顔の殆どが見えない状態のまま宝石を手渡す。
「純度も申し分無い……。これは本物ですね」
「ええ、勿論。それと、まだあるんですが」
「まだ、ですか?」
「はい。こちらを」
背負っていた鞄からネックレスを取り出す。勿論、気力のクリスタルだ。
「素晴らしい……!これほどまでに汚れがない物は始めてみました。一体どこで」
「それ、家宝なんです」
「そうですか……。それと確認させていただきます。本当にこれは揮卿台白亜の作った品なんですね?」
「間違いありません」
グラキエスがぎょっとした。自分の名前を明かしているとは思っていなかったからだ。
「しかしですね、やはり偽物は多いんですよ」
「そうですか……。でしたら」
フードと口元の服を下げ、素顔を見せる白亜。
「………!?!?!?」
「私が何者か、そんな不粋なことは聞かないで下さい。ここまで来たんですからそれぐらい判っていただけますよね」
「まさか、子供が居たのか……?いや、年齢がおかしいから、まさか孫……」
「野暮ですよ?それ以上は聞いてはいけません」
白亜の目が鋭く圧迫するような目線になる。
「ね?」
「は、はい……」
完全にビビらせた白亜は再びフードを被り、口元を隠す。
「こちらとしても無駄な争いは避けたい。判っていただけますよね?」
「はい」
「これ、貴方なら幾らで買いますか?」
殺気すら籠っていそうな声色で、しかし顔は満面の笑顔で、まるで余命宣告を下しているような雰囲気のまま白亜はそう言ったのだった。
「ありがとうございました。あ、それと」
存分に脅しまくって金の入った封筒を受け取り、部屋を出る直前で、
「私の事や周囲の事を調べたり、近隣にご迷惑がかかるようなことをしたら……」
にこっと笑って、
「さぁ、どうなるでしょうかね?」
恐ろしいほどの笑みでそう言って出ていった。店長の手は小刻みに震えていた。
「海道様。あれはやりすぎでは」
「あれくらいやらないと本当に調べがつくんだよ。特に裏はな。高価なものを持ち込む代わりにそういう面倒なことが起きるんだ」
「そういうものでしょうか」
日本組のところに帰ってきた。
「あ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ。多分な。もしあれでなにか仕掛けてきたら呪いかけようかな」
「怖すぎるこの人!」
ニタァ、と張り付いた笑みを浮かべる。
「で、幾らになったんですか?」
「238」
「238円?精々買えてお菓子じゃないですか」
「238万」
「「「……え?」」」
分厚い封筒を見せる白亜。
「な?」
「「「もうやだこの人怖すぎる!」」」
どうやったらそこまで増えるのか。日本組は実は白亜は10万稼ぐか稼がないかくらいの予想をたてていたのだが、その23倍以上である。
「最初の提示が200だったんだけど、煽りまくったらそこまで膨らんだ」
『『『御愁傷様です……』』』
会ったこともない店長に皆そう言った。
「まぁ、でもあっちとしても悪い取引じゃなかったと思うよ?」
「なんでですか?」
「俺、装飾品は作ったことないからさ。彫像ばっかりで。だから相当オークションとかでは高くつくと思うよ」
「割りと考えてたんですね」
「そりゃあな」
くぁ、と欠伸をしながら適当に言う。
「白亜さん妙に欠伸してますよね?」
「魔力が足りてないから空気中に浮遊してるのを無意識に吸いにいってるんだよ」
「ちゃんと理由あったんですね」
「寝不足ではないぞ」
「ここ!ここのパフェが美味しいんです!」
「へぇ……。で、俺に奢れと」
「ばれました?」
「まぁ、金ならあるからいいけどさ……」
日本観光に入った白亜一行。大金を脅して手に入れた白亜は当然のごとくたかられていた。
「わーい」
「あざーす」
「遠慮くらいしろよお前ら……」
ダイ達への土産も買っていかなければならないので相当金を使うと予想される。200万もあれば十分すぎるだろうが。
「じゃあ私抹茶」
「僕はチョコで」
「はぁ……」
かなりな値段になった。
「パフェだけでこんなにいくとか」
「良いじゃないですか」
「お前ら懐が一切傷付かないからいいかもしれんけどな!」
そう言ってはいるものの白亜も楽しそうだった。




