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幼馴染みはオネエになりました   作者: 桜井 沙羅
19/24

十九話目

春樹の彼女に昇格したものの、特に何か変わったということもなかった。

残念ですけど…。



あ、でも週末は時間があれば一緒にご飯を食べて帰るようになった。

デートってやつですね!


でも、大抵ムードたっぷりの個室の飲み屋さんなので、春樹はオネエ言葉で逆にムードない…。


仲はとってもいいし、ケンカもする事もなく、かなり上手く言っていると言っても嘘じゃない。


でも、全く進展してないよー!

手もつないだことないしね!


正直、私も25歳にして彼氏いたことなかったんでね…。


付き合うというものがイマイチわからなかったり…。


最近ますます姉妹度が上がった気がするよ。


しかも、もともと同じ家に住んでるもんだから、それぞれ自分の部屋あるからさー、お泊まり!みたいなのもないよね。


はい、それじゃ、おやすみー。でおしまい。


どうしたらいいか悩んだ末、私はすばらしい考えを見つけた。


そうだ、旅行に行こう!

きっと、旅先でドキドキなことが起こるはず。

マンガとかでもよくあるパターンだし!



「春樹、旅行にいこうよ、旅行!」


私は春樹が家に帰ってくるなり、たくさんのパンフレットを見せながら言った。


「突然どうしたの?」


春樹は目を丸くしながらリビングに入ってきた。


「もうすぐ夏休みでしょ?

どっかいこうよー。」


もうすぐお盆休みがやってくるのだ!


「お盆の時期は高いわよ?」


春樹は苦笑しつつもパンフレットを手に取り、私の向かいの席に座った。


「あ、そうか、高いのかー。」


すっかり忘れてたけど、お盆の連休なんかに行ったら高いよね。


困ったな、まだ入社して4ヶ月弱なのでそんなにお金もない…。


家賃も高いしね!


「まあ、見てみましょうか。

利香はどこにいきたいの?」


春樹、優しい!

どSな春樹は最近見てません!


「うーん、どこがいいかなー。

夏だから、プールがあるところにいきたいなー。」


海の近くだったら最高だよね!


「ごめんなさい、さすがに女の子の水着は着れないし、男の水着はちょっと着たくないわ…。」


春樹は申し訳なさそうに言った。


そっか、さすがに女の子の水着はやばいよね。


かといって、露出の多い男の水着も春樹はかなり嫌だろう。


「そっか、そうだよね。

じゃ、他のとこにしよう。」


「ありがとうね。」


そう言って春樹は頭をなでてくれた。

地味に幸せ。


そうそう、春樹の彼女になって唯一変わった事は、こうやってよく頭をなでてくれること。


「よし、じゃあ涼しいとこにいく?

北の方とか。」


めげずに別の案を提案してみる。


「北?

北って多すぎてわからないわよ。」


た、確かに。


「もうさー、北って言うと北海道くらいしか思い浮かばないなあ。」


逆に他になんか浮かぶ?

東北とかですかねー?


「なるほど。国内の北なのね。」


そーですそーです。

ってか、海外とか考えてなかったので他に考えようがなかったよ。


「いっそ、海外なんかはどう?」


春樹はさらっと言った。


「え?海外…?」


予想外の返しがきた。


「ニュージーランドとか今は冬だし、涼しいを通り越して寒いわよ?」


に、ニュージーランドですか?

い、いくらかかるんだろう…。


「お盆のニュージーランドはさすがに高そうだよー。」


40万とかすんじゃないですかね?

払える自信がない。

春樹ってば、いくらもらってるんだ?


「そうねえ、ちょっとするかもしれないわね。」


ですよね!


「もうちょっとかからないとこがいいなー。」


見栄を張っても仕方がないので正直に言う。


「そうなの?

利香は意外と遠慮深いのね。」


春樹は言った。

遠慮深い?ってなんだ?

意味わからん…。


「遠慮深いって意味不明。」


わからんので聞いてみた。


「そう?

高いところを遠慮してるじゃない?」


だめだ、ますます意味わからんわ。


「え、だって普通にそんなに持ってないんだもん。

春樹のために言ってるんじゃなくて、自分に予算がないだけだよ。」


私の言葉に春樹は笑いだした。

すいませんね、貧乏で!


「自分で出すつもりでいたのね?

二人での旅行なら私が出すとか考えなかったのね。」


春樹は微笑んで言った。


「えー!!何で?

行きたいって言った私が出すならまだしも、何で春樹が??」


しかも、ニュージーランドとか二人分とかありえないわー。

新宿行くまでの電車賃とかならまだしもさ!


「彼女の旅費くらい出せるくらいの甲斐性はあるつもりよ?」


私はぽかーんとして春樹を見つめた。


か、彼女とか…。

照れるじゃないか、こんちくしょう。

しかも、嬉しいし!


「いやいや、彼女っていっても、なんもしてないし!

一応働いてるし。

海外なんてもってのほかですよ!」


私はあわてて言った。


「出してもらうなんて考えもしてなかったのね。

利香は本当に素直でかわいいわね。」


私の頭を再びなでてくれながら春樹は言った。


かわいいとかーーー!!

は、鼻血ふいちゃうよ!

もう、幸せすぎるー。


「彼氏できたこともないしね。」


私は照れながら言った。


「利香は遠慮するかもしれないけど、気にしないで甘えておきなさい。

それくらいしてくれない男とは付き合っちゃダメよ?」


うう、最後のセリフがちょっと寂しい…。


今はあくまで恋人ごっこで、いつかちゃんと相手を見つけなさいと突き放されているようだ。


「うん、わかった。ありがとう。」


私は春樹に素直にお礼を言うことにした。


春樹は、私の言葉に笑顔で頷いた。


「でも、社会人一年目なんだから、海外はそのうちね。

どこか高原とかいこうよー。」


暗にこれからも一緒にいるよってつもりで言ったけど通じたかなー?



私たちは、二人で楽しくパンフレットを見て、八ヶ岳に行くことにした。


高原、牧場、涼しそうー。

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