3 聞きなれた音
二人を探し出してから十数分。
しかしまだ二人を見つける事はでけへんかった。
とりあえず、それっぽい所は一通り行ってみた。
校舎の男子便所、学食、校庭、屋上、裏庭等。
でもそれらの場所に二人の姿はなく、俺は体育館の入口の前で途方に暮れていた。
「二人とも、一体何処に居るんやろう?」
溜息混じりに呟く俺。
ちなみに体育館にも二人は居なかった。
学校には来ているはずやよな?
もしかして、もう教室に戻ったとか?
こんだけあちこち探し回っとったから、どっかで入れ違いになったのかもしれんし。
「よし、もっかい教室に行ってみよう」
そう独りごちて、俺は校舎の方へ戻ろうとした。
すると、その時やった。
パシィン!・・・・・・・パシィン!
という、俺のよく聞き馴れた音が、何処からか聞こえてきた。
この音は、野球のボールがミットに飛び込む音。
誰かがこの近くでキャッチボールでもしてるんやろうか?
耳を澄ますと、その音は体育館裏の方から聞こえてきた。
俺はその音を辿り、体育館裏へと歩いて行った。
そしてそこに辿り着くと、そこで二人の男子生徒がキャッチボールをしていた。
ちなみにその二人とは、岩佐先輩と近藤先輩やった。
二人は野球のピッチャーマウンドとホームベースくらいの距離をとり、
しゃがみこんでミットを構える近藤先輩に、
岩佐先輩が振りかぶってボールを投げ込んでいた。
パシィン!・・・・・・パシィン!
碇程のスピードはないけど、豪快な投球フォームから、
小気味良いボールを投げ込んでいる。
岩佐先輩は身長が高いので、その高い位置から投げられるボールは、
なかなかに打ちにくそうやった。
ちょっと、打席の位置であの球を見てみたいな。
そう思った俺は、投球練習を続ける二人の元へ歩み寄った。
するとそれに気づいた二人は、練習をやめて驚きの声を上げた。
「ああっ⁉お前は⁉」
「何でこんな所に⁉」
それに対して俺は愛想笑いを浮かべながら、
「いやあ、ずっとお二人の事を探してたんですよ」
と言い、近藤先輩の傍らのいわゆるバッターボックスの位置に立ち、
岩佐先輩にこう続けた。
「ちょっと、何球か投げてもらえませんか?」




