11 初恋事件
「あ、あの、さ・・・・・・」
「おうよ」
「正直な所、俺の事、どう思う?」
「へ?」
思わぬ質問に、思わず素っ頓狂な声を上げる俺。
何なんやろうこの質問。
とりあえず俺は小暮に聞き返した。
「あの、どう思うっていうのは、どういう事?」
「だ、だから、その・・・・・・
俺は、女として、どうかって事だよ・・・・・・」
「え・・・・・・」
な、何やねんこの展開は?
何でこいつはいきなり俺にそんな事聞くねん?
おまけにこいつのモジモジした態度。
それらをひっくるめて考えると、こいつはまさか、まさか・・・・・・。
「お、お前まさか、俺の事が好──────」
「違う!」
俺がセリフを言い終えるより先に、小暮に完全否定されてしもうた。
しかもメッチャでっかい声で。
そして小暮はこう続けた。
「そうじゃなくて!
俺は女として、ちゃんと振る舞えているのか聞いてるんだ!
断じて君に恋愛感情を抱いてる訳じゃない!
全く!全然!これっぽっちも!」
「分かった分かった!それ以上言うな俺が傷つくから!
それより、女らしく振る舞えてるかって何やねん?何でそんな事聞くねん?」
「コンプレックスなんだよ」
「コンプレックス?」
「昨日俺のおじいちゃんに聞いたかもしれないけど、
俺、小さい頃におじいちゃんに野球道具を買ってもらってから、
ずっと野球に没頭してたんだ。
毎日毎日、日が暮れるまでボールを追いかけてた」
「その頃は野球に夢中やったんやな」
「ああ。それで、野球をやるのはやっぱり男子が多いから、
俺の友達も、殆どが男子ばかりだった。
そのせいか俺自身、言葉遣いや仕草が男っぽくなったんだ」
「まあ、お前は自分の事を『俺』って言うしな」
「子供の頃はそんな事は全く気にならなかった。
でも中学に上がってから、ある事件が起きたんだ」
「事件?」
「その名も、『初恋事件』」




