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ぼっちが学年二代美少女に憧れた結果  作者: 豚太郎
中編 俺と優し過ぎる彼女と球技大会
34/66

第30話 計画は成功だ

 翌朝。

 今日も水瀬と駅で待ち合わせて、学校まで手を繋いで歩く。

 するとやはり、通行人の視線が集まってきた。

 一応俺は昨日店長に教わった通りに髪はセットして、飛鳥にも確認して大丈夫だと太鼓判を押されている。だけども水瀬への視線は勿論、俺への視線も変わらずある。なんならむしろ増えている気さえする。


 学校に入り、廊下の少し離れたところを歩く女子生徒2人がこちらを見て何か喋っている。俺は彼女たちの間で交わされた会話を想像した。


「うわ〜、あのオタク頑張ってるよ」


「そんな誤魔化そうとしても、滲み出る負のオーラは誤魔化せないっつうの」


「ほんとそれ、クスクス」


 ……自分の想像の余りのリアリティーに心が壊れそうになる。

 俺が精神攻撃を鋼のメンタルでなんとか耐えていると、なんと彼女達は近づいて、こちらに話しかけてきた。

 

「ねぇねぇ水瀬さん! 隣の人って、もしかして彼氏!?」


「あ、うん」


 彼女らは俺のことを知らないらしい。まぁ、その方が多数派だろう。

 水瀬が頷くと、二人はきゃー、と小さく悲鳴を上げ、水瀬に詰め寄った。

 水瀬は彼女達に何かを囁かれ、あはは、と嬉しそうに口元を綻ばせた。

 俺はそんな彼女達から一歩離れて、話が終わるまでしばらく待つことにする。

 いやだって、自分がからかわれる話とか聞きたくないじゃん?

 








 

 その後少しして彼女らと別れ、何故か上機嫌の水瀬と連れ立って教室に入ると、


「あ、おはようございます」


「おはよ〜」


 いつものように姫野と古賀が水瀬に挨拶する。そして2人が俺の方に視線を移し、固まった。俺は2人が俺にも挨拶してくれるものと思って構えたが、しかし何故か、二人は黙り込んで視線をさまよわせている。教室には柊の姿もあったが、奴もやはりちらっとこちらを見た後、そのままスマホをいじるのを再開して顔も上げない。

 えっと、と古賀が珍しく言いづらそうに水瀬に尋ね、明らかに困惑した顔をした姫野が続いた。


「……隣にいる人はどなたですか?」


「今日は〜、二宮君は一緒じゃないの〜?」


 ……どうやら、2人とも俺だと分かっていないみたいだ。水瀬を横目で見ると、ふふんと得意気な顔で、だから言ったじゃん? とでも言いたげに俺の方を見てくる。


「あの……俺が、二宮なんだが」


 俺が言った途端、え、と二人が再び固まった。

 そして普段は表情の薄めな古賀の顔に驚きの表情が浮かび、姫野に至っては大袈裟に頬に手を当てて叫んだ。


「ええ〜〜っ!?」


 彼女の大声にクラス中の視線が集中する。すると、今まで興味なさそうにしていた柊が立ち上がり、こちらに向かってきた。


「お前ら朝から騒いでどうしたんだ? つーか、そっちの奴誰だよ……あのな水瀬、流石に彼氏いんだから、俺の前でそういうあからさまな浮気みたいなのは……って、ん?」


 怪訝な顔をして俺のことをじろじろ見ていた柊は、はっと何かに気づいた顔をした。


「……まさか、二宮か?」


 半信半疑といった表情のまま尋ねてくる柊。


「おう、そうだけど。そんなに変わったかね?」


 髪型変えたら認識されなくなるって、俺はこの中の奴ならどんな髪型にしてても分かると思うんだがなぁ。と俺が少しだけいじけて、セットした髪先を手で弄りながら言うと柊は驚いた様子のまま、


「はーー! はーー!? いやマジか!? マジの二宮か!? あーでも確かに面影あるわ! へーー! めちゃくちゃいい感じじゃねぇか!」


 俺の周りをぐるぐる周りながら、大袈裟なことを言う。


「あと髪型だけじゃなくて、立ち姿も変わりましたよね。別人かと思ってしまいました」


「あー、なんかおかしいと思ったらそれか! そこまで変えられたら流石に分かんねぇわー!」 


「気づけなくてごめんね〜。でも〜、凄いいい感じで、かっこいいと思うよ~?」


「あ、いや……別に良いんだけど……」


 姫野に律義に謝られた俺が少し動揺しながら返事を返すと、それを見ていた柊がぷっと笑った。


「……いや、なんか安心したわ。やっぱ、お前は二宮みたいだな」

 

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