表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼっちが学年二代美少女に憧れた結果  作者: 豚太郎
中編 俺と優し過ぎる彼女と球技大会
PR
26/66

第23話 友達と過ごす昼休み(上)

 俺は今日も一限から授業を聞いている。

 最近はようやく眠らずに聞けるようになった。先生の話にははまだ理解できない部分も多いが、焦らず少しずつやっていこうと思う。

 次のテストは夏休み前の期末だっただろうか。板書をノートを写しながら、そんなことを考えた。






 昼休みになると、俺は飛鳥が作ってくれた弁当を持って橘の席に向かった。

 席の周りには既に柊と小田がいた。

 この学校には学食もあるが、今日は誰も行かないみたいだ。


「ふぁぁ……眠かったでござるね」


「おい、お前何個買ってんだよ。太るぞ」


「失敬でござるな。その分運動すればいいだけではござらんか」


「理論上はな」


 小田の昼は購買で買ったパンのようだ。


「おいおい、最近眠そうにしてるのお前らだけなんじゃないか。二宮真面目に受けてるし」


「深夜アニメには勝てないでござる……むしろ、二宮氏はどうして起きてられるでござる?」


「あ、俺録画して見てるからかな」


「ええ!? リア帯に見ることに意味があるのではござらんか!? 二宮氏はいつからそんな軟弱になったでござるか!」


 ござるござるぅ! と興奮している小田をどうどう……となだめいていると、近くから弾んだ声が聞こえてきた。


「わー! 飛鳥ちゃんのお弁当、今日もすっごくおいしそー!」


「ありがとう、でもそんなことないわよ」


「自分で作ってるんですよね? 本当に凄い……というか、最近また一段と手が混んでるような気がするんですが」


「あ! それ私も思った〜このタコさんウィンナーとかもはや可愛いを通り越して美しいよね〜」


 飛鳥達も4人ほどで集まって食べているようだ。俺達との距離は机2個分程度だが、弁当の中身までは見えない。


「あ、ねぇねぇ二宮君も見てよ! すっごい美味しそうじゃない?」


 水瀬が近くに座っていた俺にちょいちょいと手招きしている。

 女子4人がいるところに単独で乗り込むなんて俺には無理だと思ったが、彼女は俺を御指名らしい。

 やむを得ず彼女らの机まで足を運ぶ。飛鳥の前にある弁当は、確かに彩りもよく、飛び抜けて美味しそうだった。

 飛鳥はじっと俺を見ている。


「めっちゃ美味そうじゃん」


 実際美味い。現在進行形で食ってるからそれは間違いない。

 素直な感想を言うと、飛鳥は俺からすっと目を逸らした。


「……あら、そう……」


「え、飛鳥ちゃんその反応……もしかして照れてる!?」


「これは確実に照れてますね、珍しいです……」


「私達が褒めたときにはそんな反応じゃなかったのに〜。やっぱり男の子に言われるのは違うのか〜」





 俺が戻ってくると、橘は俺の弁当に目を向けた。


「二宮の弁当も凄い手が込んでるよな。君が作ったのか?」


「いや、なんか親が作ったの冷凍して送ってきた」


 俺は内心の動揺を隠し、それっぽいことを言って誤魔化した。


「へぇ。てことは一人暮らしでござるか。普段は飯とかどうしてるでござる?」


「まぁ朝は食わなくてもいけるから、で、昼は購買か学食。夜はコンビニとかで適当に買ったりだな」


 俺は少し前までの生活を思い出しながら答えた。 


「マジかよ。体に悪そうな生活してんな。もうちょい気ぃ使った方が良いんじゃねぇの?」


 チャラそうな見た目に反して、意外とまともなことを言う柊。


「って言われても、作るのは大変だしな。特に夜。食いに行くんでも結局栄養偏りそうだし」


 飛鳥は部活があるので、夜も作ってもらうことは出来ない。流石に申し訳なさすぎる。

 そう俺が言っても、結局飛鳥は今週も夕食を作ってくれている。本人は引っ越して通学時間が減ったから問題ないと言っているが、そういう問題ではないのだ。


「それなら」と橘が言った。


「一つおすすめの店があるよ」


「おすすめの店?」


「ああ。俺の親戚がこの近くで健康志向の定食屋をやってるんだ。俺も一度行ってみたことがあるんけど、普通にがっつり食べれて美味かった。値段もそんなにしないしな」

 

 そう言って、橘はスマホに移された店の写真を見せてきた。

 店内は明るく、入りやすそうだった。橘が頼んだのだろう、写っていた焼肉定食はボリュームもありそうで、忌まわしき野菜もしっかりと盛られていたが、それを差し引いても魅力的なことは間違いなかった。


「美味そうじゃん」


「お、気に入ったか? じゃあ後で場所送っとくよ」


 思いがけず、有用な情報が手に入った。いやぁ、やはり持つべきは友達だな!





 俺達がそれから雑談に興じていると、教室の扉がガラッと開いた。自然、教室内の視線が集中する。


「あー、食事中ごめん。水瀬さんいるかな?」


 教室に入ってきたのは見覚えのない男子生徒だった。たぶん違うクラスの奴だろう。


「あ! 水沢君! どうしたの、わざわざ昼休みに?」

 

 水瀬は親しげに手を振った。

 水沢君とやらは緊張しているのか、爽やかな顔を僅かに強張らせていた。


「あ、あのさ。放課後暇かな? 話があるんだ」


 水瀬は一瞬顔を曇らせたが、すぐに明るく言った。


「おっけー! 部活あるけど、その前なら大丈夫だよ」

 

 水沢君はじゃあ放課後体育館裏に来て、と言って足早に去って行った。

 水瀬はばいばーいと明るく手を振りながらも、どこか浮かない表情をしているように見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ