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領民0人スタートの辺境領主様  作者: ふーろう/風楼
第二十章 決戦

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動き出す

登場キャラ紹介


・エーリング・シグルザルソン

 男性、人間族、北方シグルザルソン伯爵家当主、文化と芸術を愛し、それらで平和を希求する派閥の主、ディアスとは面識があり、敵とも味方とも言い切れない関係、第二王女ヘレナを擁立


・フレデリック・サーシュス

 男性、人間族、東方サーシュス公爵家当主、戦争にも参加していた武人、内政、外交、軍事に優れて欠点らしい欠点がない、ディアスとは戦友であり好感度は高い、第一王女イザベルを擁立





――――ある聖地で



 大きく丸々太った一羽の鳥がいる。


 日を浴びて煌めく白銀の羽を持つヒヨコのように見えるがヒヨコにしては体が驚く程に大きく、それは玉座のような煌めく鋼鉄の椅子にどっしりと体を預けていて……少しの沈黙の後にクチバシを開く。


『現世に介入しすぎだろう、我らが今まで自重してきたのは何だったのか。

 あまつさえ現世の者を洗脳して国を動かすとは……聖地の管理者の風上にも置けん』


 その声に対し、近くに控えて跪く鳥達はただただ頷いて肯定の意を示し……そのうちの一羽が声を上げる。


「相対する陣営は、間接的に聖地の力を借りてはいますが直接的には関わらず、それでいて神像を建立し、感謝の意を示しております。

 その姿勢は評価してよろしいでしょう。

 その陣営の側にはあの聖地があり、そこに住まう者達も今回の騒動に関わっているようですが、独自の思惑があるようで戦地には近寄ろうとしていないようです」


『ああ、大メーアの大地に住まう者だろう。

 アレは良い、高貴な血を持っている上に正しく力を振るって、数え切れない程のドラゴンを屠っている。

 アレがすることは全て許される、一国二国を滅ぼしたとして許される。

 ……アレは今回の騒動にどう関わろうとしている?』


「……は。

 どうやら戦争には直接関わらずに原因のみの排除を狙っている様子で、何の得にもならない戦いを人的被害を出さないように気遣いながら行っているようです。

 戦利品として多少の物資は得ても名誉も土地も賠償金も得ることなく……その不可解とも思える言動が今回の戦争の予測と評価を難しくしています」


『良い。それで良い。

 流石である、始祖たる血の尊さはこの時代になっても変わらぬのだ。

 ……であるならば、我らも動くべきだろう、直接ではなく間接的に各地に働きかけるべきだろう。

 かの者の働きに報いるべきだろう、我らの態度を世界に示すべきだろう。

 ……かの者の意思を尊重し、現世の政には出来るだけ介入しないように配慮し、聖地の力は使わずに愚者達に語りかけることで導き、正しい流れを作り出すとしよう』


「そのように」


 それで話し合いは終わりとなり、聖地から数多の鳥が羽ばたいていく。


 聖地から各地に、人が住まう地に。


 これ以降各地の神殿に、輝き言葉を離す鳥が現れて、神々の言葉を伝えるという奇跡と言って良い出来事が頻発することになり……その影響は凄まじい勢いで世界中に広がっていくことになる。



――――北方のとある街で



 唐突に人々にもたらされた神々の言葉を受けてまず動き出したのはエーリング・シグルザルソン伯爵と第二王女ヘレナだった。


 平和を愛してはいるが神々がそう求めるのであれば、動かない訳にはいかない。


 今こそ文化と芸術が王国の未来と平和を救う時。


 そう考えてエーリング達は自らが抱える芸術家達を総動員し、神々の言葉を伝えるためのありとあらゆる創作を始めた。


 踊り、歌、絵画、演劇、彫刻……などなど。


 出来上がり次第それらは神々の言葉で利益を得る訳にはいかないと、無償で配られることになり、新しい歌を求めていた吟遊詩人、踊り子、商人、芸術家、様々な人々がそれらを求めて北方に殺到し、あっという間に広がっていくことになる。


 その言葉の中で神々は誰かを批判することはなかった。


 今戦争を起こしているリチャード陣営、エルダン陣営、どちらをも批判することはなかった。


 しかし明確にある勢力を批判していた……神殿の新道派を。


 よりにもよって神殿で神々の使いが、今主流となっている新道派をこれ以上ない言葉で批判していた。


 それを受けて新道派の影響化にある神殿は、その事実を隠蔽するなり、勝手な介錯を加えて内容を捻じ曲げるなり、もみ消しに躍起になっていたのだが、全ての神殿がそうした訳ではなく、渋々新道派に従っていた神殿は新道派よりも神々の言葉だと、今こそ好機と独自の動きを見せて……そこにエーリング達の動きが良い援護をすることになる。


 エーリングだけではなく王族までがそれに関わっていて、王国を代表する芸術家達もそれに続いている。


 その影響力は無視出来るものではなく……この機にまた動きを見せたのはエーリング達だけではなかった。



――――とある陣幕で



 各公爵までが動き出した。


 マーハティ公が当事者で、メーアバダル公がそれを援護しているという噂があり、残りの公爵達は自分達までが動けば騒動になると自重していたのだが……サーシュス公が動き出したことで流れが一気に変わる。


 サーシュス公は戦争には関わらないと宣言しながらも、新道派を強く非難。


 神殿に直接赴き、新道派の神官達に論争を挑み、神々の言葉を何故歪めるのかとまで糾弾。


 その際に神官達は、そんな出来事など起きていないと、そんな否定をしてしまったのだが、サーシュス公は当日、偶然にも自領の神殿に足を運んでおり、神々の使者の降臨をその目にしていた。


 そして使者の言葉をその耳で聞いていたというのに、無様な否定は逆効果も逆効果、公の怒りを買う結果となってしまう。


 そしてその逸話は、噂という形で市民達の中に広まり、最近の神殿のあり様に不満を抱いていた市民達は、それを楽しむようになっていく。


 実際に起きた奇跡、その逸話、そして北方から流れてくる芸術が反新道派の流れを加速させていく。


 新道派の弱体化はそのままリチャード陣営の弱体化に繋がっていく。


 以前は新道派と協力しながらも一定の距離を保っていたリチャードだったが、最近は急接近をしていて、それがより批判を高める結果となる。


 そこにマーハティ軍との衝突からの撤退という話まで流れてくると……すぐにではないがじわりじわりと影響が大きくなり、脱走兵が出始める有様で、少しずつだが確実にリチャード陣営が弱っていく。


 そのまま崩れ去るか……と、思われたが、幸運なのか何なのか、そんな陣営を支える者が現れる。


「神々がどうしたぁ!! 今私達が生きているのは神々の世界ではない、人間の世界だ! 人間の世界の趨勢の中にいる!

 そして私達は命を賭して自らの道を貫いている! 動揺するな! 悩むな! 望む結果があるのならばそれを手に入れるためにただ勝て!!」


 第三王女ディアーネ、リチャード陣営のいち将軍として活躍していた彼女は広がる動揺を見事に収めてみせて、彼女が活発に動き出してからは段々と陣営も落ち着いていく。


 それでも脱走兵は出る、それでも悩む者はいる、神々が味方ではないというのは相応に大きいもので……リチャード有利と思われた戦乱は、誰にも予測出来ない事態へと突入していくことになる。



お読みいただきありがとうございました。


次回は戦場とディアスのあれこれです!



そしてお知らせです


https://www.youtube.com/watch?v=pXoTSkLpaiI


アニメ第二弾PVが公開となりました!

鬼人族族長モール、ディアーネ、エイマの声優さんも公開!

色々な演技やシーンを鑑賞出来るPVとなっていますので、ぜひぜひチェックしてくださいな!

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― 新着の感想 ―
ディアーネ頑張ってますなぁ、割とディアスの弟子みたいな立ち位置だもんなぁ、敵だけど、殺されずに叱咤激励されてる感
ディアスどん、大メーアと大トカゲさん以外の神々からも大絶賛。 全肯定されるというのも凄まじいモノがありますねぇ。 そして伯爵と公爵もそれぞれでそれぞれの戦いを振り広げ始めると。 ただ目標がリチャード…
追い詰められとんなぁ、玉無し一派。神々の政争でもボロボロやん。まだモンスター軍との密約までバレてはないみたいだけど、発覚したら直接制裁もんだな、おい。 そしてディアーネがラスボスより目立つ中ボスポジ…
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