影響
登場キャラ簡単紹介
・ウェイズ
人間族、詳細不明、ディアスの育て子で家具職人
・ナタリー
・ニール
・マヌエル
人間族、いずれもディアスの育て子、領民になったばかり
――――領境の森の南部で
メーアバダルとマーハティの領境にある森の南部にある荒野との境界は、侵入に適した穴場となっていた。
そのことはメーアバダル、マーハティ、どちらも認識しているため、特別厳しい警備や監視が敷かれているのだが、それでも突破しようとする者はいるもので……今回の騒動の中でもまた、それを狙う者達がいた。
盗賊にしては良い装備で、しっかりと連携し、行軍と呼んで良いような整然とした動きでもって数十人。
そんな一団がメーアバダルへの侵入に成功したその時だった。
先頭を歩いていた一人が突然膝から崩れてうめき声を上げる。
「……どうした?」
側にいた者が駆け寄り声をかけると、その者も膝から崩れ落ちる。
これはただ事ではない、その一団の全員が状況を理解し、鞘から抜剣……構えを取って周囲へと警戒を向けるが、自分達が誰に何をされているのかが判然としない。
毒の魔法だろうか? それにしては魔力の流れがなかった。
ならば自然の毒気? いや、そんな匂いはしていないし、ここは開けた荒野……窪地でもない上に強い風が吹いていることから、それは考えられない。
では一体全体何が起きていると?
誰もがその答えを理解出来ないまま倒れていく。
多少の程度の差はあれど、その症状は一団の全員に広がって……そうして全員が倒れ伏し、気を失った所で小メーアの背に乗ったベンディアが姿を現す。
「これの欠点はある程度近付かなければならないことだなぁ」
サソリの意匠の短剣を掲げながらそんな声を上げたベンディアに対し、背に乗せ運ぶ小メーアが言葉を返す。
「……だからって神の使いを乗り物にする? 確かにこちらの力があれば姿を隠したまま接近することも可能でしょうけども……」
「貸しは腐る程あるだろう、ここらで一つ二つ取り立てた所で文句はあるまい。
……なぁに、力を借りるのは今だけの話だ、ディアスが戻ってきて落ち着けば余計な手出しは減るだろう。
……問題はだ、今回のこれに他の聖地が絡んでいるかどうかという話だ。
この折でこれは決議の報復かと疑ってしまうな」
「考えたくはないことですけど、それもあるのかもしれません。
報復のためにモンスター共と手を組んで、報復のために純血種を攻撃する神が出たとなれば大事です。
本来それは禁忌……しかし禁忌をも覚悟で動いているとしたらとんでもない騒ぎになります。
場合によっては世界中の神々が動いての聖地同士のぶつかり合いとなりますよ」
「それは勘弁して欲しいところだが……神々のなさることなら止めようはないんだろうなぁ」
そうベンディアが呟くと、小メーアは小さなため息だけを返す。
それから倒れた者達を地面に飲み込んで……装備や財布などの所有物を奪った上で吐き出す。
それから小メーアはどこかに溶けるかのようにベンディアごと姿を消して……そうして目覚めた侵入者達は、自分に何が起きたのかを理解しないまま、逃げ帰ることになるのだった。
――――???? ??
「……聖地だってのに何もかも上手くいかねぇんだな。
神ってのも大したことねぇって言うか……結局リチャード頼りかよ」
黒く光る椅子に深く腰掛け、呟く男が一人……他に誰もいない空間で会話を続ける。
「確かにな、まだ終わっちゃいない、諦めちゃいない。
だが難しい状況になったのは確かだろ、ディアスの足止め策も考えねぇとだぞ。
本拠を襲撃する手は失敗だったみたいだしなぁ……何か手は打たねぇとな。
まぁ、そもそもアイツの目的が何なのかを探る必要もあるんだが……手柄を上げたいにしては訳分からねぇとこ襲撃しているし、どちらかにハッキリと味方するでも敵対するでもねぇ……かといって中立とも言えねぇ動き、何がしたいんだ、アイツは?」
自分ならこうする、自分ならこの状況をこう利用する、自分ならここでこの一手を打つ。
そう考えてばかりの男ではディアスの目的を推理することが出来ず、思考は堂々巡り……その中で男は目の前のソレとの会話を続ける。
そうして男はまた目の前のそれに、寝る間も忘れてのめり込むのだった。
――――砦の屋上で ディアス
女性指揮官との戦いを終えて、近場の砦へと進軍し……いつものように壁をよじ登って突入しての占領を終えての休憩時間。
屋上に立って周囲を見回し……次にどうするかを考える。
周囲は平原ばかり、北と南に伸びる街道以外には、街道の左右にある木々と石壁が目立つだけで、いかにもな中間拠点といった雰囲気が漂っている。
多分ここでしばらく腰を落ち着けても問題はないと思う。
女性指揮官の部下達とここの兵士達は既に解放済みで、いずれここが落とされたことは知れ渡るだろうが、すぐに奪還に来るとは思えず、数日は落ち着いて暮らせるとは思うのだが……風がなんとも嫌な感じだ。
嫌な気配という程ではない、ただ妙に落ち着かない気分で、ここに居てはいけないようなそんな気がしてくる。
「クラウス、集めた物資はどのくらいの量だ?」
敵兵から奪った武器防具と砦に保管されていた武器防具、それと食料などの管理を任せていたクラウスにそう声をかけると、背後に立っていたクラウスからすぐさま声が返ってくる。
「そこそこですね、このまま移動することも可能ですが、急いでの移動となったら捨てることも考える必要があると思います」
「なら帰るには少し早いが……」
と、そう言ってから考え込んでいると、街道の向こうから幌馬車がやってくる様子が見える。
一瞬敵かと警戒したが、それにしては一台だけ。
四頭引きと中々の大きさの馬車だが、あれでは乗れる人数は10人に満たないはずで警戒する程ではないだろう。
それよりも気になるのは御者台で、そこに座る男には見覚えがあり、目を細めて確認をしようとしていると、クラウスがすぐに遠眼鏡を手渡してくれて、それでもって男の正体を確認する。
どこか懐かしさを覚えるその顔は……、
「ウェイズか、馬車に乗っているのも他の皆だな。
よし、ウェイズ達が合流したらそのまま帰ろう、一旦帰って仕切り直す。
……多分ここで出来ることは終わった気がする、クラウス、すぐに準備してくれるか?」
「はい、お任せください!」
私がそう言うとクラウスはすぐに動いてくれる。
一方肩に乗るメイゾウは「ウェイズとは?」と、問いかけてきていて……ああ、その説明があったかと私は遠眼鏡を覗いたまま言葉を返す。
「ギルドメンバーの一人で、昔の孤児仲間だな。
恐らくだが仲間を集めて私に合流しようとやってきたんだろう……鷹人族の誰かに会ったか、ゴルディアの連絡が届いたか、エルダンの密偵の誰かに会いでもしたかな。
様子を見る限りおかしい所はないし、合流しても問題はないと思う。
そして……恐らく尾行されているだろうから、合流したら即移動だ。
南にいって海に出てメーアバダルに帰ろう」
そんな私の言葉を受けてメイゾウは、
「了解しました!」
と、鋭く返事をしてからすぐさま駆け出す。
そして砦中に今の話を知らせてくれているようで、すぐに砦内が騒がしくなる。
そんな騒ぎの中私は、遠眼鏡をしまってからウェイズ達と合流するため、階段へと足を向けるのだった。
・第十八章リザルト
【領民】702人 → 705人
ナタリー。
ニール。
マヌエル。
大量の戦利品を手に入れたが、精査はこれからだ。
【施設】領主屋敷が建設中
【施設】トロッコ道が建設中、改良中
【領地】荒野と大入江が開発中だ。




