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領民0人スタートの辺境領主様  作者: ふーろう/風楼
第十八章 華麗なる交易卿

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登場キャラ紹介


・チャイ

 鷹人族の子供で雛、子供とは思えない程に賢く、なんらかの力が影響している?


・ゴルディア

 人間族、男、酒場の主、ギルドの頭領でもある。ディアスの幼馴染で親友、未だにディアスを貴族使いしない1人


・サナト

 洞人族、男、ナルバントとオーミュンの息子。立派な髭があるせいでそうは思われないが、洞人族の中では若者、一応一人前扱いは受けている。


・ゴブリン族

 サメの魚人族、一族の名前は、昔存在したという恐れられたサメから、正々堂々を好む勇者揃いで、相応にプライドも高い



 エリー達を見送って、サーヒィの子供達の面倒を見る日々が始まったけども、特に問題が起こるようなことはなかった。


 子供達は皆素直で、世話と言っても母親達は側にいる訳で更にはチャイが指揮をとってもくれていて、他の子供達のように目を離さないようにするくらいのものだった。


 たまに膝に乗せてやっての食事の手伝いや、羽毛や爪、クチバシの手入れをすることもあったがそのくらいで……なんとも平和に時間が過ぎていった。


 商売をまとめ上げていたエリーが長期不在で、その商売が食料調達の柱だったことは少しだけ問題だったけども、そこもゴルディア達が代わりとして頑張ってくれているので問題はない。


 ……うん、少しだけ問題はあったけども、概ね問題はなかった。


「もっとばーっと使っちまうのも大事だぞ?」


 その問題というのは、貯蓄に関する考え方の違いで……今日もそのことでゴルディアが声をかけてくる。


 エリーは貯蓄に関してはかなりしっかりする方で、食料も道具も資材もこれ以上保管出来ないというギリギリの所まで貯め込むのを良しとしている。

 

 金貨銀貨も貯め込む方で……相応に使いはするのだけども、エリーの考える最低限『いざ戦争が起きても問題なく生活出来る量』は貯め込むべきだと考えているようだ。


 ゴルディアはそうではなく、戦争中にあれこれと商売した経験から、ある程度の元手さえあれば商売をしながら増やしていけると考えていて、エリー程には貯め込む必要はないと思っているようだ。


 エリーはそんなゴルディアの考え方をよく知っていて、良かれと思って助言してくるとも分かっているので、ゴルディアの目の届かない場所……具体的には自分のユルトにある程度の金貨銀貨を積み上げていたのだけども、それが今回見つかることになり……ゴルディアは良い顔をしていない、という感じだ。


 一部に金貨銀貨が留まってしまうと、良くない流れが出来てしまうらしい。


 逆にどんどん使ってどんどん金貨銀貨が世の中に流れたなら、良い流れが続くことになり……皆が儲かるようになる、んだそうだ。


 似たような話はジュウハからも聞いたことがあるので、間違ってはいないのだろうけども……しかしエリーにはエリーの考えがあってそうしているのだからと、私はその金貨銀貨に手を付けることは反対していて……ゴルディアはそれが気に食わないらしい。


 まぁ、無理矢理に使わせるとかではないし、声をかけてきたとしても一日一回程度、しつこい訳ではないのだけども……何度も言われても困ってしまう。


「私に言われてもな……どうしてもそうしたいならエリーが帰ってきてから相談すると良い」


 チャイ達を引き連れて掃除でもしようかと向かった倉庫までの道すがら、絡んできたゴルディアにそう返すと……ゴルディアはなんとも分かりやすく不満そうな顔をする。


「つまらんなぁ……あれだけの金貨があればお前、色々なことが出来るんだぞ?

 それこそ今進めている薬草小屋の拡大や、大入江周辺の整備とかも出来るし……今やっておけば数年後には数十倍になって返ってくるってもんだ」


 その言葉はゴルディアの本音ではあるのだろうけども……自分で色々なことをやってみたいとか、暇を持て余しているとか、そんな気配も感じられて……恐らくだけども、ここでの生活が安定してきたことにより、色々と考える余裕が出来てしまったのだろう。


 あれこれ考えるからあれこれとやりたくなる……昔からゴルディアにはそういう所があり、基本的にそれは良い結果に繋がることが多く、ゴルディアの美点とも言える部分なのだけども、今回ばかりはなぁ……エリーの貯蓄に手を出す訳にはいかないだろう。


 と、そんなことを考えながら足を進めていると、今度は洞人族の若者、サナトがやってきて声をかけてくる。


「おう、相談があるんだが良いか?

 実は荒野の川の整備が進んだことで水流が増えて……神様の力も影響しているのか、思っていた以上の早さで川幅が広がっているんだ。

 そこで荒野の川にいくつかの橋をかけようかと思うんだが……結構な資材が必要になりそうでな、許可が欲しいんだ。

 草原の川は幅が狭くて作るのも維持するのも簡単なんだが、荒野ではそうもいかなくてな……かと言って橋がないと泳げない洞人族としては不便で仕方ねぇ、これから大入江の港まで整備を進めていくのなら、必須のもんだと思ってくれ」


「ああ、必要ならもちろん構わないぞ。

 資材も……エリーが不在の状態でもたつくかもしれないが、出来る限り揃えよう」


 と、私がそう返すとサナトはにっかりと笑って言葉を返してくる。


「ありがてぇ! 許可さえもらえれば後はこっちでもなんとでも出来るからな、そこまで世話にならなくても平気だ。

 ただゴブリン達に渡りをつけてもらえねぇか? ゴブリン達の協力があると橋の維持が楽なんだよ」


「……それはもちろん良いが、ゴブリン達に一体何をしてもらうつもりなんだ?」


「ああ、橋脚の面倒を見てもらうのが主だな、水の中から橋脚を手入れしてくれるとありがたくて―――」


 と、そう言ってサナトはあれこれ説明してくれる。


 私だけでは理解しきれなかったのだけども、後ろについてきていたチャイとゴルディアが大体のことを理解して補足してくれた。


 今、草原の川のあちこちにかかっている橋は、レンガなどを積み上げたアーチ状のもので、基本的に橋脚……橋を支えるための脚は必要ないらしい。


 だけども大きな橋を作るには橋脚が必要で……その橋脚には川の流れを変えてしまうという欠点があるんだそうだ。


 橋脚が流れの邪魔をし、橋脚の周囲に渦のようなものを作り……その流れが橋脚の足元の、川底を削ってしまうんだそうだ。


 説明を受けた時はよく分からなかったのだが、川に立つだけでそれが再現出来るとかで、小川に向かって裸足で試してみると……確かに足元の砂が削れて流されていく感覚がある。


 橋脚があり川が流れ続ける限り、これが続くんだそうで……きちんとした手入れをしないと、どんどん川底が削れて橋脚が不安定になって、橋が崩れてしまうんだそうだ。


 そのため橋脚のある橋は削れた川底を修復するという手間がかかるのだけども……ゴブリン族なら、それが簡単に出来てしまう。


 川の中で呼吸が出来て、川の中の光景を簡単に見通せて、更には水の流れを制御出来る魔法まで使えるのだから、もう完璧だ。


 当然橋を作る際にも色々と手伝ってもらえるだろうし……ゴブリン族が手伝ってくれるのなら、建築と管理どちらもうんと楽になる訳で……やる価値はあるのだろうなぁ。


 特に洞人族は体が沈む関係上、川なんかを苦手としている訳で……荒野で仕事をしてもらうのなら必須の作業ということになるのだろう。


 そういう訳で私は、倉庫の掃除は一旦置いておくことにし……ゴブリン族に今の話を相談するため、ゴブリン達のためのユルト、川の側にあるそこへと足を向けるのだった。


お読みいただきありがとうございました。


次回はエリーやら橋やらになる予定です



そしてお知らせです


書籍14巻が9月18日発売で絶賛予約受付中です!


作業の方も概ね完了して、少しずつ情報公開していけるかなと思っていますので、ご期待ください!!



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― 新着の感想 ―
 どちらにも長所短所があるから難しいですね…  ただ、ゴルディアは、経歴の為か、何処かで再出発も出来るな…商人視点で…で、エリーは一箇所に根ざしての商人視点な気もして…  穿ち過ぎかもですが…  あ…
エリーのユルトに入ってる財貨はエリーの私有財産なのでは?ともおもうけど、それならゴルディアが口を出すのも違和感あるか。 鬼人族の魂鑑定なんて反則技があるおかげで、基本的に盗みなんてない治安の良さだし、…
有事の際の運用に、一部を蓄えるのは良いと思います、が それを見られたくないから、と言う理由だけで (その理由も、自分の考えに口出しさせない様、視界に入らない様にする為だけ) 一個人のユルトにそれを置か…
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