42話
「まぁ侯爵夫人に関しては全くの勘だから気にするな」
姉様はそう言いますが、姉様の勘結構当たりますのよ。「はぁ」聞こえないようにかなり小さめに溜息を吐いて姉様に続きを促しました。
「ホーリー、私は侯爵家に約一年いた。それはしっかりと覚えている、あの時に自分の今世の姿をちゃんと知っていれば、私が対処できたかと思うと悔やまれてならない。ホーリー、サッセルン侯爵家にはシセマインに繋がる何か鍵があるように思えるんだ」
「えっ?古代遺跡に繋がる何かですか?」
思わず前のめりになった私を姉様はビクッと体を震わせ引こうとして、ソファの背凭れに阻まれていた。私が姉様を怯えさせるなんて!歓喜で顔が緩む。
「あぁ私が言葉を発して元に戻れただろう、それを試すのもいいが、それでちゃんと元に戻れるかは分からないがな」
私は石版の文字達を頭に思い浮かべそれを描きつつ、姉様の話を聞いていたので、若干聞き漏らしていたのかもしれません。姉様の言わんとするところがよく分からない。
何を言ってるのかしら?
私の顔を姉様に向けると、「はぁ~~~」と大きく溜息を吐かれました。
溜息返し⋯⋯姉様の方が大きい、くっ悔しい。
「お前は何のために結婚してくれと私は願ったのか忘れたか!」
「へっ?」
何の為の結婚、それはフォルク様の命の危険を回避する為で、敵を特定して排除する事ですわよね。あらっ?それはもう叶ってますわよね。まぁ私って結婚半年で早々に解決できてます!
凄いわ!私。
私の心の自画自賛もちゃんと姉様には分かっていたようです。
「それは良い、そうではなくて何の為に侯爵夫人の正しい言葉を伝えたか、わかっているのか?」
「えっ?⋯⋯あっ!」
そうでした!
祝福でした、前々侯爵夫人はフォルク様の祝福を願っているのでしたね。
いつ頃フォルク様が忘却の術をかけられたか分かりませんし、それはお手上げではないでしょうか?
「姉様の頼みでもそこまでは無理ではないですか?フォルク様が何を持って自分が幸せを感じるかなんて私には分かりませんもの」
「だからだ!侯爵家には忘却の術などという物が代々伝わっているのか、それとも侯爵夫人だけがそれを使えたのか、調べなければならない。これはサッセルン侯爵の祝福の内容ではなく、王家として頼んでいるんだ。その術がいい方向に進むのなら良し、だが悪用されているのなら対抗策も生じなければならない。その術がどの様な物なのかを知りたいのだ」
「⋯⋯姉様、その術に救われた癖にその術が害をなすかもなどと、どの口が仰っていますの?」
私は姉様の勝手な持論に少々怒りを覚えました。
他家の秘密などあまり知らせたくはないですもの。私ももう一応はサッセルン侯爵家の者なのですから。
「だから頼んでいるんじゃないか、救われたから知りたいという好奇心もある、それに古代遺跡の解明にも役立つんじゃないかと、「お引き受けしますわ!」」
私は即答いたしました。
そうですわよね、不思議な力は制御方法を知る必要がありますもの!
私はニコニコしながら姉様に満面の笑みを向けました⋯⋯アレッどうして呆れられてるの?




