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旦那様、愛するつもりがないのはお互い様でした  作者: maruko


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41話

「そんな⋯呪いなんて本当に⋯あるので⋯いえ」


私は姉様に“呪いなんて本当にあるのですか?”と聞こうとして止めました。

あったから、今があるのですものね。

愚問でしたわ、良かった聞く前で。


「ホーリーそこまで言えば言ったも同然だ!」


えっ!もう何だか今夜は自分がポンコツになったようにしか思えないわ。よく考えたら子供の時からそうだった。姉様といると結局いつも最後はやり込められてしまうし。


「呪いと言ったが、別の方向から見れば祝福だ」


「えっ?それは真逆ではないでしょうか?」


「あぁだが、私は侯爵夫人からその忘却の術をかけてもらって前世を忘れた。忘れた事によって得たものは今の地位と夫との揺るぎない信頼関係だ。これは私にとっては祝福ではないか?」


言われてみればそうですわね。

その昔、王太子様(現国王陛下)が側室を迎えるのは当たり前という、価値観を姉様に当然の如く仰ったけれど、結局姉様は直ぐに王子も王女も産んでますので、陛下は現在も側室をお持ちではいらっしゃらないから二人はとても仲が宜しいですわ。

でも前世の価値観を持ったまま姉様が婚姻してたらどうだったのかしら?

そこまで考えて、私は姉様を見つめました。


「まぁ、そういうことだ。私はあの時忘れる事が出来たから嫌悪したその価値観も受け入れられて、無事に嫁げたし運良く子も身篭ったから陛下は側室を所望されなかった。そして私は盤石な地位も手にしている。今郷田花(ゴウダハル)の記憶が実際に戻ってきたが、もしもこれから先陛下が側室を所望したとしても、私と陛下には長年培ってきた信頼関係は残る。あの時よりも辛いとは思えないのだ。そう考えたらあの術は私にとっては祝福だったんだよホーリー」


「そう、ですわね。結果的には」


「そうだ結果論だ。だがそれは《《掛けてみなければわからない》》賭けという術だ」


「術ですか」


「あぁ、侯爵夫人は泣く私に言っていた。賭けをされますか?とな。その術は呪いでもあり祝福でもあるそう言っていた」


「⋯⋯⋯」


深い!深すぎて私、目眩がしそうです。そして一番驚いたのは姉様が『泣く私』と仰いました。

想像できませんわ!

私の混乱に姉様が追い打ちをかけていきます。


「それで思い出したんだが、ホーリー頼みがある」


出たーーーーー

出ました!姉様の頼みがある、ですわ。

ここは庭園ではなかったから油断してました。

もう、この流れでは絶対に厄介事です、決定です。そして断る選択肢は絶対にありません。


「何ですか?」


「フフ」


諦めて不貞腐れて聞く私に姉様は不敵な笑みを零しました⋯⋯怖っ!


「私は侯爵夫人から今際の際(いまわのきわ)にサッセルン侯爵の行く末を頼まれたと言っただろう?」


「えぇ、それで私は結婚したのですもの」


「それなのだが、前世の記憶が蘇って自分が忘却の術をかけられたのを思い出した事で、気付いたことがある。意味が変わってくるんだ」


「どういうことですか?」


「侯爵夫人が言った正確な言葉はこうだ」


そして姉様は教えてくださいました。


『陛下、お願いします。あの子をフォルクをお願いします。立派な侯爵へとお頼みします。あの子に祝福を、お願いいたします。祝福を』


だそうなのですが、私も気づきました。

祝福って言ってたんですね、前々侯爵夫人。

姉様の言わんとする事がわかりました。


「フォルク様にも忘却の術がかけられていると言うことですか?」


「おそらく、そしてこれは私の勘なんだがなホーリー。侯爵夫人もかけられていたのではないかと思うのだ」


「ひぇっ!」


私は吃驚して変な声が出てしまいました。

それが本当なら⋯呪いのオンパレードですわ!





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