表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/31

追放少女とドリル

ダンジョンの中で戦闘するアレン達パーティーの前に。

巨躯の蛇竜が地を這う轟音とともに姿を現した。


鱗は黒曜石のごとく硬質で、幾重もの魔力をまとい、動くだけで地鳴りが走る。

その頭部は異様な構造をしていた。


螺旋状の甲殻が重なり、回転するたびに空気を切り裂く音を響かせている。

まるで花弁のように層を成し、回転しながら地を抉り、穴を穿つ。

これこそが、地上への穴を開けモンスターの群れを噴出さようとした“穿孔頭殻せんこうとうかく”の正体だった。


アレンたちは、その巨体に対峙する。

かつてのパーティーの面影はもうない。

幾人かは死に、幾人かは離れ、今共にあるのは半壊した別のパーティーから合流した者たち。


それでも退く選択肢はなかった。


「前衛、展開! 盾を構えろ!!」


アレンの指示で、盾を持つ騎士たちが前に出た。

だが。


甲高い回転音。


蛇竜の回転する頭殻が一掃するように振るわれ、騎士たちは吹き飛ばされる。


「アレを止めなければ、何もできん!」


アレンは仲間に指示を叫ぶ。

残された冒険者たちは強化された拘束具――魔導繊維で編まれた“縛鎖糸”を使い、頭殻に絡みつかせる。

次々に結界杭を打ち込み、旋回を止めることに成功する。


しかし、その瞬間だった。


蛇竜の頭部が、まるで蕾が開くように開放された。

螺旋状の甲殻の奥、中心部に潜んでいた“魔晶核”が露わになる。

そこに集束する眩い光。

そして、次の瞬間。


「ぐ……あっ……!」


アレンの胸を、閃光が貫いた。


後衛にいた者たちが、悲鳴を上げる。

アレンが倒れたことにより、指示が乱れ、陣形が瓦解していく。


蛇竜の魔晶核が再び光を収束し始める。

今度は、無防備になった仲間たちに向けて。


その時だった。


ヒュウッ!


数本の矢が、風を切って飛来し、露出した魔晶核へと突き刺ささる。


「ギイイィィィィ!!」


蛇竜が絶叫し、魔晶核を守るように頭殻を閉じる。


「まったく……! 指揮官が倒れてどうするのよ!」


弓使いのリアが、姿を現れた。

背後には、ミミズとの死闘を潜り抜けた冒険者たちがいた。

誰もが傷だらけ。

立っているのがやっとの者もいる。


だが、その目に宿る光は消えていなかった。


「この魔物を逃がせば、また地上に穴を開ける!」


「今ここで、止めなきゃならないのよ!」


弓使いの言葉に、誰もが頷いた。

アレンの仲間たちも、他のパーティーも、言葉なく剣を構える。


疲労と傷で、もう限界は近い。

だが、それでも前を向く。


諦めない。

その想いだけが、今の彼らの武器だった。


そして、彼らは再び、死地へと歩を進めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ