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追放少女と仲間

ギルドから支払われた報酬は――三百万ゴールド。

手渡された金貨の量と桁外れの数字に、凪咲は思わず酒場のテーブルに突っ伏していた。


「……こんな大金、どうすればいいの……」


剣の整備、消耗品の補充、最低限の必要な買い物を済ませても、財布はまだずっしりと重かった。

これだけあれば、働かずとも一年は余裕で暮らせる。


だが、普段まともな報酬すら手にしたことのない凪咲には、持て余すだけだった。


そんな彼女の周りを、ミナが楽しそうにくるくると回っている。

新しい服をひらひらさせながら、時々テーブルにぴょこんと飛び乗ったりして、無邪気にはしゃいでいた。


「ミナは……ほんと自由だなぁ……」


呆れたように、けれど優しい目で凪咲が見つめたそのときだった。


「……ねえ、隣、いい?」


声をかけてきたのは、見覚えのある少女だった。


リア――あのリーダーたちのパーティーで、唯一凪咲に好意的だった弓使い。

彼女は少し苦笑いしながら、軽く頭を下げた。


「実は、パーティー、抜けてきちゃった」


凪咲は驚く。

彼女はあのハーティーの中核をなす存在でアレンからの信頼も厚かったはずだ。

別れた後、何かあったのだろうか。


「それで、お願いなんだけど……私、あなたたちのパーティーに入れてくれないかな?」


そう言うリアの目は、まっすぐだった。


凪咲はしばらく考える。

リアは昔から気にかけてくれていたし、何より――弓使いは後衛から戦える。

つまり、誤って斬ってしまう可能性も少ない。

短絡的にそう考え軽く返事をしてしまう。


「……うん、いいよ」


微笑んで手を差し出すと、リアは嬉しそうにその手を取った。

だが。


「ひとつだけ、聞いてもいい?」


リアは少しだけ顔を曇らせた。


「なんであんなに強いのに、今まで弱いふりをしてたの?」


その問いに、凪咲は言葉を詰まらせる。

どう答えればいいかわからなかった。


――人を斬ってしまうかもしれない恐怖。

それを伝えれば、怯えられるかもしれない。

だから、答えづらかった。


リアはそんな凪咲の迷いを悟ったのか、柔らかく笑った。


「いいよ、今じゃなくても。いつか、教えてくれたら」


その優しい言葉に、凪咲は胸が少しだけ軽くなった。

だが、リアが席につくと――


じーっ……。


ミナが恐ろしい形相でリアを睨んでいた。


(……ミナ?)


どうやら、リアが自分の居場所を脅かす存在に見えているらしい。

スライム特有の独占欲なのかもしれない。


「まあまあ、仲良くしようね、ミナ」


なだめる凪咲に、ミナはぷいっと顔を背けた。


「そういえばさ」


リアは首を傾げながらもう一つ、問いかけた。


「なんで、同じ顔の子がいるの? 妹?」


その質問に、凪咲は少しだけ笑って、きっぱりと答えた。


「うん、大事な大事な可愛い妹だよ」


ミナはぴょこんと跳ねて、うれしそうに「おねえちゃん!」と叫んだ。

リアも驚きながら、微笑む。


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