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爬鎧類戦争(ハガイルイセンソウ)  作者: ヒレカツ寺本
第一章
15/16

第十五話  爬鎧類戦争

第一章はこれで終わりです。


それでは第十五話、お楽しみくださいませ。



 九月八日。日本時間午前五時。


 ドイツが爬鎧類との戦争状態に入ったという一報が防衛本部に届く。現地時間は七日の午後十時。夜に奇襲されたようだ。

 この情報は、直ちに防衛隊の各部隊に伝えられていた。交代で警備に当たっていたため、宿舎に帰っていた隊員も全員出動だ。口数少なく、極めて要領よく、あっという間にトラックに乗り込み、次々出て行く。リクたちも早々駐屯地を後にする。今から本格的な衝突に入るだろう。皆、準備と覚悟はとっくに出来ていた。


 青梅街道を新宿へ向かう途中、リクの実家の近くを通る。家族が心配だ。

 東高円寺駅の交差点付近で、リクは荷台のシートの隙間から外を見た。すると目の前に、偶然リクの家族が三人立って、行き交うトラックを見送っていた。おそらく偶然ではなく、どこからか聞きつけて、きっとリクがここを通ると思い、見送りに来たのだろう。そして、三人はずっと東京にいる事を決めたようだ。残念ながら、あちらはリクには気付けなかったようだ。リクはその姿を、瞳をグッと開けたまま見続ける。そして少し上を向き、涙が落ちるのを堪えた。小さくなっていく家族を見届け、リクは体勢を戻し、ヘルメットを深く被り顔を隠した。一部始終を見ていたセナたち。何も言うことはなかった。

 しばらくすると、大きな音で一斉にサイレンの音が鳴りだした。避難警報だ。


「よし、そろそろインカム付けとけよ」


 アキラの指示で、全員インカムをオンにした。その直後、トラックが中野坂上の交差点に差し掛かったところで、何かに乗り上げたのか、ガンッという音と共に、車体が跳ね上がり止まってしまった。皆が何事かと前方を見た瞬間。


「ヨロイだー!」


 と、運転手が叫んだ。全員急いでトラックを降り、臨戦態勢になる。

 見ると辺りのマンホールや排水溝の蓋が全て開いていて、ぞろぞろヨロイが出てきているではないか。あの厳戒態勢の中を、あの包囲網を、簡単に突破してきたというのか。

 タタタターン、バババババーン。と一斉に打ちはじめた。どうやら中野坂上で第二中隊の戦争は始まってしまったようだ。

 コータがマシンガンを撃ちまくり、ヨロイが粉々になっていく。アキラがライフルを撃ち、確実にヨロイを捉えていく。サダキとダイキが援護する中、ショウとヒデヤがマンホールに近づいて、手榴弾を投げ込んだ。ドカーーーンという大きな音と共にヨロイが吹っ飛んだ。その奥でセナとリクが排水溝から出てくるヨロイを待ち伏せて、迎え撃っている。

 コータも

 アキラも

 サダキも

 ダイキも

 ショウも

 ヒデヤも

 セナも

 そしてリクも

 そう、全ての防衛隊員が命をかけて戦っている。

 このクソみたいな素晴らしい人類のために。


 二〇四五年 九月八日。人類対爬鎧類の戦争が始まった。


 九月八日。奇しくもこの日は、その昔この国の平和条約の調印式が執り行われた日である。



 爬鎧類戦争  第一章  完

読んで頂きありがとうございます。


評価いただけたら嬉しいです。

第二章もおいおい書いていこうと思います。

最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。


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