最終話
あのあと家に帰るまでに雨の日のことを聞いた
病院に来てくれたことも、どこにいても私のこと考えてたって
「なあ愛桜…」
帰りなれた道を2人手を繋ぎ歩く
「うん?」
「紀乃の事またちゃんと話するから、許してやってほしいんだ」
「…それは」
「俺が悪かったんだ。気持ち知ってるのにハッキリ突き放せなかったから」
繋いだ手から伝わる拓人さんの思い
誰かを好きになること私も知ってるから。
先生にとって、きっと拓人さんが全てだったんだ
「うん。わかったよ」
そう言って笑うと安堵したような笑顔になった
小さい頃よく繋いだ手をやっと握ることができた
「おばさんに会うの緊張するな」
私の家の近くで拓人さんはそう言った
「どうして?お母さん泣いて喜ぶよっ!」
「いや…まあいろいろあんだよ。ってか兄貴と結婚すんのか?」
「それさっきも言ってたけど私全然知らないよ…そんな話」
愛桜の返事で騙されてたことに気づいた
「あいつ…はぁっ。
まあ今回は感謝するか」
「どうしたの?拓人さん…?」
「いや、なんでもねぇ」
「ねぇ付き合ってるんだよね?私達」
「そうだけど?」
そう言うとニコニコしながら腕を組んで来る
「うん。ありがとう」
家の玄関の前につき手を離す愛桜を引っ張る
「ちょっとそこで待ってろ」
玄関横に愛桜を隠しチャイムを鳴らした
「拓人さん?」
「シーツ。言いからそこで待ってろ」
『はーい』
っとお母さんの声が聞こえた
ガチャ
ドアが盾になり私には気づかないお母さん
「…拓人君?!」
「こんばんは」
「何しに来たの?愛桜は居ないわよ」
「おばさんにちゃんと言いたいことがあって」
緊張した拓人さんの横顔を見つめる
玄関の扉が開いたままの為お母さんの顔は見えなかった
「うん。」
「愛桜の大切と俺の大切は違うって言われてから今日までずっと考えてて、やっと解りました」
「なら、もう前に進んで。愛桜には私から」
そう言うお母さんの言葉を拓人さんが遮った
「やっぱり一緒だったんです」
「えっ?」
「俺も愛桜が好きです。俺の中で一番大切にしたい子だってちゃんと解りました」
「拓人君…」
「ちゃんとおばさんには伝えときたくて。」
「ありがとう。本当に良かった」
涙ぐむおばさんを見て愛桜を呼んだ
「お母さん!」
「愛桜良かったね」
泣きながら抱き合う二人にホッと胸を撫で下ろした
「拓人君上がっていってね」
「いや…今日は帰ります。多分家のみんなも俺が帰ってこないこと気になってると思うんで」
そう言えば愛桜は残念そうに手を振った
「拓人さん。また明日」
「おう」
明日が来ることがこんなに幸せに感じる
愛桜との距離を離れて気づくことが出来た
「はあ…帰るの嫌になってきたな」
家族の反応を想像しながら家路につく、6軒先を今度はすごく近くに感じながら。
出会って18年通いなれたこの道が新しい世界に見えた
END




