プロローグ 苦労人、殺される。
ドンッ
大きな何かが当たった音がした。
それを確認した瞬間、俺、後藤 祐樹の体に信じられないほどの痛みが走る。
そのとき、俺はわかった。
ああ、俺――― トラックに轢かれたんだ、と。
なぜこうなってしまったのか、過去を振り返ってみよう。
家を出て。
信号が青になって。
急いで走って。
信号が途中で赤になって。
轢かれた。
自業自得じゃね?
ツッコミを入れつつ、俺は過去を振り返る。
ああ、短い人生だったなぁ。
16だよ!?16で死ぬなんて。
いったい誰が考えただろう。
え?自分は何時も考えてるって??
あー・・・。それはきっと、精神が逝かれてるんだ。
っていうか、俺、誰と話してんの?
俺も精神逝かれてきたかな?
俺はそう思いながら、意識がだんだん遠のくのが分かった。
ああ、死ぬのか。
死ぬなら、一回だけ、一回だけで良いから、
両親の顔が殴りたかった。
そう思って、俺の意識は完全に遠のいた。
***
「おっきて起きて、起きるのだぁ~!」
なんだかうざっ・・・とても気になる歌が聞こえ、俺は目を覚ます。
「ん・・・。」
「あ、起きた~!」
重い体を起きあげ、声の先を見てみると、六歳ぐらいの少女が居た。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「おっはよー!」
何だこいつ。無駄にテンション高いな。
「ひっどーーーーい!ユメ、泣いちゃう!!」
「勝手に泣けよ。あ、声出ちった。」
「まったくぅ・・・。ひどいな、祐樹君は。そんなんじゃ生き返らしてあーげないっ!」
プイッとうざったい奴――もとい少女はそっぽを向く。
え?何?生き返らしてくれんの?
カラ○ル(だっけ?)的な?あ、レイ○ボーだったか?
いいや、もう・・・。カラ○ルかレイ○ボー的な?
こんな感じの物語じゃなかったっけ?
「え?じゃ、まさか神?まっさかー!」
「そのまさかだもん!」
くるりっと少女は振り返る。
「ユメは神様!未練っぽいのがあったから生き返らせて上げよっかなー、って!」
い・た・い☆
ああ、夢だ。これは夢。目を覚ますんだ、オレェェェェェェ!!!!
「あ、むりだよぉ、きみ、死んじゃったから。」
死んだ・・・?
「いやいや・・・。死んでたらいないっつーの・・・」
「・・・もうっ!めんどくさーい!やりずらい!面白くない!
私、どんな世界に行ってもしーらない!」
どんな世界?・・・え?アフリカとか?サバンナとか?
まさか宇宙!?死ぬじゃん!
生き返ったのに死ぬとか。
俺がそんなことを考えていると、俺の下が開いた。
ぱかっ
「え!?」
「ばいばーい!お元気でー!!あ、言い忘れてたけど!!君に特別な能力付けといたから!」
聞こえねーよ!!!!!!!!!!
俺の耳には
「ばいばーい!お元気でー!!あ、いいわす・・・たけ・・・とく・・・能力・・・とい・・・たか・・・!」
としか聞こえてねーぞ!
能力ってなに!?
ハ○レンのれ○んきんじゅつ!?
それともフェ○アリーテイルのまほう!?
それともハ○ーポッターのまほー!?
それと((強制終了
俺は力いっぱいに叫んだ。
「こ・・・こんちくしょー!!!変態きもいイタイうざい自称神!!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
俺は暗闇に落ちていった。