第一話 最強の前衛(フォアード)
ここの前回のあらすじを書いていきます。よろしくお願いします!
『未来だ、君は』
理論革命というものがあった。
しかし、ここで全ての物理法則を統一する理論について多く触れるつもりはないとだけ先に言っておく。
知って欲しいのは、この世界がその理論で言うと多次元らしいということだ。
しかし、たて、横、高さ以外の次元はまだはっきりわかっていない。
一つ思うことがある、
それは素粒子というものが拡がり点と点を結んだ一本のヒモとなるのなら、単位もその性質を変えて色々な拡がりをみせるのではないか、ということだ。
非常に小さい点で一次元に拡がったヒモ、それは多次元の中でしか生きられない。
たて、横、高さ。知られていない余剰次元。そのヒモは数ある中から一つの次元にランダムに浸かる。
つまり、素粒子の単位が三次元の内にある【たて】という【長さ】と言う単位に何かしら影響を受ける、ひょっとしてイコールで結ばれるのでは? と思ってしまったんだ。
すると残りの多次元が求められ、次元は非常に小さいとき物質にもなるということが分かった。
次元は非常に小さくても大きくても、存在そのものは変わらないはず。
もしかすると、次元がこの世界の入れ物のようなものからこぼれたとき、何かに変わるということになるのかもしれない。それはまるで、私の好きな超能力のように。
いや、こういうのはよそう、本当はなってほしい。
一からやり直したいと何度思ったことだろう、安全で確実で幸せな世界に行きたかった。
でも。私がもっともやり直したい場所は、厳しくて不安定で不幸な、この世界だった。
書 方後丈 『九次元構成能力の部分的次元解釈について』 草案(修正済み②)
「たく、どうしてこうなった?」
俺こと矢炭 慎ははぁっと息をつく。
今は夏休み前、期末テストがあり、赤点を取らないためにそこそこの努力をした。
そのかいあってテストを無事終えることができた俺は、疲労回復のために今までの分も合わせて睡眠をとるかとシャツも脱がずにベッドにダイブしてそのまま布団もかけずに寝落ちした、はずだったんだ。
せっかくすやすやと寝ている顔に水をぶっかけられ、辛い現実に引き戻された。
さて強盗か、違う誘拐だろうか。すぐ辺りを確認するのはさすが学園都市の生徒といったところだろう。
どうやら数十人の生徒に囲まれている。場所はうちの寮近く、よく一対一の模擬戦が行われるさびれた闘技場の中心だ。
こんなところで寝るくらい、俺の財布は軽かっただろうか。ちゃんと家賃は払っていたはず。ホームレスになると現実と夢の区別がつかなくなるのか? 現実は一文無し、だったか。くそ、定期利用のサービスが圧迫していたか。
ジョークだ、こんなところに寝た覚えはない、断じてない。なんて思っていると、観客席方面にいる人が目にはいった。
俺の学校の生徒といったら正しいのだろうか。男子生徒はシャツとズボン。女子生徒は黒のチェックがらのスカート、プラス上は涼しそうな可愛らしい白い制服の人が多い。そいつらはまるで観戦でもしましょうかというふうに席に座って雑談していた。
よ~くわかったよ。つまり、誰からか決闘を仕掛けられたのだ。
バカが。このやり方にもっていくのに相当の時間と金が必要になるのが分かった。
チャリン、闘技場の使用許可。
チャリン、水面下で行動する情報操作。
チャリン、俺を部屋から出す能力者の協力。
言い出したらきりがないくらいだよ。
そもそも対超能力者用セキュリティの俺の部屋を突破するだけで、軽く国が買えるんだが?
お嬢様、それともお坊ちゃんだろうな。
ため息がでる。決闘を申し込んでくる相手に心当たりがあった。
取り敢えず逃げよう、しかし囲んでいる奴らを見るとその眼は人として見ていない冷めた目で隙が全く見当たらない。
その顔に少し頭にきたので馬鹿にしたように笑ってやったのだが、すると殴られた。
これは、どうしようもないな。このまま抵抗しても、ただ袋叩きにされるだけだろう。諦めたよ。
血をぷっと地面に吐き出し、大人しく今回の主役が出てくるのを待たされる。そいつは仲間と同じように金がかかっている制服姿でステージに入場、ドリルヘアと金髪をこれみよがしに見せつけて開口一番私不機嫌ですと匂わせながら言葉をぶつけてきた。
「やっと起きました。なんなのですかあの厳重なセキュリティ! おかげで運ぶのに結構かかったではありませんか!」
と請求書を俺の顔に叩きつけるなりふんぞり返る。別に頼んだわけじゃないのにどうしてキレられなければならないのだと思った、けど口には出さない。また、まわりのやつらに殴られるに決まっているから。
それに、俺は丁重に逃げ出したつもりなのだ。こんな奴らから。
「あいつら、ちくったなこいつらに」
小声でいった。こいつらとはこのメンバーのことだ。彼女達は今請求書を叩きつけてきた皆大路を先導者とする学園都市最強の前衛再月竹夏がいることで有名である。
もちろん今日もその再月さんはご健在であり、麻希の後ろかゆっくりと近づいてきて他の生徒と同じように見下した目をしていた。
ダルい、怒りでまわりの埃などが一瞬で燃え上がっている。【熱運動】という熱を操るその力は学園都市中に知られてもなお、その差は埋まることがない。それほど強力な力。
「再月さんよ? これは、どういうことだ?」
「黙りなさいよ‼」
ギリギリと鳴らす歯ぎしり、沸騰した感情。それに合わせて、目は猛りに猛ってゆらゆらと燃えているように見える。
「おいおい、さすがに再月さん本気すぎ。【深層化】はやり過ぎじゃね? もっとも皆大路さんも次元変化率最大のレベルフォースにコイツをしているし。そこまでして俺が憎いのかね?」
資格がなくなるのがわかっているのか。下手すればその死人はこの土地を踏めなくなるぞ?
「慎、一対一で勝負しなさい! それで叶帆ちゃんに勝ったら、あの三人組のいじめを止めてもらうから!」
「本当の所、問題を起こしたあなたに怒りをぶつけたいところですが。無能力者を力で屈服させたとなったら私に問題があると思われかねませんし。良かったですわね、無能で」
いちいちトゲがある言いかただ。再月と違って性格が悪い。
再月、激しく燃えるような赤色の髪を耳のすぐ上辺りで二つにまとめていて、程よいハーフツインテ? でまわりに好かれている。男関係まっさら百四十センチ少女。こっちのほうがいいか、男嫌い。
そんなだから、情報屋をよく使えって言っておいたのに。今回のことについても調べて欲しかったよ。
さて、皆大路その言葉を発した瞬間、客、なんだろうか。客席のボルテージは急上昇。
断れない雰囲気を作られた、らしいな。でもお蔭で忘れかけていた人物を思い出した。彼女を信じるならいるのだろう。あいつ、布印叶帆も……。
いた。この闘技場の照明が当たってないところに寝たまま転がされていた。彼女も被害者でした、という言い訳を作るつもりなのだろうか。彼女の三つ編みの髪は全然ぬれていなかった。
確かに面倒事をもってきた。だから俺だけいたぶられるのも当たり前だ、でも何故だろう。すごくイライラする。
これを乗り切ったら、もっと人を疑うことを教えてやろうか。
と、やり過ぎてはいけない。彼女が壊れたら、俺は明日からご飯が食べることが出来ないからな。
さて、俺もそろそろ動くことにしようか。ここまでこじれた問題でも知ったことではない。俺の目的は彼女達に勝つことではない。
最終的に自身の目的を達成できればいい。過程など、知らない。それでやっと出来ることが、代用可能な俺にできる歯車能力者としての役割なのだから。
初めましての方は初めまして、イイタチイリュウと申します。今日からこの そのあの【その余剰次元能力デ今ノ自分ヲ変エル、あの歯車無能力者イル】を投稿していきます。最初の内は再投稿なので、今まで見ていただいた方には物足りないと思いますが、どうぞ緩く付き合っていただければ幸いです。
皆さんにご満足いただいて、ブックマーク、評価、感想を貰うために頑張っていく所存です。
どうぞ、よろしくお願いいたします。




