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わからない

              ●

 起きた。


 灰色の空をボーっと見つめる。


 なんだか長い時間寝ていた気がした。


 屋根から降りる。


 あの子は部屋で寝ていた。


「…」


 よかった…


 あの時死ななくて…


 生きてて


 よかった…。


              ●


 おや!暗い!


 ぃや…黒い!


「…」


 要約すると、何も見えない。


「…」


 なぜかうつぶせで寝ている。


「…」


 何か不安になって右腕を伸ばす。


 右手が壁に触れる。土の壁だ。


 シャ!


 そのまま土を爪で掘り、左手も同様に土を掘った。



                ○


 何も無い日々を生きていると、不安というものが頭を支配し、いとも簡単に私を不安定にさせる。不安定になると頑張って築いた自信をいとも簡単に粉砕してくる。


 学校に行ってない私は劣っている。


 こんな私は親と一緒に映画なんて見てはいけない。


 ドラマなんて見てはいけない。


 楽しんではいけない。


 それに対して私は(ああ!もう!また来たよ!)(わかってる!わかってるよ!うるさいな!)と大きな盾を構える。盾を構えるがそれらは(はいはいまたこの盾ね、おじゃまします)と盾をするりとかわし私の中へと入って来る。


 (あなたってこの盾しか持ってないもんね)と言いながら重くなっていく不安に、私は足を滑らせる。滑らせるとテンションが下がって、腹が立ちやすくなって、返す言葉にトゲを投げてしまうのではないかと思い、急いで部屋に閉じこもる。布団にくるまり眠りにつこうとする。だが目をつぶると不安が鮮明に見えるようになる。今の現状に甘えて一歩も踏み出そうとしない自分、踏み出すにしても何をすればいいのかわからない自分、自分を深く知ろうとすれば知ろうとするほど、浅はかでつまらなくて、何の形のない面白味の欠片もない自分と顔を背けながら向き合う事になる。


 私は私に話しかける。


「わたしはなにがしたいの?」


「わからない」


「わたしはなにになりたいの?」


「わからない」


「なにがとくい?」


「わからない」


「じゃあなにがすき?」


「わからない」


「じゃあぎゃくにきらいなものは?」


「わたし…わたしがきらい」


「うるさいな!知ってるよ!うるさいな!」


「…」


「うるさい!うるさい!うるさい!」


          ●


「…」


 目を覚ます。


 ぁぁ…また長いこと寝ていたな。


「私はまた死んだのか…」


 ん?ぃゃ…


「なんでもなぃ…」


                 ●


「ぁぁ…」


 また少し弱ったあの子を見る。


「ぁぁ…」


 なぜこの世の中はこう、上手くいかないんだろう…。


 親と仲直りできました!部屋から出れました!これからの人生は楽しく彩られました!


 これではいけないのだろうか。


 これで、何が不満なのだろうか?何が不安なのだろうか?


 続くという事はそういう事なのだろうか?


 生きるという事は、残酷な事なのだろうか…

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