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アルスの異世界日記  作者: 藤の樹


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88日目 一時の帰還

●88日目(グリウス歴863年7月30日)


「ふぁあああ」

久しぶりのベッド。しかも一人で完全独占。これ以上の幸せはない。

厳密(げんみつ)に言えば一人じゃないんだけど、相手はミニマムサイズだから、

ほぼ独占といって問題ない。

しかも、戦地の急ごしらえの砦で、

こんなフカフカなベッドがあるなんて素晴(すば)らしすぎる。

隣では、まだリリーが眠ってる。

どうでもいいが、リリーはとにかくよく寝ている。

寝る子は良く育つというが、まさかこのまま大きくなりはしないだろうか。

たしか、ピクシーの大きい版はフェアリーという種族だったと思うけど、

そんな事はないだろう。

人間が良く寝ても、ジャイアントにならないのと一緒だ。たぶん。

窓から差す光から随分(ずいぶん)と寝過ごしている気がする。

多分、朝というより昼に近い時間のような気がする。

取り敢えず、ベッドから()い出て、着替えを済ます。

「リリー、起きろー。」

リリーを人差し指でほっぺを突っつく。

「んん~。」

「リリー起きろー、飯行くぞー。」

「ふにゃあー。」

なんちゅう声出してるんだ。お前は猫か。

「おはよー。あるすー。」

「ああ、おはよう。飯行くから起きろー。」

まだ、寝ぼけ眼のまま、フワフワと飛んで人の頭にしがみついた。

まあ、いっか。

そのまま、部屋を出て食堂に向かう事にした。


この砦は、最初は木材で突貫(とっかん)的に作られていたが、

徐々(じょじょ)に石材などの部材が運び込まれて重要箇所から順に石材で補強されるか、

石材で施設が造られはじめている。

それと驚いた事に橋の十三連合国側にも砦が築き始められていた。

とはいっても、今はまだ、防壁を築いている段階だが、

これにより2重の防壁が出来上がる事になり守りの堅い砦になると思われる。

ただ、橋を落とされると、どちらも孤立してしまう可能性があり、

そこが弱点といえば弱点だが、ジュノー王国軍はそれも見越して、

橋の補強にも力を入れているようだった。


「おや、今起きたのかい?」

そう話しかけてきたのは、この砦で調理を担当している

恰幅(かっぷく)のいい女性だった。

「ええ、久しぶりのベッドだったんで、随分寝過ごしちゃいましたよ。あはは。」

「そうかい。あんたが偵察に出ていたという冒険者なのかい。」

「そうですよ。僕だけじゃないですけどね。」

「なら、しょうがないね。座って待ってな。今、ご飯作ってきてあげるから。」

そう言って、奥へ引っ込んでいった。

この厨房(ちゅうぼう)では数十人が働いている。

この人数で全ての兵士の食事を提供している。

食事時の数時間前から、ここは、ある意味戦場になる。

そして、今は交代で休憩時間を取っているようだ。

それ程待たずに、料理はすぐに出てきた。

「今は、仕込みの最中でね。悪いが、有り合わせしか出せないんだわ。軽く温めてあるからそれで我慢しておくれ。」

「いえ、食べられるだけ助かります。忙しいのに手を(わずら)わせてごめんなさい。」

「いいよう。変な気を遣わずにさっさとお食べ。食べ終わったら、食器をあそこに置いといてくれればいいから。」

そう言って指したのは食器の返還口だった。

なるほど、本来ここはセルフサービスだったのね。

リリーは最近お気に入りの果物をねだってきたので、

異空間収納から取り出して渡した。

リリーが今気に入っているのは、小ぶりのトマトくらいの大きさで

一見すると紫のトマトと言えなくもない。

食感はシャリシャリしていて、リンゴのような感じだ。

味は甘酸(あまず)っぱいものから非常に甘いものまで個体差がある。

どうやら、リリーはその甘かったり、甘酸っぱかったりするのが

楽しいようだ。

今日はあまーいとか今日はすっぱーいとかケラケラしながら食べている。

そして今日は

「きょーは、あまーい。」

甘いらしい。

食事を取り終える頃、廊下からバタバタとこちらに走ってくる音が聞こえた。

「アルス殿。こちらにいらしたんですか。」

兵士の格好をした男がやってきた。

「そろそろ、会議が始まります。至急、お越しください。」

そうだった。今日は報告と合わせて会議するって言ってたっけ。

「ごめんごめん。もうみんな集まってるの?」

「はい。既に皆様会議室に(そろ)っております。あとはアルス殿だけであります。」

「すぐ行くよ。リリー、もう行くよ。これで手と口拭きな。」

置いてあったおしぼりを広げて、リリーの前に垂らした。

リリーはおしぼりの端っこで手と口を拭いてから、俺の肩に飛び乗った。

「じゃあ、行きますか。」

「こちらです。」


会議室に入ると、ジュノー王国側からバッシュ司令官を始めとした幹部3人。

フォーテルムーン法国側からはブレン元近衛隊隊長、今は戦時の特別任命で

法国軍司令官となったようだ。とその部下らしい2人。

大地の牙からピエール、そしてアンジェとマリア、最後に俺。

合計11人が席に座った。

ただ、バッシュ司令官とブレン司令官の部下は、

それぞれの司令官の後ろに(ひか)えて座る形となっている。

何故か、アンジェとマリアは俺の後ろに控えるように座っいた。

「なんで後ろ?」

「だって、わたし達のリーダーはアーくんじゃない。」

「んー、まあいっか。」


「さて、まずは各偵察任務ご苦労であった。大地の牙から報告を頼む。」

するとピエールは一つ咳払(せきばら)いをしてから話し始めた。

「俺達、大地の牙は周辺の村落に偵察に出た。結論からいうと村にはモンスターがいただけで村人は一人もいなかった。村にいたモンスターは、統率が取れておらず、数も少なかったから、最初の村で予定を変更して制圧する事にした。このモンスターは帝国のモンスターだった。死んだあと、魔石に変わったのを確認している。最初の村にいたモンスターはゴブリン8体のみだった。ゴブリンを倒した後、村を調査したのだが、村人はたぶん戦乱を避けて逃げたと思われる。村内には遺体やそれらしいものは一切見つからず、家財なども持ち出された形跡もあった。そして俺達が調査を終えて別の村に向かおうとした矢先、2人組の男女が村に入ってきた。見た感じ傭兵のような格好をしていたので最初は帝国側の傭兵かと思ったが、そうではなく、十三連合国の傭兵だった。この二人は偶々故郷の村に帰ってきていた所、このような事態になったと言っていた。そして家族と一緒に近くの森に逃げ込んでいるという話だった。俺達の素性(すじょう)を明かし、その家族を保護する形で、一度砦に帰ってきた。次の日には別の村を回ったが、特に得られるものはなかった。」

「保護した村民は後方へ送った。安心してくれ。」

バッシュ司令官は簡潔(かんけつ)に言った。

ピエールはふーっと息を吐いて座った。緊張していたのか?

「では、アルスの報告を聞こう。」

俺はタイス市の現状を報告した。

そして避難民の多くは南部の漁村周辺で

キャンプしている可能性が高い事も付け加える。

更に、帰り際に見た火災の明かりと思われる光景についても話した。

そして救出した2人の姉弟と途中合流した避難民についても簡単に説明した。

「するとアルスの見解ではタイス市やその周辺の村人は南の漁村に集まっていると見ているんだな。」

「全てではないと思いますが、かなりの人数が集まっていると見ています。ただ、急いで手を打たないと食料が尽きれば暴動や犯罪がまかり通る可能性は否定できません。」

「今、フォーテルムーン法国では難民の受け入れ態勢を急ぎ構築中です。聖女様を中心に人民台帳なるものを作っていると(うかが)っております。」

ブレン司令官が法国の状況を説明した。

「現状どのくらい受け入れ可能なのか?」

バッシュ司令官がブレン司令官に訊ねる。

「現状では1日30家族程度が限界と聞いております。」

「アルスの連れてきた避難民から聞いた情報を基に推測するとおよそ2万人がその界隈(かいわい)にいると予想している。」

「2万人ですか。流石にその人数は厳しいですね。」

「よって避難民に対する方針として、暫くはそのまま放置する事とする。ただし、こちらに逃げてきた者達は順次可能な限り保護する。フォーテルムーン法国には、避難民の数を考慮して受け入れ態勢を早期に構築してもらいたいと聖女殿に伝えて欲しい。」

「わかりました。」

「次にタイス市の状況を(かんが)みると、他の都市も同様な状況と見るのが自然だろう。ただ、魔物がどれだけ跋扈(ばっこ)しているのか、生き残りの人間はいるのか、都市は機能しているのか、正直予想がつかない。現状我々の戦力では、ここを守るのが精一杯だ。砦の建築も急いでいるが、建材の不足や、労働力の不足など問題が山積みだ。そこで基本的な方針だが、物資に関しては本国に要請する事とする。労働力については南部に避難した避難民から技術者を中心に集めたいとは思うが、この話が広まって難民が押し寄せてくるのは避けたい。方法については要検討といったところか。それと、今後、こちらに来ている冒険者達には、一度解散とする。ただし、申し出のあった冒険者グループには自由に十三連合国内に入ってもらい、魔物狩りを推奨(すいしょう)し、魔石の買取を行っていくようにしたい。」

「これ以上、軍費がかさむのは、確かに避けたいですからね。」

相槌(あいづち)を打ったのはブレン司令官だった。

「本国から文官や輸送部隊が来るのは、1週間程度と見込んでいる。アルス達や大地の牙も暫く自由に活動してくれて構わない。」

バッシュ司令官は一度周りを見回してから、

「特に意見もなければ、これで終了とする。ご苦労だった。」

解散の合図で、各々が席を立ち始める。

「バッシュ司令官。ちょっといいですか。」

「おう。」

バッシュ司令官の席に近づき、報酬の件を訊ねた。

「ああ、そうだな。ピエール、アルスと一緒に来てくれ。アンジェ達の報酬はアルスに一任で構わないか。」

後ろを向くと、アンジェとマリアは(うなづ)いていた。


別室に通されると、そこはバッシュ司令官の執務室のようだった。

「今回の報酬だが、大地の牙はこっちだな。」

そう言って金貨の入った袋を渡す。

「そっちのテーブルで先に確認してくれ。最初の条件どおり出ていると思う。」

受け取ったピエールは近くのテーブルで中身をさっと確認し、

すぐに退席した。

「さて、アルス達の報酬だが、偵察任務分はこちらで払えるのだが、本国とギルドからの依頼についてはギルドで受け取ってほしい。理由は2つほどある。一つは、報酬の内容をこちらで知らされていない事、もう一つは追加で仕事を頼みたいからだ。」

「次から次へと、人使いが荒いんじゃないですか。」

「まあ、そういうな。お前たちにとってはついでの仕事だ。一度ランゴバルドまで戻って、親書や報告書を持って行ってもらいたい。お前達に持って行ってもらえれば、時間短縮にもなるし、貴重な人員を割くこともなくなる。伝令としての報酬は偵察任務に上乗せして払うつもりだ。頼まれてくれるか。」

俺が転移の魔法を使えるのは、ギルドのお偉方(えらがた)や軍の一部には

知られてしまっているようだ。

どのみち、一度戻らないと報酬も貰えないし、

俺自身が持っている食料も結構減ってきている。

ここで補給するのは必須だ。

「わかりました。受けますよ。」

「お前ならそう言ってくれると信じてたよ。」

ニカッと笑って袋を差し出してきた。

「運んでもらう書類は1時間後に取りに来てくれ。それまでに用意しておく。」


アンジェとマリアの所に戻り、俺の使っていた寝室に移動した。

偵察任務の報酬は、3人で金貨300枚だった。

偵察任務自体の報酬は金貨90枚で

ランゴバルドまでのお使いが10枚といったところだ。

「一人100枚って、結構奮発(ふんぱつ)してくれたのね。」

マリアが自分の受け取り分を仕舞いながら言った。

「この後、俺はランゴバルドに一度戻るけど、2人はどうする?ここで魔石集めをして稼いで待っててくれても構わないけど。」

「一緒に行く。」

アンジェは即答した。

「そうね。報酬の内10枚はお使いの報酬でしょ。受け取ったなら、一緒に行くべきだと思うの。」

マリアも答える。

「じゃあ、みんなで行こうか。」


1時間後、バッシュ司令官から書類や親書等を受け取り、

すぐに出発する事にした。

一度、フォーテルムーン法国のユミコ達の所に寄る事も考えたが、

直接ランゴバルドを目指す事にした。

砦を出て、人目に付かない場所まで来たところで、

アンジェとマリアに提案する。

「ここでゲートを使ってみようと思う。アンジェとマリアは周囲を警戒していてくれる?」

索敵で周囲に人がいないのは確認済みだが、念には念を入れて注意しておく。

「いいわよ。」

マリアが、ディテクト系の魔法をいくつか使い、周囲を警戒する。

さて、ランゴバルドに近くて、俺の記憶で最も馴染みのある場所で、

安全そうな所は・・・。

そうだ。最初の頃、薬草摘みでよく行った大きな岩場はどうだろう。

記憶を頼りに岩場のイメージを思い起こす。

「ゲート!」

しかし、ゲートは現れなかった。

うーん。岩の形が朧気(おぼろげ)だし、駄目か。

そうしたら、よし、これならどうだ。

「ゲート!」

すると、小さめのゲートが現れた。

「よし、成功した。アンジェ、マリア、行くよ。」

そう言って、ゲートを潜り抜けた。

ゲートを潜り抜けた先は、とある一室だった。

俺に続いてアンジェとマリアもゲートを抜けた。

目の前には、口をパクパクさせて、目を見開いているシモンギルド長がいた。

「あっ、ギルド長居たんだ。」

「ただいま、戻りましたわ。」

「シモンギルド長、急に済まない。」

3人が各々シモンギルド長に声を掛ける。

「はあー。おまえらなー。びっくりさせんじゃない。」

シモンギルド長もゲートを間近で見るのは初めてのようだ。

「一瞬、何事かと思ったぞ。しかし、これがゲートの魔法か。少し考えなければな。」

シモンギルド長はブツブツと独り言を何やら(つぶ)いていた。

「ギルド長。遠征軍から使いを頼まれたからそれを引渡しに来た。それと報酬を受け取りに来た。」

「ん?ああ、報酬か、それとなんだって?」

「遠征軍から報告や書類を預かってきた。」

「そうか。」

シモンギルド長は少し考えてから答えた。

「お前ら、どうせこの後、街で買い物とかしていくんだろ。辺境伯に来てもらうのと、報酬を準備するのに時間がかかるから2時間くらい、ぶらついて来てくれ。」

そう言って部屋の扉を開くと

「ヘレーン、すぐに来てくれ。」

大声で下の階にいると思われるヘレンさんを呼び出した。

バタバタと駆けてくる足音が聞こえてきて扉が開いた。

「何ですか。ギルド長。この忙しい時に呼びつけないでって・・・、あらっ?アルスくんにアンジェさん、マリアさんまで。いついらしてたんですか?2階に上がる人なんて見ませんでしたのに。」

首を傾げながらも、おかえりなさいと挨拶してくれた。

「それよりも至急辺境伯宛てに使者を出してくれ。アルス達が帰ってきた。すぐに来てくれと。」

「はい。わかりました。アルスくん、あとでゆっくり話聞かせてね。」

そう言って、手を振って部屋を出て行った。

「それじゃあ、俺達も買い物にでも行こうか。」

「宿屋も手配しないとね。」


ギルドを出ると、そこは(なつ)かしい光景だった。

人の活気も前と変わらず、相変わらず(にぎ)やかだ。

「先に宿屋を見つけましょ。」

マリアが率先して歩き出した。

俺の知っている宿屋は、冒険者になったばっかりの時に使った安宿の

日暮亭と余裕が出てきて利用していた銀の鹿亭という宿屋だが

アンジェやマリアたちは更に一つ格上の宿屋を使っていたようで、

そこに向かっていた。

宿の名前は水の(いこ)い亭という宿屋だ。

銀貨8枚からという王都並みの価格だが、風呂も常設されている高級宿だ。

「ようこそ、お越しくださいました。アンジェ様、マリア様。そちらにいらっしゃる方は初めてでございますね。」

宿というより、ホテル感が否めない造りの宿で、

入り口を入るとそこそこ広いロビーになっていて、その一画に置かれた

ソファーセットに座るよう促された。

「本日はお泊りでいらっしゃいますか。」

「ええ、部屋は空いてますか。」

「はい。開いております。お部屋はいかがいたしましょうか。」

「わたし達はいつも通り、2人部屋で。アルスは一人部屋で。」

「畏まりました。しかし、生憎(あいにく)と一人部屋はダブルしか空きがございませんがよろしいでしょうか。」

「いいよね。」

マリアが訊ねてくる。

「えっ?ああ、いいよ。」

「じゃあ、それでお願いね。」

(かしこ)まりました。お部屋をご用意いたしますので、それまでこちらでお(くつろ)ぎ下さい。」

そう言って、別の宿の者が飲み物を運んできた。

「この宿も久しぶりね。」

アンジェがマリアに言う。

「あ、あのさ。さっき言ってたダブルって何?」

「部屋の種類の事よ。普通一人部屋はシングルって言うんですけど、ダブルは部屋とベッドがそれより少し大きい部屋の事よ。カップルなんかはよくダブルを利用するわね。わたし達が入る部屋はツインと言って、シングルのベッドが2つの二人用の部屋よ。それと貴族用の部屋でスイートルームなんて部屋もあるわね。」

「へー。」

一人で宿屋を使っていた身としてはそんな物があるのも知らなかった。

「でも、こういった種類がある宿はそれなりの宿だけですけどね。」

マリアが出された飲み物を飲みながら答えてくれた。


「お待たせいたしました。ご案内いたしますので、どうぞ、こちらへお越しください。」

案内役の女性、メイドとは違った衣装でどうやら制服のようだ。

その女性が上品な感じで案内してくれた。

俺の部屋は2階の手前、階段から然程(さほど)遠くない場所の部屋で、

アンジェ達の部屋は更に奥へ行った場所にあった。

一旦部屋の前で別れて、部屋に入る。

「お客様は初めてとの事ですので、建物のご案内をさせて頂きます。まず、浴室は一階にございます。男性用と女性用に分かれておりますので、お間違いないようお願い致します。お食事はお連れ様のご要望でお連れ様の部屋にてお召しいただきます。ご用意できましたらご案内させていただきます。夜間の出入りもできますが、出かける際には受付に一言お申し付けください。部屋の鍵を預からせて頂きます。お帰りになられた時は受付で鍵をお受け取り下さい。ご不明な点がございましたら、受付までお越しください。それでは、失礼いたします。」

そう言って案内してきた女性は去っていった。

一人になり、呆然(ぼうぜん)としていると、

肩に乗って姿を消していたリリーが姿を現した。

思わず、2人で見つめ合う。

「なんか、すごいというか、圧倒されちゃったな。」

「むずかしいことば、リリーわかんなーい。」

「まあいっか、今日はここに泊まるよ。リリーもあまり悪戯(いたずら)しちゃ駄目だからね。」

部屋の中の調度品はパッと見、高そうである。

壊したら要らぬ出費になりそうなのでリリーに釘を刺しておく。

それにしても、部屋デカすぎじゃないか?

大人2人だと逆に少し手狭に感じるかもしれないが今の俺って子供だし。

ベッドなんかダブルベッドというよりトリプルベッド位に

感じちゃう大きさに見える。

しかも部屋の清潔さが今まで使ってきた宿に比べると雲泥(うんでい)の差だ。

掃除も行き届いているし、ベッドメイクも丁寧だ。

ぼふっ。ベッドに倒れ込んでみる。

「こ、これは・・・ふかふかだあ。」

これはヤバい。このままいたら、あっという間に眠ってしまいそうだ。

リリーも真似してベッドに飛び込んだ。そして、そのまま動かなくなり、

(のぞ)き込んでみる。なんと、もう眠っているだと。

「そうだ、風呂だ。」

ガバッと起き上がり、危うく眠りこけてしまうのを回避した。

リリーを(つか)んで、急ぎ風呂に向かう。

鍵を受付に渡して、風呂に場所を教えてもらう。


「ふー、風呂なんて久しぶりだ。」

湯船につかり、まったりとする。

リリーも足を湯につけただけで熱いからと言って、

今は桶を湯船に浮かべてそれに乗って遊んでいる。

ピクシーにはお湯に入るとか水で洗うという習慣がないらしい。

だいたいが魔法で綺麗にするのが通例との事だ。

他に人がいたらどうしようかと思っていたが、

この時間に風呂に入る人は稀のようだ。

このような宿を利用するのは下級貴族や上級商人、

ある程度成功を収めている女性の冒険者が多いと聞いている。

そういう事もあり、今は貸し切り状態だった。

風呂を満喫して上がる頃には、リリーは飽きてしまったようだ。

最後は、何か動物を模った湯口から出てくるお湯を

滑り台に見立ててウォータースライダーのようにして遊んでいた。


部屋に戻ると、アンジェ達が普段着でやってきた。

アンジェ達も一旦風呂に入ってきたらしい。

こうして見ると、2人とも湯上りのせいもあって、

かなりの美人だと気づかされる。

「アーくん、買い物行こう。その後、もう一回ギルドに行かないと。」

ああ、そうだった。風呂に入った後はまったりしすぎて忘れていた。

買物と言っても、食料の補充とタオル代わりの布切れ等の

消耗品の補充くらいだ。

そう時間もかからないはず。

市場へ出かける事にした。

3人で歩きながら、多少買い食いしながら買い物を済ます。

確認すると思ったより果物の在庫が減っていたので、少し多めに買った。

そしてタオル代わりの布も今持っている物は

ほとんどボロボロになり始めていたので新しいものに代えた。

枚数も5枚だけだったのを20枚にした。

それでも出費は金貨で6枚ほどで済んでいる。

この世界は生活雑貨や食料は基本安い。

品質は仕方ないが、そこは諦めるしかない。

普段着も今回は追加して買った。

最近、教えてもらった生活魔法のクリーンと呼ばれる魔法で

毎朝綺麗にしていたが、流石に毎日着ていると痛んで来ていた。

それなので、新しく服を3着購入した。もちろん下着もだ。

一人だったら気にしなかったかもしれないが、

2人と一緒に旅するのにボロでは呆れられてしまうかもしれない。

別に変な期待しているわけじゃない。そこは間違えないように。

って俺は誰に言ってるんだ。

アンジェやマリアも服やら何やら色々と買い込んでいるようだった。


さて、そろそろいい時間だと思われるので、2人を連れてギルドへ向かった。

ちなみにリリーは服の中でずっと眠りこけている。

今度、リリーにも何か服買ってやろうか等と思ったが、

リリーに合う服って、どこに売ってるんだ?

マリア曰く、人形を作っている人に頼めば良くってよ。

と言っていたが、人形を作っている人なんて見かけませんよ。

そんなこんなでギルドに到着した。


ギルド長の部屋には既にランゴバルド辺境伯とシモンギルド長が待っていた。

「来たか。元気そうじゃないか、アルス。それにアンジェとマリアだったか。」

ランゴバルド辺境伯が屈託(くったく)のない笑顔で出迎えてくれた。

「辺境伯もお元気そうで何よりですね。」

「元気なものか。忙しすぎて誰かに仕事を代わってもらいたいくらいだ。ハハハ。」

うん。元気有り余ってるね。

「早速だが、預かっている物を渡してくれ。」

いきなり真面目な顔で辺境伯は言った。

異空間収納から親書やら報告書やら、

手紙などかなりの量が入った木箱ごと出した。

辺境伯はそこから、サッと手紙を取り出し、仕訳け始める。

上に置かれた数枚の手紙やら書類と言っても羊皮紙だが、を取り出し、

残りをギルド長に木箱ごと渡した。

残りの手紙はほとんどが私書であるようだ。

その取り分けた1枚の封書を開け、サッと読みふける。

そして読み終えると、腕を組みながら目を瞑ったまま考え込んでいた。

シモンギルド長も箱に入っていた手紙の1通に目を通している。

情報収集役の冒険者からの手紙なのかもしれない。

(しばら)くの沈黙の後、ランゴバルド辺境伯はボソッと

「手が足りんな。」と(つぶや)いた。

「ギルド長。今、うちにいる冒険者はどんな感じだったか?」

「Bランクの大地の牙、アンジェとマリアは言うに及ばず、Cランクは全員戦地におります。Dランクは輸送の護衛や複数パーティによる上位案件を遂行してもらっています。あとはEランクとFランクですが、こちらは数に入れられませんよ。」

「そうか。そうなると、エルフとドワーフに来てもらうしかなさそうだな。それと援軍だが、そうだな。工兵2個中隊、歩兵3個中隊、騎兵2個中隊、魔術兵1個中隊がいい所か。」

「1個大隊も動かすのか。」

シモンギルド長が訊ねる。

「1個大隊しか出せないと言った方が良いかな。バッシュからは1個旅団送ってほしいなどと言ってきておる。」

「そんなに?報告ではそれほど切羽(せっぱ)詰まった話ではなさそうですが。」

「今はまだな。」

「というと?」

「アルス、お前達がタイス市に偵察へ出たのだろう。その時の話を直接聞かせてくれ。」

そう訊かれたので、ありのまま話した。

「つまり1都市の住人が逃げ出したという事は、仮にその半数が生き残ったとしても数万人規模と考えてもいいだろう。それが13都市全てで起こっていた場合、その避難民たちがこちらに移動してきたらこの数でも対処はできまい。

更にその混乱に乗じて帝国が侵攻してきたら大惨事(だいさんじ)は間違いないだろう。今、帝国に送っている間諜(かんちょう)によれば帝国内の不穏分子共の取り締まりで粛清(しゅくせい)が起こっているとの事だ。それが収まれば、再度進行してくる公算が大きい。そうなると、こちらはそれまでに、いかに多くのモンスターを討伐して、いかに多くの避難民を受け入れられるかが重要になってくる。ただし、帝国の間諜が(まぎ)れ込んでいる可能性も排除しなくてはならない。そうするとどうにもバッシュの言う通り、1個旅団とは言わず1個師団くらいは必要ではないかと考えている。」

「しかし、現状1個師団も投入は出来るんですか。」

「ああ、そうだ。いくら何でも国を空にするわけにもいかん。そこで、エルフとドワーフにも動いてもらおうと考えている。」

「しかし、エルフもドワーフもついこの間巨人族の襲来で被害が出ています。そう易々と兵を出すとは思えませんが。」

「何、別に兵を出してくれなどとお願いするわけではない。今、十三連合国内ではダンジョン産のモンスターが蔓延(はびこ)っている。倒せば、魔石が簡単に手に入るだろう。エルフやドワーフには通行の許可を出すから稼いだら如何(いかが)かと打診するだけだ。」

「確かにエルフやドワーフは魔石を欲しがっておりますが、兵を出すでしょうか。」

「いや、兵は出さんだろう。どちらかと言うと、少数精鋭の人数でやってくるんじゃないか?。俺ならそうする。特に冒険者風の者が来るだろう。少なくとも、モンスター狩りには有効という事だ。それに以前の誘拐事件の事もある。向こうにとっては調査も同時に行える可能性も考えれば動かざるを得ないだろう。」

「なるほど。そうかもしれませんな。」

俺は一つ疑問を投げかけた。

「辺境伯もギルド長もそんな話を一冒険者の俺達の前でしてもいいのか?」

「ふっ、お前達には逆に知っておいてもらいたい話だ。」

「そんなこと言って、どうせまた俺達をこき使おうって考えなんでしょ。」

「人聞きが悪いな。仕事を斡旋(あっせん)しているだけじゃないか。」

辺境伯は悪ガキのような不敵な笑みを見せた。

「物は言いようだな。それで、俺達に何を斡旋するつもりなの?」

「さっきから人聞きが悪いな。なに、エルフやドワーフが来た時に仲違いせぬよう、仲裁してくれればいい。何せ、お前は妖精族の友なんだからな。」

またしてもニヤリと笑うのだった。

「斡旋って自分で言ったんじゃないか。まあ別にいいよ。そのくらいなら。それで、その請負料ってどのくらいなの?ああ、そうだよね。エルフやドワーフって今や国賓(こくひん)扱いだもんね。大変だよね、自分の国民が国賓に喧嘩(けんか)しかけちゃうと国際問題だもんねー。今後の外交がやりにくくなっちゃうもんね。それは大変栄誉あるお仕事です。(つつし)んでお受け致します。」

片腕を胸の前に持って行き、片足を半歩後ろに上げて貴族がやるような仕草で

(うやうや)しくお辞儀をした。

それを見ていたシモンギルド長とアンジェとマリアは

このやり取りが可笑(おか)しかったのか、笑いをこらえるのに必死になっていた。

そんな様子も辺境伯は意に介さず続けた。

流石(さすが)は天下のアルスくんだね。そこまで分かっているなら問題ない。そして問題があるのは喧嘩を吹っ掛けそうになる上司に問題があるやもしれん。そこの責任者には問題解決の為に自ら行動しなければなるまい。」

「えっ?」

シモンギルド長はこの話の流れが自分にとって

かなり雲行きが悪くなっている事に初めて気が付いた。

「そうですね。流石は辺境伯。見識の広さに感服(かんぷく)致しました。」

「うむ。して、そちはどの程度の費用があれば事足るかね?」

「そうですね。期間にもよりますが、エルフ、ドワーフ国賓の滞在期間1日あたり金貨10枚もあれば、いかようにも。」

「そうであろうな。国賓であるからな。」

「では、元凶のシモンギルド長、よしなに。」

「えっ?えっ?」

シモンギルド長は目を白黒させながら、助けを求めるように周囲を見渡した。

そこには、辺境伯の付き人の兵士2人とアンジェとマリア以外いなかった。

そしてその4人は自分に被害が及ばないよう、

そっと遠くを見つめているだけだった。

自分には味方がいない。そう(さと)った時には既に遅かったのだ。

「こんな時こそのヘレンなのに。ああ、今日は使いに出してしまったんだった。間違いなくヘレンに殺される・・・」

シモンギルド長はこの後の説教を考えると気が遠のいていくのだった。


「では、後ほど、部隊に届ける書状を届けさせる。」

一転して、まじめな顔でアルスに伝える。

「私共は、水の憩い亭という宿におりますので、そちらにお持ちいただければ助かります。」

「わかった。水の憩い亭だな。では、私はこれにて失礼する。」

そう言って気持ち早足で部屋を出て行こうとする。

慌てて付き人もそれを追って後に付いて行った。

あっ、逃げた。

「アルス君、嘘だよね?」

シモンギルド長が泣きそうな顔で言ってきた。

「さあ?」

「アルス君、いや、様、どうかご勘弁(かんべん)を。こんなことが知れたらヘレンに殺される。」

そう言ってアルスの腰に纏わりついてきた。

「誰が、誰を殺すのですって?」

辺境伯が出て行った扉にはヘレンさんが仁王立ちしていた。

「ひぃ。」

「お座り。」

シモンギルド長はうな垂れたまま、その場に正座した。

「アルス様、ご説明頂けますでしょうか。」

その言葉にふとヘレンさんの顔を見た。

「うっ。」

思わず後ずさったが、足がソファーにぶつかり、

それ以上退路がないという状況を理解した。

Aランク冒険者を(ひる)ませることができるのは後にも先にも

ヘレンさんしかいないのではと錯覚せざるを得なかった。


結局、この依頼は冒険者ギルドからという事で、

金貨100枚で請け負う事になった。

その代わり、別の報酬が用意されたのだ。


「今回、アルス様は、ゲートの魔法で直接ギルド長の執務室へいらっしゃったんですよね。」

ヘレンさんはここまでの話の流れを詳細に訊きだしていた。

「いやあ、結構ここに何度も来ていたし、宿屋でも良かったんだけど、もし、人がいたら迷惑かけちゃうでしょ。そしたら、ここが一番かなって。えへっ。」

「えへっ、じゃないですよ。大事な商談中だったら、それこそどうしてたんですか?」

「うん、ごめんなさい。」

「それでは、今後もこのような事があるかもしれないという事ですよね。」

「うーん、安全な場所さえ見つかれば、そこを転移の拠点として使うつもりだけど。」

「そうは言っても、アルス様は冒険者です。例えば家を借りるにしても買うにしても、留守がちじゃないですか。そこを拠点にするのは危険です。」

「そうだけど、そこは魔法である程度何とかしようかなって。」

「駄目です。危険です。」

「はい。」

「そこで、今回ポカをしたギルド長に代わって別の報酬をご提案させてもらいます。」

「別の?」

「そうです。アルス様は今後、今回のように転移でこちらに来る可能性は非常に高いものと判断いたしました。そして、街中でそのような場所は、そう多くはございません。そこでギルドと致しましては、今回の報酬を金貨100枚と

転移用の部屋をギルド内に設けるという事で手を打ちたいと考えています。」

「はっ、もしかしてあの部屋を使うつもりかね。ヘレン君。」

ジロッ。ヘレンさんは沈黙の威圧でギルド長を黙らせた。

ギルド長は再び目を落とす。

ここまで来ると、哀れな感じがして逆に申し訳なくなってくる。

「このギルドには、隠し部屋が存在します。本来の用途は危険な状態になった時用のシェルターなのですが、実はシェルターはもう一つございます。今の段階では一つあれば十分ですので、その部屋をアルス様に使用して頂きます。

その部屋の存在は、ギルド長とわたくし、そして辺境伯のみ知っている部屋となっておりますので、安全に使用できると思います。これで手を打って頂けないでしょうか。」

たしかに、ランゴバルドに転移先として安全地帯があるのは、

この先の活動次第でかなり有用ではある。

しかも、ギルドは24時間活動している。

使えればこれ程の物は無いだろう。

しかも今回の報酬自体、別に本気で取ろうなんて思ってもいなかった。

何となく流れで吹っ掛けただけで、

最終的にギルドに矛先が向かうとも思ってもいなかった。

そうであれば、結論は早い。

「いいですよ。ヘレンさんからの頼みですから。」

「ありがとうございます。」

「シモンギルド長もいいですね。」

「ああ、問題ない。」

「ちなみに、言い負かされてしまったギルド長は一部自費で(まかな)ってもらいます。」

「まじかー。そりゃないよー。ヘレン、頼むよー」

「ダ・メ・で・す。」


こうして、俺はランゴバルドに転移先をゲットすることができた。

あとでアンジェとマリアに聞いたのだが、

元々、このギルドの長を決める時にヘレンさんが最有力候補だったそうだ。

しかし、ヘレンさんは上に立つのは男が望ましいと

次点で候補になっていたシモンに譲ったそうだ。

ヘレンさん曰く、私はいずれ結婚して温かい家庭を築くのです。

と言っていたのだが、まだ、その予定は全く立っていないようなのだ。

有能すぎるヘレンさんを(めと)る事の出来る男っているのかね?

その疑問にアンジェとマリアはお互い微妙な顔で見つめ合っていた。


ちなみに今回の法国への活動に対する報酬は白金貨80枚だった。

今の俺の所持金は白金貨500枚以上、金貨1500枚以上だ。

日本円に換算するとおよそ6600万円強と言ったところだ。

こちらの世界に来て早3ヶ月。

月に2000万ペースで稼げるのもこのチートな能力のおかげだ。

前世では貧乏ではなかったようだが、金持ちだったという記憶もない。

極々一般的な生活をしていたように思う。

でも、まだ人生先は長い。

あって困る者でもないし、稼げるときに稼ぐのはいい事だと思う。


そんなこんなで宿に戻ってきた。

宿では既に辺境伯の使いの者が待っていた。

転移先に指定した部屋を見ていたり、

転移しやすいように自分なりの目印を付けたりで、時間がかかってしまった。

使いの人は、仕事ですからと書状を渡して帰っていった。


もうすぐ夕食の時間になるということで、

アンジェとマリアの部屋で待つことにした。

「今回、報酬値切られてごめんね。」

アンジェとマリアにとっては、多分、お金の方が良かったと思っている。

部屋の報酬は俺以外には利点が無いのも確かだ。

「いいよ。別に。だって、元々報酬貰えるような仕事でもないじゃない。いいとこ手間賃ぐらいよ。普通はね。」

「そうです。アーくんと辺境伯が(おど)し取ったようにもって、別に悪いとかじゃないの。」

「だってあれは、元々辺境伯が弄ってきたから、仕返しにってやってたら、いつの間にかギルド長が貧乏くじ引いた感じになっちゃっただけだよ。」

「シモンギルド長も可哀そうだよね。なんでも毎月お給料から1割引かれるんだって。奥さんと子供もいるのにね。」

「へー、シモンギルド長って結婚してたんだ。」

「お子さんは、まだ5才くらいって言ってたっけ。」

「奥さんはどんな人なの?」

「下級貴族の三女っていってなかったっかな。」

「あれっ?上級商人の末娘じゃなかったかしら?」

「まあ、あれだ。いいとこのお嬢さんだった人だね。シモンギルド長も隅に置けないな。」

コンコン。

「失礼いたします。お食事をお持ちしました。運び入れてよろしいでしょうか。」

「どうぞ。」

扉が開くと、食事を持ってきた数人が手際よくテーブルに食事を並べていく。

白い皿に綺麗に盛り付けられたその食事は、

フランス料理のレストランに出てくるようなイメージがふっと湧いた。

「豪華だね。」

「味も美味しいのよ。」

一通り並べ終わって、スタッフたちは出て行った。

「それでは、いただきましょう。」

「「「いただきます。」」」

食事中には、今日のギルド長の部屋でのやり取りであそこが面白かったとか、

あんな風に切り返してくるなんてとか盛り上がった食事になった。


食事の後は、再びお風呂に入った。

部屋に戻り、ふかふかのベッドに入ると魔法でも掛けられているんじゃないだろうかというくらいにあっという間に眠ってしまった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 前世でホテル泊まったことなかったのかな……
[気になる点] 今まで生活魔法 生活魔法があることは最近知ったので?
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