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女子高の文化祭で始まる恋  作者: 柊聖月


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大和の秘密と文化祭

今度の日曜日、大和君の学校の文化祭だって言ってた。


日曜日……いつもはバイトで会えないから「行って良い?」って聞いたら、大和君、何かハッキリしなかった……。


行っても良いのかな? 大和君、迷惑なのかな? どうしよう……。


「安奈、何しかめっ面してんの?」


「あ、真理……。うん、今度の日曜日、彼……大和君の学校、文化祭なんだけどさ」


「彼、文化部だって言ってたよね。文化祭ならお披露目じゃん」


「うん、だから行きたいんだけど、来てって言わなかったんだよね……。黙って行ったら駄目かな?」


「サプライズもありなんじゃないのかな……」


「そうかな〜」


「所で、彼は何部なの?」


「……それが、絵を描いてるとしか言わなくて」


「じゃ美術部しかないじゃん。で、彼は上手いの?」


「まだ見た事ないから分からないよ……」


「だったら、余計に行かなきゃだよ」


「……うん。そうだね」


−文化祭前日−

大和は実行委員として、各文化部の会場設営やステージ部門のリハーサルをサポートしていた。副委員長の立場からすれば、来年は実行委員長として全体を仕切らねばならないため、先生や委員長について色々と覚えなければならないことが山積みだった。


それに、自身の部活のこともある。大和が所属するクラブには上級生がいないため、すべてが手探り状態だった。


大和が立ち上げた【アニメーション・イラスト制作クラブ】は、今回が初めての文化祭。まだ正式な部活としての予算もないため、今のバイト代はすべてクラブの活動費用に消えていた。


すべては明日のためだ。なんとか成功させたい……。


安奈が「来ても良い?」と聞いてきてくれたけれど、実行委員の仕事とクラブの仕切りで余裕がなく、きっと案内もしてあげられない。だから大和は、ちゃんとした返事ができなかったのだ。


−文化祭当日−

き、来ちゃった……。私は電車とバスに揺られ、大和君が通う学校に来ていた。


家を出てから一時間半。たどり着いたそこは、急な坂道が並ぶ山の中だった。


「こんな山の中にあるんだ……」


朝、彼と別れる時間から考えると、自転車で通う大和君の体力の凄さに、改めて胸が躍った……。


受付でパンフレットを受取り、美術部の会場を探す。


「えっ? パンフレットの表紙……大和君の絵なの?」


「安奈、どうしたの?」


「パンフレット、大和君の絵だって……」


「え……? あ、本当だ、製作者の名前がある……。 彼、凄いんだね。やっぱ美術部だよ」


「うん」


安奈たちはパンフレットに書かれた美術部展示会場を目指して移動した。そして……美術部展示会場の外から、そっと大和らしき男子を探した。


「安奈、大和君いる?」


「いない……」


「しょうがない。すみませ〜ん」


真理が美術部の人に問いかけた。しかし、返ってきた答えは予想外のものだった。


「大和君は美術部に居ないって……」


「え……じゃあ、何処なの?」


「とりあえず、端から全部回る?」


「う、うん、ごめん真理」


「良いよ、私も勝手に来たんだから。さ、行こう」


しばらく校内を探していると、ひときわ賑やかな会場があった。


「アニメ上映してま~す!」


「安奈、ここ……」


「そうだね……」


そっと中を覗くと、大和がいた。


「ま、真理、いた……」


「凄い人だね……中、入ろうよ」


「……うん」


人混みに紛れてセル画やイラストの展示物を見て回った。そしてある絵の前で、私は足を止めた。


「タイトル【大好きな彼女】って、これ……」


「あ! 佐藤さん……。き、来てたの? あ、ああ、あ、こ、これね……」


「大和君、来ちゃった。でもこれ、あの時の写真?」


「……あ、ああ。あの時の写真見て描いたやつ。えと、あ、所で、彼女は?」


「あ、私の親友の真理。今日付き合って貰ったんだ」


「内海真理です。」


「桂木大和です、よろしく」


「あ、佐藤さん、ごめん、案内は出来ないかも……。お菓子あるから食べてって」


「じゃ、しばらく大和君の働き見てる」


「なんか照れる……。内海さんもゆっくりしてって」


「ねえ、アニメもあるの?」


「ああ、そっちがメインかな! 教室の奥の暗幕の部屋で上映してるよ」


「見ても良い?」


「是非!」


「安奈、見てみようよ」


こうして私は、大和の学校生活に触れることができた……、あのイラストと共に。タイトル【大好きな彼女】。


彼が口にしなかった……、けれど私が欲しかった言葉がそこにあった。

本作品はフィクションです。登場人物・団体名等はすべて架空のものです。著作権は著者に帰属します。無断転載・複製を禁じます。

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