三匹が撮る!
ごとんと鉄の車輪が回る音がした。
窓の風景が動きだした。いよいよ、出発時刻を迎えたのだった。
好子は見慣れた広島の街が遠ざかっていくのを見て、妙に寂しさをおぼえた。
列車が宮島口駅を過ぎたあたりで、午後5時を回っていた。
ご飯を食堂車で食べようと言い出したのは好子だった。
魔法少女は自分の食事を魔法で出せるので、わざわざ食堂で食べる必要はなかった。それでも、好子が食堂車での夕食を提案したのは、旅行の気分を味わいたいという一心からであった。
「サニー先輩、めったにないチャンスなんですよ。食堂へ行きましょうよ。ほら、そこの机の上に案内があるじゃないですか」
これ見よがしに、部屋に据え付けられた机の上に、食堂車のパンフレットが広げられていた。パンフレットには、豪華な料理が写真入りで載っていた。
「だめに決まってんでしょ。――あたしたちは、部屋で食事をとるの」
サニーの言葉に、好子が口をとがらせた。「えー、いいじゃないですか。食べましょうよ」
「食堂車には、敵がわんさか待ち構えていると思う。敵に回り込まれるかもしれない。ここなら、出入り口はあのドア一か所だけだから、迎え撃ちやすいってわけ」
「でも、魔法少女は壁ぬけの魔法や移動魔法で、どこからでも襲ってこられるじゃありませんか。ここにいても、食堂車にいても、危険性はたいして変わりませんよ。先輩」
「うーん」
迷っているサニーに、好子が悪魔のように、こうささやいた。「……パンフレットによれば、無料でバイキング料理を食べ放題だそうですよ」
20分後、食堂車へやってきた好子たちは、他の乗客たちを見つけた。
食堂車は、一両まるごとレストランとして改良された車両であった。窓際に小さな白いテーブルとイスが置かれている。デザインに派手さはないが、洒落た装飾のレースがかけられていた。
そのイスへ、仲の良さそうな女性たちが3名座っていた。
食事中であるにもかかわらず、テーブルの上に並べられた料理を、カメラやスマホで撮影していた。料理には手をつけず、きゃっきゃと騒ぎ立てた。
その様子から見て、観光旅行の客らしかった。
好子は空いていた席に着くと、その三人を横目で観察した。
三人とも、20歳すぎているかどうかといった、若い女性たちだった。
一人は背が高くて、長い赤い髪を渦のように巻いている女だった。好奇心いっぱいで笑いながら、スマホを手に写真を撮っていた。その笑顔が魅力的であった。
もう一人は、セミロングの女だった。化粧でごまかしているが、顔にそばかすが残っているのが好子にはわかった。この女はしきりに、料理をほめていた。
あとの一人は、ショートカットのヘアに、メガネをかけていた。本格的な一眼レフのカメラを抱えて撮影していた。三人の中では、彼女は一番きれいな顔立ちである。セミロングの女が席を乗り出して撮影の邪魔をしたため、メガネはしかめっ面をした。
三人とも、おいしそうな料理を眺めては、写真を撮っていた。




