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Historia de Familia ~家族の物語~  作者: Levia
拠点(ホーム)

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「はじまり はじまり」

帰る場所は、いつだって後から出来る。

十八歳の少年ラウルは、腕試しのため故郷を旅立った。

だが遺跡とダンジョンが眠るトリステン島で待っていたのは、冒険だけではなかった。

個性的な仲間たちとの出会い。 失われた過去の遺跡。 人ならざる存在との邂逅。

気付けば彼の周りには、多くの人が集まっていた。

これは世界を救う英雄の物語ではない。

誰かが「ただいま」と帰ってこられる場所を作る物語である。

第1章 拠点(ホーム)

1話「はじまり はじまり」



荒地に轟音が響いた。

岩だらけの大地を、巨大な牛型の魔物が暴れ回っている。

その正面には、両手剣を構えた女剣士が立っていた。


「どけやぁぁぁ!!」


渾身の一撃が魔物の角を叩き折る。

怯んだ隙を逃さず、女剣士は続けざまに剣を振るった。


「依頼放り出すようなダサいとこ見せられへんねん、こっちは!」


最後の袈裟斬り。

魔物は大きく身体を揺らし、そのまま地面へ倒れ伏した。


「……はぁ、終わりや」


息を吐きながら振り返る。


「素材剥ぎ取りどないしよ。まぁ依頼主経由で回収頼も――」

「お疲れ」


背後から声がした。


「……は?」


そこに立っていたのは一人の青年だった。


「なんでおるん!?」

「なんとなく?」


青年は首を傾げる。

けれどその視線は周囲を警戒するように動いていた。


「“なんとなく”で来れる場所ちゃうで!!」


女剣士は呆れたように叫ぶ。

だがその顔にはわずかに笑みが浮かんでいた。

幼い頃から世話を焼いてきた弟分。

いつの間にか、隣に立つのが当たり前になっていた。


「……まぁええわ」


一歩近付く。


「無理して姉ちゃん追っかけてきた弟君を、ちょっとだけ甘やかしたるからな!」


そう言って抱き付こうとした瞬間だった。


「甘やかすより報告が先です」

「は?」


青年の背後から鬼族の少女が顔を出す。


「あらあら。抜け駆けは良くないわね?」


反対側からは精霊族の女性。


「……勝利のふぁんふぁ~れ~」


さらに獣人族の少女が気の抜けた演奏を始める。

女剣士は完全に固まった。


「なんでキミらおるんよ!?!?」


青年は騒がしい仲間たちを見回し、肩を竦める。


「みんな依頼が早く終わったから来ただけなんだけど……」


誰も聞いていない。

気付けば言い争いが始まっていた。


「ま、みんな無事で何よりかな」


騒がしい仲間たちを眺めながら、青年――ラウルは旅の始まりを思い出す。


***********************************************************


神歴117年萌芽の月21日



「んっしょ・・・誰もいないよな・・・」

早朝。1人の青年が旅支度を持ちながら、忍び足で家の入口へ向かう


「気づかれると厄介だからなぁ・・・サーッと出ちゃいますか」

「だーれが厄介だ、ラウ坊よ?」

「のーぅわぃ!?」


振り返るとキセルを吹かせた老人が困った表情でこちらを見ている

「あービビった!グラ爺勘弁してよ!姉貴たちかと思ったじゃん!」


「グラーフお爺様と呼べって何回言えばわかんだよったく・・・。

 あー・・・もう行くのか?ラウル」

ラウルと呼ばれた青年の旅支度を見て、グラーフは嬉しいような寂しいような表情を見せながら訪ねた。


ラウル「俺ももう18歳だしなー。

    たくさん育ててもらったし腕試ししたいんだよね・・・」

グラーフ「本音は?」

ラウル「このまま村にいると姉さんたちが怖い」

グラーフ「あいつらか・・・弟子の方は露骨にお前を嫁に欲しがってるもんなぁ」


ラウルには頭の上がらない相手が二人いる。

一人は家族同然に育った姉弟子。もう一人はその幼馴染だ。


姉弟子は幼いころから魔法の才能を大きく開花させ、持ち前の正義感を大いに振るっている。

今も彼女の幼馴染とともに周辺の魔物や山賊にご自慢の正義感を心行くまでぶつけて(物理)いるはずである。

姉弟子の幼馴染は剣士としての才に溢れ、姉弟子とコンビを組んでいる。

ラウルは幼い頃よりこの2人から愛され(意味深)育ってきたのだった。


ラウル「だから頼むよ、グラ爺、かわいい弟子のわがままと思って見逃して?」

グラーフ「まぁ良いけどよぉ・・・逃げ切れんのか?

     追いかけまわされるのが目に見えてるぞ?」

ラウル「ちょっとは黙っててよ、じっちゃん・・・」

グラーフ「あいつらは無理だわ・・・爺ちゃんに無理させんなよ、ラウル。」


男二人で変に黄昏てしまうほど、ラウルの姉たちは強烈なのだ。


グラーフ「とはいえ、何か行く当てはあんのか?さすがに無計画なら止めるぞ?」

ラウル「まずはトリステン島に渡ろうと思うんだ!

    最近発掘も進んでるらしいし、

    未開のダンジョンもあるって言うじゃん?」


グラーフは声には出さなかったがトリステン島という言葉を聞いて僅かに眉を動かした。


グラーフ「(まさかトリステン島とは・・・因果だねぇ・・・)」

ラウル「グラ爺??」

グラーフ「あぁ、すまねぇすまねぇ。

     まぁ若いうちの苦労は何とやらだよな、行ってこい!

     餞別もちょっとはくれてやらぁ」

ラウル「ありがとう、グラ爺!」


ラウルは少なくない路銀をグラ爺からもらいつつ、戸を開けて出発の意思を示す。


ラウル「グラ爺、じゃあ行ってくる!」

グラーフ「あー行ってこい!余計なお世話だけどな。

     あんまり勘に頼った戦い方はすんなよ!

     ちゃんと考えて行動するよーに!」

ラウル「はいはーい!じゃあ姉ちゃんとかによろしくー!!」


ラウルはぶんぶんと手を振りながら村外へ続く路を進んでいく。

いよいよ旅が始まる。

期待と不安がないまぜになった気持ちを、深呼吸で押し込めて。


ラウルは振り返らない。

その先に待つ運命など知る由もなく。

彼は最初の一歩を踏み出した。


グラーフ「何にもなきゃいいが、何かあっても・・・まぁしょうがねぇよな。

     なぁ、――――」


グラーフは誰かに向けて願いともいえる思いを口にするが、その言葉は誰の耳にも届くことは無かった。


*******************************************************


~~~~~~~ 名も知られぬダンジョンの奥地 ~~~~~~~

過去の遺物と呼ばれる機械群の一つが淡い光を放つ・・・


カチリ


小さな作動音が、静寂に包まれた空間へ溶けていく。

淡い光が、まるで“誰か”を迎え入れるかのように脈動していた。



次回「出航」

初投稿です。

読んでいただいたみなさま、よろしくお願いいたします。

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