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第77話 雷鳴

 AKMの引き金を絞ると、爆音とともに一瞬目の前に火球が現れ、ガラスにひび割れが走る。

 それと同時に……向かいの窓にいる魔道士の杖についた魔石が、バチンと弾け飛ぶ。

 サル魔導士は突然の出来事に唖然とし、コチラを凝視したが……数秒もしないうちに白目を剥いて倒れた。

 

【ふふ、なるほどね♪  魔石を割ることで、相手の魔力を枯渇させたのね?】

 ……まぁコレはある意味、実験だったんだけどね。

 魔力切れを起こした魔導士がどうなるかは、いくら話には聞いてても、実際どうなるのかは理解できていなかったからなぁ?

 もし失敗したとしても、2発目を撃ち込むだけだ。


「こ、こいが、『雷鳴の杖』なのか! 何が起こったんか、まるで分からんぜよ!?」

「それよりもまずは奴らを! あとはお願いします!」

「……お、おう、分かっちょる!」

 窓を開け放ち、SVDを構えて空撃ちを繰り返して、ゴロツキたちを1人、また1人と確実に『仕留め』ていくタヌスカウト。



 

 階下では玄関が破られ、既に戦闘が始まっているようだ。

 ボクは階段を駆け降りて、踊り場で膝立ちになり銃を構える。

 ヒョウ局長とウサ耳警部と自警団のポニテ猫の3人が応戦しているようだが、こう薄暗くては援護射撃もままならない。


 ボクは叫ぶ。

「魔法使えます! 誰か!明るく!」

「待っとれ!」

 数秒もしないうちに、空間に光球が現れる。

 ざっと数えて奴らは5名……一度に全部は無理か。

 

 突然周囲が明るくなって眩いのか、剣士たちはみな一瞬動きが止まっている……が、片目をあらかじめ瞑っていたボクには何の問題もない。

 棒立ちになっている奴らに銃撃を加える。

 閉鎖空間で倍増した耳をつんざくような銃声、そして一瞬のうちに床に転がって呻く数人のゴロツキたちの姿を目の当たりにして、敵も味方も茫然自失。

「無詠唱でこの威力!しかも獅子をも怯えさせるほどの破裂音と稲光!……やはり『雷鳴の杖』の名に相応しい恐ろしさじゃ!」

 のじゃロリでさえもドン引きしている。


【外にまだ3人! 2人は向かいの建物の中に向かっているわよ。】

 ……あの気絶させた魔道士の援護?それだけ重要な人物なのか?

 

「ボクは、向かいの建物の魔導士を確保しに行きますので、あとはよろしくお願いします。」

「お、さっき眠らせた魔導士のことじゃな?ワシも一緒に行くぜよ!」

 2階から降りて来たタヌスカウトと共に、向かいの建物へと走る。


 建物中央の玄関から侵入すると、右奥の階段を駆け上がっている剣士2人を発見。

「あやつら残党か?ワシは右をやるぜよ!」

 SVDのパチンと落ちるハンマー音を聞いたあとに、ボクは左のサル人剣士に弾丸を撃ち込む。

 右側のイヌ人剣士は、撃たれ階段を転げ落ちるサル人を見て慌てたが、すぐさま気を失い自らも階段を転げ落ちる。

 

「コレで大まか倒せたと思うぜよ!もう探知にも引っかからん。」

「了解です。とりあえずあの魔導士を拘束しましょう!」

 そして階段を駆け上がり、先ほど狙撃した魔導士の部屋へと滑り込む。

 床には、粉々に吹き飛んだ大小の魔石のクズが、月光を浴びてキラキラ輝いていた。

 

 昏倒した魔導士をロープで縛り上げていると、ネコ村自警団のコンビが駆けつけて来た。

「おお、コイツが阻害魔法を使ってたやつなんですね? しっかし、クソデカい魔石だったんですね、コレ……」

「せっかくじゃから、この魔石の破片も回収するぜよ。手を加えたら何かに使えるかもしれんからのう?」

 4人で手分けして『証拠品』も押収。

 

 ついでに、階段下で倒れている奴らもきっちり縛っておく。

『復活』されたら、何かとメンドーだからね。

 とりあえず縛った魔導士をギルドまで運ぶ。

 

 ギルド1階も制圧完了していた。

 床はところどころ血で真っ赤に染まっているが、応戦した皆さんは無事のよう。

「そっちも終わったようだな? 済まぬ。君のお陰で、我々は軽症で済んだぞ!」

「いえ、さっきは奴らを全員倒すことは出来ませんでした。申し訳ないです。」

「何を言うか。あの一瞬で3人を倒せるのは奇跡としか言いようがない。この若さであの戦闘力とは……恐れ入るよ。」



 

 その後、全ての襲撃者を運んできて、ロビーの床に転がす。

 もちろんみんな、きっちり縛ってから。

 内訳は死亡者1、負傷者5、気絶者6……と、ずいぶん投入してきたんだね?

 つまり、相手の組織はかなりデカいとみて間違いない。


 それに対してこちらの損害は、軽症2に、ギルド入口の扉、2階の割れた窓ガラス。

 窓ガラスはボクが割ったのでノーカンとしても……12人の襲撃者から、よく守りきれたものだ。

 もし魔法が使えていなかったら、こう上手くはいってないだろうね。

 

「ボクは、つくづく魔法の凄さを思い知らされましたよ。」

「いや、あたしはタマキさんの雷撃魔法が1番恐ろしかったです。ウチの村の味方でホント良かったと思いました。」

「ワシも正直そう思うたぞよ! 『雷鳴の杖』の量産化が楽しみじゃわい♪」

「おお?ネコの村ではそんな計画があるのか? うちのギルドも1つ噛ませては貰えないだろうか?」

「ウチはその前に『遠隔眠り杖』を研究したいわぁ!」

「そうじゃぁ!こん遠眼鏡付き杖は凄かぁ! こいは良いものじゃきに!!(※1) こん杖の開発をナルハヤで頼むぜよ!」

 

「「でもその前に――」」

 みんな顔を見合わせて一言……「「祝杯だ〜!」」


 ということで……扉と窓の修理、室内の掃除、襲撃者の警察への引き渡し、飲み物と食べ物の準備、とみんなで手分けして作業を行い……その後、朝まで飲み明かしたのであった。


 ――――――――――


 ※1 某有名ロボットアニメの『マ』氏の有名なセリフを、土佐弁風にアレンジしてみましたw

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