謎の卵
過去から日時時間などなどが一気に飛んで、W団のアパートがある町で行われているフリーマーケット。
「お嬢ちゃん、ちょっとちょっと、こっちにおいで、いい掘り出し物があるよ」
ここはフリーマーケット、町の人たちが集まり売買が行われている。
「この石が掘り出し物?」
その一カ所で怪しい男が怪しい石を売っていた。
「そうだよ、これがどうして球体状なのか気にならないかい?」
「別に」
サリィは笑顔で返答した。
「お嬢ちゃんこの石は未知なるパワーを秘めているんだ、そうスペースパワー…これは宇宙から落ちてきた隕石なんだ」
どう見ても少し大きな石にしか見えない、どことなく何かに似ているような気はするが。
「なーんか怪しい」
「お嬢ちゃんこの石は俺がとある山を登っていたときだ、辺りは暗くなり狼の鳴き声が聞こえたり、とにかくもうテントを張って休もうとしたんだ、すると空からいきなりこの石が落ちてきたんだ、分かるかいどういうことか」
「どういうこと?」
「つまり山を登っていたということはただでさえ高いとこにいたことになる、そんな高い場所にこんな石が降ってくるかい?普通ならありえない、おかしい、でも降ってきたのは事実、じゃあどこから〜?」
怪しい男はサリィが答えるのを待つように最後をのばした。
「宇宙から?」
怪しい男は手を鳴らして続ける。
「そう!お嬢ちゃん頭良いね、つまりこの石は宇宙の隕石でこの丸いのは大気圏突入の時に丸くなったんだ」
「…でもこんな卵みたいになるの?」
再び手を鳴らす。
「そこ!いいとこに気がつくね、お嬢ちゃんちょっと耳かして」
「やだ、おじさん怪しいもん、それに臭いが…」
「お嬢ちゃん頭良いけど平気でおじさんの痛いとこつくね、おじさん怪しくないよ…ちょっとおっさん臭いだけ」
しかたなく怪しい男は近くのポスターを丸めて筒を作り小さな声ではなした。
「これは宇宙生命、つまり未確認生命体の卵かもしれないんだ」
「未確認生命体?おじさん怪しいのは見た目と臭いだけにして」
「おじさんの怪しいポイント増えてる、でももしかしたら世紀の大発見になる品物なんだよ、それを今なら10万円にて販売中」
「おじさんそれじゃあ価格も怪しすぎ、それにこんな子供が大金持ってると思うの?」
男はサリィを値踏みするようにジロジロ見てから。
「おっかしいな、どこかのお嬢様かと思ったんだが、しかたない…」
男は紙にボールペンで数字を書いて。
「今ならこの価格、1万円でどう?」
するとサリィはボールペンを取り上げて、紙に書かれた数字を書き直した。
「これぐらいでしょ、6,000円」
男は負けずにボールペンを取り上げて、書き直した。
「7,500円…6,000円…5,000円…3,500円…2,000円…」男
「5,000円…4,000円…2,000円…1,000円…フランスパンイッポン…」サリィ
「よし、フランスパンで売ってやろう」
交渉成立。
「……あれ?どうしてこうなった?」
こうして運送込みで近くのパン屋で購入したナン五つ、フランスパンは残念ながら売り切れていておまけにクロワッサアもいただいて、時刻夜の7時にその石が食卓に置かれている。
「で、これなんなの?」
「ただの石もしくは卵です」
「宇宙の?サリィちゃん、さすがにそれはないよ、だってそんなSFチックな物体この周りでおきた?」
『総統、私はそのSFに入ると思うんですが』
「デジはギリギリセーフ、人によってラインが違うんだよ、わしのなかではセーフ」
『セーフかアウトは私の中では判別できますが、この石、どのデータと照合しても合いません、私の大先生世界の知恵のMikipebiaでも分かりません』
「そうか…世界の知恵でもっても分からないなら仕方ないね、でもそこら辺に置いとくのもあれだから……そうだ!寝床のふすまにでも入れとこう、アラネちゃん?」
寝床のふすまからぬるりと出てくるアラネ。
「嫌ですよ、あそこはあたしの第二位の寝床なんですよ」
「それは冬場だけでしょ?夏になったらまた外で寝るんだからその間…ね?」
少し考えた末、夏は寝床を正体不明に貸すことに。
こうしてW団のふすまにしまわれた石、時期はデジが仲間になった数日後、あれから忘れられた石がW団にもたらすのは…悪夢なのか祝福なのか…それは次の話。