伝説の生き物
こんかいはハトさんの出番ですが、始めに過去話から。
とある雪山の山岳部……
吹雪の中、必死に下山する男が一人、息切れをおこしながら雪崩から逃げるために走っていた、しかし男は雪崩に巻き込まれてしまった。
雪崩はおさまったが、雪が体に覆い被さり身動きがとれない。
寒さで意識が遠のく、こんな辺鄙な場所では誰も助けに来てくれない、このまま行方不明となって体も野犬にバラバラにされるのか。
長年かけて伝説や噂で集めた情報を頼りに特定した場所がこの雪山なの…に……。
男はついに眼を閉じて眠ってしまった。
しかし、男は身体が寒くなるにつれておかしな夢を見始めた、真っ暗な何かの中で一人だけ自分が立っていると思った、すると後ろから数人の人が自分の側を通り過ぎて行く、みな服装がバラバラで登山服や潜水服、はたまた何かのパイロットがどこかを目指して歩いている。
ここが死後の世界なのか……こんな真っ暗闇の中を見つけてもらうまで歩き続けるのか……。
自分の手で顔を拭くと、手の感覚が顔を拭いたという実感がない、あるのは青白くなる手と血の気の失せた顔だけ。
誰か…助けてくれ……
いつのまにか足を動かし周りの人と同じように歩き出していた。
すると……
数歩だけ前に歩き出した途端に何かが背中を掴んだ。
男の体は捕まれたままどんどん上え飛んでいった。
上え向かって行くにつれて体がどこか暖かくなり、青白かった手に色が、血の気の失せた顔に血液が巡り始める、服についていた氷がとれていく。
誰かが助けてくれたのか…これで安らかに眠れる……。
男は夢から覚め意識を取り戻した。
「夢……だったのか…」
男はどこかの洞窟の中で目を覚ました、方位磁石を探したが登山用のリュックがどこにもない、男は雪が止んでいることを確認して洞窟から出て、リュックを探しだした。
「いったいここはどこだ」
男は雪崩に襲われた、しかしこうして生きているという事は誰かが助けてくれたはず。
「誰かいないのかー!」
しかし、何の返事もない、そのかわりに男は積もった雪の足場に穴を見つけた、穴は洞窟からそんなに離れてはいない。
すぐに洞窟から下の方にできている雪の穴に近寄った。
「なんだ、この穴は……あれは!」
穴の中に自分の名前が彫られたアイスバイルを見つけた。
「ここにオレは埋もれてたんだ」
更に穴の周りを調べると……
「あった、リュックだこれで何とかなるかもしれない」
男は装備を整え再び下山を試みた。
「しかし、誰が助けてくれたんだ?」
男は山を再び下りようと数歩、歩き出したその時。
「誰かに睨まれている」
男は睨んでいる本体を見つけようと辺りを見渡した。
月の光だけが唯一の光の中で、目を覚ました洞窟から何かが出てきた。
それは文献や伝説に描かれていたとうりの姿をしてこちらを見ている、そしてその大きな翼をひろげ分厚い雲のなかえと、消えるように去っていった。
男は走って追いかけていた、追いつくなんて思ってもいない、ただ自分が捜していた生き物が実在していた、夢じゃない、確かにこの目で見た、あの眼、あの翼あの胴体。
興奮が治まるまで走り続けた転けても立ち上がり追いかけた、しかし……。
大きな山の裂け目があらわれ追いかけることが出来なくなった。
「ここまでか……でもいたんだ、この目ではっきりとみた」
トカゲに似た或いは蛇に似たその生き物の多くは翼をもち飛ぶことができる、国によっては自然や不死そして強さの象徴。
「いたんだ……ドラゴンは実在していたんだ!!」
その後、男は下山に成功、この話を村で話したが、誰も相手にしてはくれなかった、男は再び山に登り小屋を造ることにした。
「実在していることは分かった、なら次はその存在している証拠を掴んでやる」
それから月日と場所は変わり……