野花の日記
緒伊江の遺した日記に書かれた文とは……
緒伊江さんの最後の日記
『あなた、私の身体はもう長くはありません、それでも私に目もくれないで働くあなたを恨んだことは一片もありません、ただ私が亡くなった後のあなたが心配なのです、あなたはよく周りを見失う癖がありこの前も仕事終わりに隣の部屋でずっと私のために寝ないで祈ってくれましたよね?そんなあなたを残して逝ってしまう私をお許し下さい、もし薬が出来たら私ではなくあなた御自身のためにお使い下さい、最後に私が死ぬ時はどうかお側にいて下さい、愛していました。
野花緒伊江』
アライドはいつもの公園の木下で、最後に書かれていた緒伊江さんの日記を思い出しながら雨宿りをしていた。
「もしかすると大杉さんは緒伊江さんを亡くしてしまったのは自分のせいだと思い込んで、その元であのサンプルで緒伊江さんを蘇らせて謝りたかったんじゃないかな?あくまで自分の考えだけど」
アライドはW団のアパートに帰る理由を考えてはいるが、何も思いつかない。
辺りは雨と夜で真っ暗闇、誰もいないと思っていた公園内を誰かがアライドに向かって歩いてきた。
「こんな所に子供一人危ないよ、何かあったの?」
話しかけてきた男は傘をさしているのに服は雨で濡れていた。
「昨日の会議でもめて今日の戦いに参加しなかった、それで帰る理由を考えてる最中」
「なるほど、それで理由は見つかったかい?」
「いいえ、見つかってません」
すると遠くから誰かを探す声が聞こえてきた。
「総統〜!どこいったんですか?総統〜!」
「おや…どうやら迎えが来たようだ、キミはまだ帰らないのかい?」
「帰っても何言われるか…だから帰る理由を探してるんです」
「帰る理由か…それならこれで十分じゃろ」
総統は木下で座り込んでいるアライドの前に立って、手を差し伸べた。
「帰るよアライド君、みんなが心配してる」
「……今の僕にピッタシの理由です」
アライドは総統の手を掴んで声のする方え歩き出した。
「それでアライド君…今度の戦い何じゃが…」
「総統、僕はまだ水犬やアラネちゃんのように戦う事は出来ません、だから僕は正義の見方の弱点を探すことにします」
「アライド君……」
「…あっ!!総統!」
声のしていた方からエンクランス達が走ってきた。
「やっと見つけた、どこ行ってたんですか総統?あっ!!アライドだ!」
「アライド君!出て行くときはちゃんと連絡をしないとだめじゃないか」
「アライドあんたどんだけみんなが心配してたか知ってるの」
『アライドさんよかったまた会えて』
「みなさん……」
「さて、これで集合ということで、みんな今回の戦いでずぶ濡れだし銭湯にでも行きましょうか」
「賛成!」
こうして全員一致で銭湯に行くことになった我等W団。
「あれ?でも水犬入れるのかな……」
『なっ!』
「水犬は後でやかん風呂ですよ」
『それならよかった』
「なに?新しいお風呂場?」
「アパートのキッチンが水犬のお風呂場、分かるでしょ?」
「ああ、なるほど」
アライドは総統の隣を歩きながら、大杉さん達が植えたであろうケヤキの木を見ながら。
「大杉さん…僕に家族かW団を選ばせようとしたときすでに答えは決まってました、そう答えは」
僕の家族はW団なんです。




