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パソコンの持ち主

残り時間24時間を切った我等W団、まず、一日前の話からしよう

残り約二十四時間………

朝食、誰も喋らず黙々と食事を終わらせ庭にでる、それはもう総統も例外ではなかった。

「嫌だ!」

アライドは叫びに似た一言、水犬は庭に出て遠吠えをした。

「私も風呂場では嫌だ!」

「あのまま庭で寝とけばよかった!」

「なんであの時みんなを起こさなかったの!」

「お化けなんていないさ、お化けなんて嘘さ、寝ぼけた人が見間違えだのさ……だけど……だけど…お化けはホントはいるんだよ!!」

「総統!あんたが一番怖いわ!」

残り時間は約16時間、日付が変わった瞬間、タイマーのない爆弾を背中に抱え込むような状態になる、しかもタイマーがないのに朝までには爆発もとい呪い倒される、再起不能、天に召されるのだ。

「もう駄目…手がかりはもうないのね」

サリィが庭に寝っ転がる。

「回収した資料も今ではただの紙…全部外れ」

シュレーダーに回収した資料を放り込むアラネ。

『コレから毎日一人消え、また一人消える』

木にもたれ目線を地面の枯れ葉に向ける水犬。

「最後に残った総統が一人食卓で『酒名・最後の酒杯』を飲みながら孤独に消えるんですね」

そんな水犬を眺めるリーチ、テンパイ、チェックメイト、王手のアライド。

「嫌だ!!一緒に逝こうよ!」

女座りでハンカチを噛みながら嘆いている総統。

「そんなこと言うなら最後のあがきぐらいして下さい」

呆れて総統を励ますエンクランス。

このような状況になったのは昨夜の夕食まで戻る。

夕食の準備をしながら帰りを待つ総統、中之島レナからパソコンに挿せるカメラを借りて、帰ってくるみんなの作戦成功の喜びを撮ろうとしていた。

朝にサリィの見た話で崖っぷちの表情で話を聞いていた呪い組は急遽行動を開始、全速力で残りの資料を手がかりに走り回った。

………だが。

玄関から入ってきたみんなの顔は……燃え尽き、崩れ落ち、水が滝のように流れ、床に倒れたり、頭としっぽがなかったり…正確には胴体しかない水犬だが、作戦は。

失敗!!

「み……みんな…大丈夫?」

総統の問いは空しく流された。

「総統……明日の食事は豪華にしておきましょう」

その後、会話らしき会話はなく、ただただ時間は過ぎていった。

みんなが寝てから総統はとある作業をし始めた。

「もしもし?夜分遅くすみません、私はW団総統、Wです!!はい、いつも応援ありがとうございます……あっ今度こそは正義を倒すので……はい…はい…もちろん任せて下さい、それでお聞きしたいことが……」

総統はパソコンを貰ってきた日からみんなの目を盗んで、元の持ち主を捜していた。

「……そうですか…はい?なんでそんな事をしているかって?勧誘?そんなんではありません…ただ…元の持ち主がどういう理由で捨てたかをしつこく聞く気はありません…団員の為もありますが、みんなの話を聞いてると……可哀想なんです…棄てられたらパソコンが……日に日に体が治っているのは怖いです、でも……パソコンが訴えている内容が可哀想なんです…」

総統はお礼して電話を切った。

他人が聞けば狂った人のいい見本だ、それでも総統は聞き込んだ。

「会いたい…お父さんに会いたい……捜したけど、どこにもいなかった…それはネットワークの世界だったから…眼さえあればあの人を…つまりお父さんを見つけられる」

総統は電機を消して、窓から差し込む光だけを頼りにパソコンの目の前にトマトジュースを持ちながら椅子に座った。

「パソコン…紀子さん…どれでもないかもしれないが、見えているか?ワシが……聞こえているか?声が……話せるか?口が…」

総統は待った…紀子が出てくるまで、時計の秒針がいつもより大きく聞こえる、どんなに待ってもパソコンに変化はない、いつの間にか聞こえていた秒針の音が止まって、替わりにノイズ音が聞こえだした、ドンドン高くなる、頭に直接ノイズが入ってくる。

「来たか……」

総統は立ち上がりパソコンを指差した。

「出てこい紀子、どういうつもりで我等W団を壊滅させるが知らんが、このW団の総統が許さない」

ノイズが消える。

「アナタハダレ?」

紀子の姿は出ていないが、確かに声は聞こえる。

「W団総統のWだ」

「クラクテヨクミエナイ……アカリハナイノ?」

総統の読みどうりだった、電機を消したのは紀子の体が元に戻っていると想定して、事前に灯りを消しておいたのだ。

その想定は目が見えているということ。

「どうやら灯りがないと見えないようだ」

「ヘンナフクキタヒトシカワカラナイ」

これは、自作のパジャマ姿を言われている。

「やっぱり変かな?……そんなことはどうでもいい、どういうつもりで我等W団を壊滅させるのだ」

少しの間を入れて、話した。

「アナタタチガオトウサンヲ…、トウサンガコトワッタカラ」

断った?何か重い話になりそう。

「ダカラワタシハ…、トウサンノジャマダカラ…、ソレモコレモアナタタチノセイ」

「待ちたまえ、何か誤解していないか?」

「ノロッテヤルノロッテヤルノロッテヤル……」

「ダメだ、話し聞こうとしない、なんで幽霊って一方的なやつばっか……」

総統はトマトジュースを飲もうと手に持ち、口に運んでいたら。

「呪ってやる!!」

紀子の顔が急に画面に映し出され、紀子の両目が総統を睨みつけた。

「…………」

総統は動じてはいなかった、叫び声も恐怖もしていなかった。

パソコンはすぐに切れて、紀子の姿は消えた。

しかし、総統は動かず、代わりにガラスコップが床に落ち割れた。

「…………」

総統は確かに動じてはいなかった声も出していない、ただ出す暇がなかったのだ、あまりの恐怖を通り越して体が総統の電源を瞬時に切っただけのこと。

その時の総統は可愛らしい天使と会話中の事だろう。

残り15時間…

総統の話を聞き終え、本格的にする事がなくなった我等W団だったが。

「行く宛はまだ残っている」

総統の取り出した紙には一つの住所が記されていた。

「ここが元の持ち主の住んでいた場所じゃ」

「いた…いたって何ですか?もしかして……」

「今は居ないらしい」

総統の持っている紙に全員が近づく、最後の手がかり、これがもし違ったらW団壊滅の危機。

「そこで、場所が遠いから三人で行こうと思っている」

「そんなに遠いんですか?」

「電車使うからそこそこあるよ、ワシを一人として後二人は誰じゃ?」

二人はエンクランス、アライドと即座に決まった。

残りのメンバーは帰ってくるまで自宅待機となった。

電車の車内……

人が込んでいて座れなかったので、立ちながらエンクランスがある推測を始めた。

「総統、アライド、聞いて下さい、これはあくまで推測ですが、紀子は幽霊として何の霊なのか考えたことあります?」

「自爆霊とか、式神?」

「あれじゃないの百年生きた物は霊力がつくとかいう奴」

「アライド君漢字が間違っている、付喪神の事ですがそうじゃないと思います」

「じゃあ何がいいたいの?」

総統は持ってきたオニギリを食べながら聞いている。

「結論をいいます……紀子さんは父さん、つまり実の親によって手をかけられた娘の怨念じゃないでしょうか」

「アライド君コレいる?」

「自分で責任もって食べて下さい」

総統は気を紛らわそうとオニギリにかぶりつく。

「アラネちゃんから始まり総統の聞いた話から…推測話を作ってみました」

エンクランスバージョン紀子さんの回想

数年前、まだ紀子が小さい時に母はなくなり、父さんは一人で娘を養っていました。

娘はパソコンを使う父の姿を見て、よくパソコンを触っていました。

そんなある日、父が電話越しに誰かともめているのを見てしまった紀子、その日から父は寝ずに働き、徐々に痩せ食事にも手を出さなくなった、それでも紀子は父さんが大好きで、真夜中に帰ってくる父を寝ずに待っていました。

そんなある日……悲劇が起きたのです、父は借金取りから自分の命欲しさに一人娘の紀子に手をかけ、一人逃げ出しました。

それでも紀子は自分が見捨てられたのを知らないまま、一週間生きていたが……しかし、亡くなった事に気づかないままあのパソコンに憑き、真夜中にパソコンが勝手に点いて、ゆっくりと一週間かけて父を自分のいる場所に引き吊り込もうとしている、父を苦しめた人含めて……。

「……というのが推測です」

「本当にそれ一人で創ったの?」

「勿論です」

「重たいね…結構……なるほどだからあんなに古いパソコンなのか」

「あなた達のせいってのは借金取りの人でしょうか?」

「あくまで推測です」

『次は〜千手直〜次は〜千手直〜』

「それはそこに着いた時に分かる」


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