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第5話 国語の授業
伊藤くん目線です。
今は国語の授業。自分で短歌を作ってみるという勉強。
僕は、国語が得意なほうだ。
アイデアが出てこなかったから、遊び半分で、最近人気な歌を短歌にしてみた。
「麦わらの 帽子の君が あの花に
似ていて少し 顔を赤らめ」
花の名前は入らなかったけど、我ながら上出来だ。
高橋さんなら、どんな花に似ているだろう…
向日葵かな。名前も「葵」だし…
そう考えていた僕は、なぜか体中が暑く、または熱くなっていた。
なぜだろう…
高橋さん、きっと麦わら帽子似合うだろうな…
「伊藤くん、顔が赤いわよ。熱があるんじゃない?」
先生に声をかけられた。僕は慌てて、
「だ、大丈夫ですっ!」
少しうわずった声で返事をした。
目立っちゃったな…
あ、高橋さんがこっち見てる。心配そうな顔だ。
僕はなんだか嬉しくなった。
あれ、なんで嬉しくなるんだろう…