表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/44

(8)

「おめぇに勝てる奴が俺様以外にもいるとは意外だな。もしかしてとかげか?」


 加護など無くても、バルガスは超一流の戦士だ。普通の人間が、簡単に勝てる相手ではない。


「ナーガだったか?あやつとは決着がついておらんから違うぞ。もう一人はワシが騎士だった時からの付き合いの旅の剣士だ。つい先日もふらっとワシを訪ねてきたぞ」


 フェンリルの元に駆け寄ってくるシルフィとネルを、バルガスはちらりと見る。


「そやつはシルフィ殿と知り合いだったようでな。暫くシルフィ殿と話しておったな」


 シルフィの知り合い? 魔界の住人で、人間界に来たのが初めてのはずのシルフィに知り合いがいるはずがない。


「そいつの名前は?」


バルガスは記憶の糸を手繰り寄せる。


「そう言えばワシも名前を知らぬな。昔からいきなり訪ねてきて、手合せが終わると酒を交わして別れる。竹馬の友とはこういった関係の友の事を言うのだろうな」


名前すら知らぬ男を、竹馬の友と言うバルガスの基準がわからない。


「そいつもしかして褐色の肌をした男か?」


「なんだお前達は知り合いだったか。そやつは初めて会った時から、今でも歳をとっていないように顔が変わらん。本人は緊張感を常に維持するのが、若さの秘訣だと言っておった」


 バルガスの騎士時代なら数十年は立っているだろう。緊張感をどんなに保とうと、そんな長い間若さを維持できる人間などいない。


 どうして人間界に疎いはずのスルトが、何故シルフィを見つける事が出来たのか。そして、バルガスに加護を与えた人物もフェンリルは理解する。


「パパはやっぱり強いです」


ネルは興奮気味に、フェンリルに抱き付く。


「借りてた物を返すぜ」


 小さな前足に、レーヴァテインの欠片を握らせる。ネルの肩を叩いた時に拝借したものだが、これがなければもっと苦戦していたかも知れない。


「さてと」


フェンリルは歓声上げる警備兵の中で、一人唖然としている男を睨む。


「契約を破棄しな。約束通りシルフィは連れてくぜ」


 トルクはいまだに目の前の出来事が信じられないのか、呆然と宙を見つめていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ