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新手



〈シールド85%にダウン 光学迷彩システムに異常あり オフライン〉


「どんな攻撃だ?」


〈プラズマ弾です〉


 ネロスは上空から、レーザーと敵から奪ったライフルで次々と地球製OVER DOLL 『もどき』を攻撃して破壊していく。彼らの放つ弾は高速で飛行するネロスにかすりもしない。


〈地上型の約半数を破壊〉


「油断するなよ! またさっきの攻撃をくらったら・・」

〈ピー ロックされました〉


 ネロスは急旋回をし、青白い光の弾をかわした。


「ジャミングをかけれないのか?」


〈敵のセンサーもこちらと同様 高性能です 敵の座標は判明していますが そのチャチな豆鉄砲はもちろん レーザーも届きません〉


「撃たれる一方か・・・。武器さえあれば・・・」


 ネロスは急降下し、ビルの間を抜けながら敵の陸上型ロボットを破壊する。


〈無駄です 相手の武器は地球製の建築物など簡単に貫通して届きます〉


 言っているそばから正面のビルが融解していく。


「ちっ!」


 すぐさま右に曲がり、ネロスはプラズマを避けた。


「ロックされていたか?」


〈いいえ おそらく こちらの動きを予想して撃ってきたのでしょう かなり性能の良いA・Iを積んでいるか 熟練したパイロットかもしれません〉


「俺は50歳以下の若手では一番だぞ」


〈ミリンの方が良い成績だったと記録されていますが〉

「実践では俺が一番だ!」


 ネロスは音速を超えたスピードでビルの隙間を抜ける。ついでにという感じでそのスピードからライフルを撃ち、敵ロボットを壊していく。


「詰めるぞ。フルバースト」

〈金属水素エネルギー充填〉


 大気との摩擦熱で、ネロスの周りに置き去りにされてあった車や自転車が溶ける。そして、何もしていないのに辺りのビルの上部は崩れた。


[ゴオォォォ]


「黒い機体・・・。珍しくも無い」


 あっという間に距離は詰まり、上空に浮かんでいる敵のすぐ目の前にネロスはいた。


 敵の姿形はネロスに似通っている。しかし、ネロスの白とは対照的に、色はほとんどの部分が黒く塗られていた。宇宙戦を想定した場合に有利な色で、OVER DOLLはほとんど全てがこの色だ。シンの知る限り、ネロスの白と、ミリンの乗るOVER DOLLのエメラルドグリーン以外は。


〈木星のOVER DOLLに間違いはありませんが 形状に改造が加えられているようで詳細は外部からでは不明です〉


「OVER DOLLをカスタムするような奴がミリン以外にいるとは驚きだな・・・」


〈彼女の「かわいいからやってみた」と言う理由は かなり原始的な本能の一部ですね 例外です〉


「あんなに髪の色や瞳の色にこだわるのもあいつだけだしな。目の色に合わせてみたと言うOVER DOLLの色も木星人の笑いの種だ」


 話しながらも、先手必勝とばかりにネロスは各部からレーザーを放った。しかし、相手は身動き一つせずにレーザーをはじき返す。


「どうだ?」


〈敵のシールドに軽微なダメージ 簡単に言うと、効果なし〉


「俺の好きな国語の授業で『ちりも積もれば、そこは雪国だった』と言う言葉を習ってな、そのうち何とかなるかもだ」


〈つっこんで欲しいのですか? シン〉


 相手は手に持った大型のランチャーのような武器を構えるが、ネロスは上空を旋回、上昇下降と繰り返して的を絞らせない。


〈武器は判明しました 木星の『プラズマライフル』ですね 多少改造を加えているようですが 威力については同程度と思われます〉


「何発耐えられる?」


〈直撃ならあと4発ってところです〉


[ドオーン]


「くっ・・・あと3発だな」


 ネロスのレーザは全て弾かれる。敵から奪い取った地球製ライフルの弾ももちろんだ。


「こっちの方が新型だろ? なんとかならないのか?」


〈確かに新設計の機体ですが その新しいという 大部分は私の事なのです 機体自体には大して差がありません あとは腕の差です 頑張ってください〉


「お・・・お前が・・・新型? ・・・技術部の連中は一体何を考えているんだ・・・。こんな性格の悪いA・Iに力を入れて・・・」


〈私はこれでもすごいんですよ 画期的な・・〉


[ドオーン]


「あと2発!」

〈シールド35%に低下 シン 本気を出してくださいよ〉


「嫌味なA・Iだな! さすが新型!」


 シンの攻撃をいくらシールドがあるからといってかわすそぶりも見せないことから、相手にはほとんどダメージを与えていないことは明白だった。


[ドオーン]


〈シールド15%に低下 次は貫通してきます〉


 シンの瞳に黒い影が映る。目の前のモニターに、ライフルを構える敵OVER DOLLが真正面に立っている。


〈お別れですね シン 今から相手に謝ってみませんか?〉


「・・・許してくれればいいがな」


〈ピー 凄まじいエネルギー反応〉


 黒色のOVER DOLLは初めて大きく動いた。ライフルを下ろし、シンの目の前から高速で上空に動く。ネロスも最大出力で後方へ飛んだ。


[ズオォォォォ]


 シン達の間をエネルギーの塊が通過する。その巨大な幅は、OVER DOLL の数倍はある。


「くそっ・・・。新手か?」


〈弾道計測 ・・・これは・・・ 学校の方向です 距離80km おそらくOVER DOLL TYPE GS―3S ARIS の砲撃かと〉


「アリスか・・・。まさかあのミリンが・・・助けてくれるのか?」


 黒色のOVER DOLL はしばらく空中に静止していたが、北西の空へ飛び去った。


〈撤退したと考えられます 分が悪いと感じたのでしょう〉


「なら遠慮なく雑魚の方をやらせてもらおう」


 ネロスは、一直線に残り20機ほどのロボットの前へと舞い降りた。




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