プロローグ,理不尽すぎる装備で転生します
初めまして、墜ちた海鷲と申します。拙劣な小説ですが、よろしくお願いします。
それと、この小説はパソコンだけですがチートが含まれていますので、それに不快感を示す方はお読みになるのをやめた方が良いかもしれません。
~流血をいとう者は、流血をいとわぬ者に必ず征服される~ クラウゼヴィッツ
辺りは硝煙と鉄、血であろう臭いが立ちこめている。この言葉を聞けば、何処か、アフリカや中東の戦場だと思われるだろう。
しかし、場所はニューヨーク州、オウェゴ町郊外アパラチンの工場。ここで、2つの組織が大抗争を行っているのだ。
工場の中では銃撃戦が展開され、混戦状態となっていた。
「くたばれ豚共!!!」
工業用機械に隠れつつ、アサルトライフルを撃ちまくっている20代後半の男がいる。彼の名はジュリオ・アナスタシア。
犯罪組織コーサ・ノストラに所属しているコロンボ一家の幹部の1人だ。
「友よ!!どうするつもりだ!?」
ジュリオの隣にはボナンノ一家の幹部、名前は知らない、が拳銃を撃っている。
「てめぇら自分で考えられないのか!?とりあえず、ボスを脱出させることを考えろ!!」
「怒鳴ることないだろうが、てめぇ!!…しっかしこんな時にヒスパニック共も襲撃とは……よく分かったもんだ。まぁ探しに行くか……」
銃弾の合間を縫ってその幹部はボスを探しに向かう。ジュリオもボスを探しに向かわなければならないが、此処を離れれば工場の大半を突破されることになる事に気付き動けなくなってしまった。
「くそがぁ………」
アサルトライフルの弾倉も残り少ない。彼は、どうしてこうなった………と心の中で泣き叫んだ。
彼がいるこの抗争は、大まかに言えばイタリア系アメリカマフィアとヒスパニックギャングの抗争だ。
近年、勢力を大幅に拡大しつつあるヒスパニックギャングはアメリカマフィアの収入源である麻薬売買などを自らの手中に収めてしまった。ニューヨークでは9割方の収入を奪われ、ここにいたアメリカマフィアの5つのファミリーは財政的に窮地に陥った。
この事態を重く見た5大ファミリーの首領がコミッションと呼ばれる会合を開き、今後の方針を話し合う手はずだったのだが……
情報漏洩のせいか見事にヒスパニックギャングに察知、襲撃されてしまったわけだ。
で、今に至るわけである。
「ねーよ。これはねーよ」
ヒスパニックギャングはとにかく数が多い。この会合襲撃に回してきた人数も60人は越すだろう。一方、こちらは警察にばれると不味いので30人。
圧倒的に不利である。一度ばれたことがあるので人員を減らした結果がこれだよ!!と嘆いてしまう。
「あいつらどうやって、あんな大人数連れてきたんだよ………いくら倒しても増えやがる」
ぼやきながらも射撃するがここで、最後の弾倉が尽きた。
「…………ナンテコッタイ……」
手から汗がにじみ出すジュリオ。本来、ここは素手で殴り込みをかけるのがかっこいいのだろうが……
「逃げよう」
彼自身はかっこいいとかはどうでも良いので、銃弾がやんだ隙に後方へ、全速力で駆け出した。すぐさま、ジュリオに向かって撃たれるが奇跡的に1発が頬をかすった程度で済んだ。
会合を開くはずだった工場は案外広い。ヒスパニックギャング側から彼は逃げ切れた。今は積み重なった段ボールに身を隠している。
「ボスは何処だよ………」
格好悪く逃げ出したジュリオだがボスを見捨てることは出来ない。そこらへんは名誉とかの話があるのだ。彼の場合はその他に諸々の事情もある。
「まだ生きててくれよ………」
襲撃を受けたとき、彼は真っ先に迎撃に向かったのでボスが何処へ逃げたかサッパリ分からない。
「あっちにいるか…?」
ちょっと離れた、でかい作業用機械に行ってみることにしてみる。
「おっ、ジュリオ。やっと見つけたぞ」
「おい!!」
そうしようとした時にボスが見つかるという僥倖。思わずジュリオはずっこけてしまう。
「こちらの裏側にいたんですか………」
「いや~危なかった。マジで」
のんきにそんなこと言うボス。頭は坊主、恰幅は良く、それで豪放な性格。マフィアのボスと言うより大手会社の社長といった感じがする人だ。
「さっさと逃げましょう。っていうか護衛はどうしたんですか!?2人いたでしょ………」
「ああ、先に逃がしちゃったよ」
「オイコラ」
ジュリオ自身には、ボスのやることがよく分からなかったりする。護衛を先に逃がすという行為自体、愚かだろうに。
「いや、ありゃあ護衛していても瞬殺されそうな人数だし。だったら別れて逃げた方がまだ生存率高いだろ?」
やけに理屈を付けながら言い訳するボス。こんなんがマフィアのボスとは考えたくない。
「もういいです…………さっさと逃げましょう……」
そう言いつつ、ボスの手を取り起ち上がらせた瞬間。
ヒュン!!と音が鳴り、腕に熱さと痛みが生じた。後ろから複数人の声が聞こえる。
「畜生、見つかった!!」
腕から幾ばくか血が流れるが放っておき、ジュリオは相手の人数を確認する。……が、多すぎて分からない。
「逃げるぞ~」
「分かってます!!」
すぐに2人で走り出す。銃弾がシャワーのように浴びせかけられるが、工場の機械などの遮蔽物で何とかなっている。
「来た時に使った車は破壊されているだろうから……裏口から此処を出たら、少し離れたところに車が待っているはずだね」
「じゃあそこまで逃げましょう。…ってボス、まだ走れるんですね、その恰幅で……」
「バカなこと言っている場合じゃないだろ。ほら追いついて来やがるぞ~」
見ればすごい形相で、ギャング共が追いかけてくる。これはやばい。
「裏口に敵がまわってなければ良いですけど………」
「勘で大丈夫だと思う」
もう何も言わない。此処で突っ込んだら負けなのだとジュリオは言い聞かせる。
裏口までは結構な距離なのだが、ジュリオはその過程で肩に1発喰らった。だが案外平気だったりする。
「おい、ジュリオ。平気じゃないだろ?」
「洒落にならないぐらい痛いです」
前言撤回。ジュリオはもう限界寸前。
「とう!!」
ボスがうまいことドアの鍵を閉めた。時間稼ぎぐらいには鳴るだろう。2m程の幅の通路の先に、ドアがあった。
「おっ、裏口発見。さっさと行くぞ~」
明るく言うボスに、ジュリオは気になっていることを聞く。
「…………ところでボス。車が待っているのはどのぐらいの距離ですか?」
「1km」
確実に、そこまでには蜂の巣になっているだろう距離だ。
「………ボス。俺、此処で敵をくいとどめます」
「え!?冗談言っちゃいけないよ」
「ボス、1kmもあったら確実に追いつかれますよね!?」
ボスがぽかんとした顔になる。
「えっ、マジで!?」
「いくら足が速くても逃げ切れない距離です!!」
多分、途中でバテてしまうのがすぐに予想できる。
「とにかく、ここで時間稼ぎますから……さっさと逃げてください」
走るのをやめ、裏口とは反対側の方向を向くジュリオ。声が聞こえ始めている、敵は近くまで来ているだろう。
「だけどお前、武器ないじゃん」
「ナイフがあります」
すっと彼はサバイバルナイフを懐から取り出す。
「それに肩……」
「そこは問題ないです」
だらだらと流血している肩はいかにも痛そうなのだが。
「しかし………」
「あぁもう、いい加減にしてください!!そりゃあ、あなたにとっちゃ俺は養子ですよ!!だけどあなたは俺よりも重要なコロンボ一家を率いるボスだ!!さっさと逃げてください!!」
「………………」
ボスは目を悲しませながら何も言わずに、裏口から出て行った。
「やれやれ……世話をかける………」
すぐにヒスパニックギャングが来た。しかし、人数から見て十数人程度だ。残りは他のファミリーを探しに行ったのだろう。彼らはジュリオを見たとたんに銃を発砲する。
「あぁ、人が感傷に浸っているときに攻撃すんな!!」
軽々と避けるジュリオはそんなことを嘯く。絶対に生きては帰れないのにもかかわらず、余裕を見せているのだ。
ナイフをもう一本、懐から取り出し、2本を両手に握る。そして
「我が組織をなめんじゃねぇえええ!!」
全力で叫びながら、ジュリアは突撃を敢行した。
飛び交う銃弾に早くも腹部に数発、喰らった。だが、彼は平気なようにナイフを振るう。
「この野郎っ!!」
1人の喉笛を刺し、すぐさまもう1人のうなじを突き刺す。
「うらぁあああ!!」
鬼神のようにナイフで攻撃していくジュリオに、ギャングは少し怯む。その少しの時間でジュリオは次々と攻撃を開始する。
ヒスパニックギャングは正規のギャングと言うよりもごろつきのような質の悪い人員が多い。つまり戦闘のプロは少ないのだ。
「ふんっ!!!」
また1人、左胸を突き刺し、また1人、目を刺す。次に、2人同時に腹部に突き刺す。いい加減、ナイフも切れ味が落ちてきたが、そんなことも言ってられない。
「死ねぇえ!!」
銃を乱射する奴に向かう。2m程度の狭いところで銃を乱射するので同士討ちもしている。これで何人かはやられたはずだ。
「地獄に堕ちろ!!!!」
乱射する奴に飛びかかり、2本のナイフで喉を串刺しにした。残るは1人。後ろを向いて、2本のナイフを投げる。相手も、こちらに向けて発砲している。
相手の顔面に、2本のナイフは見事当たった。
「…………痛いな……けっ」
その代わり、ジュリオの左胸下辺り、心臓にに3発の銃弾が当たっている。
相手も、ジュリオも、バタンと倒れる。最終的には、相討ちで終わったのだ。
ふっと、ジュリオは目が覚める。先ほど相討ちになってしまったのにも関わらず、目覚めるなんておかしなことだと思いつつ目を開けると。
「やぁ、どうも」
目の前におっさんがいて、いらっとし始めるジュリオ。
「えっと、ジュリオ・アナスタシア。26歳。犯罪組織ノーサ・コストラの1ファミリー、コロンボ一家の幹部。独身。下戸、そして童貞」
ジュリオ自身が気にしている事をさらりと言われたので彼は激怒して起き上がってみると、他にも中年女が1人いる。部屋の中の周りの造りはギリシャ神殿のようだ。と、そんなことはどうでも良い。
「おk。お前、どういうことだか説明しろ」
開口一番、ため口で質問。
「お前って………君、それでも天空神ゼウスに対する態度?」
目の前のおっさん、もといゼウスが文句を言う。それでもジュリオはふてぶてしい態度を崩さない。
それどころか、神話じゃいくつものふしだらな話を作っているゼウスだと分かり、怒りが増しただけだ。
「血の掟、第7条妻を尊重しなければならない。に反する浮気者の変態野郎に敬意なんて払わねぇよ」
血の掟はマフィアの十戒みたいなものである。
「なっ!!」
その言葉で頭に青筋が入るゼウス。怒鳴りつけようとしたみたいだが、隣にいた中年女がしゃべる。
「あなた、怒ることは出来ませんよ?最近だってAKB48なんかに手を出してましたわね?」
「へ、ヘラ、あれは違うんだ!!」
「何が違うんですかこの野郎!!」
ゴン!!
ゼウスがヘラに殴られる。痛そうだ。
「早く説明しろよ。腐神」
しかしそんなことはお構いなしのジュリオ。あだ名までひどい。
「腐神って何だよ!?」
「早く説明したらどうです?腐神」
ヘラまで裏切った。
「ヘラまで…………畜生、分かったよ説明するよ」
踏んだり蹴ったりのゼウスは、何か説明書みたいな物を取り出し、読み上げていく。
「えっと、このたび、あなた様は異世界転生というビッグイベントに当選しました。だから異世界へ行ってください」
「分からねぇよちゃんと説明しろ腐神」
すぐにジュリオから罵声が飛ぶ。
「うるせぇ!!…………で。異世界、まぁ次元の違う世界に行くことなんだけど。君が抽選で当たったからそうしてあげようかと」
「もうちょっと威厳を持ったまま説明できませんの?」
次にヘラから駄目だし。
「みんな黙っててくれ。お願いだから。……それで、さすがに君単体じゃ不安だから装備もあげます」
涙ぐみながら、ゼウスは指をパチンと鳴らす。するとリュックのように背負える革袋が1つ出てきた。
「何だ、これ?」
ジュリオはがさがさと中身を見てみる。
「入っている物は3つ。1つ、バイオハザードでチート武器で出てきたトンプソン・サブマシンガン。ちなみにチート仕様じゃなくて中古で買った440ドルのやつだ。弾倉は10個」
「ちょっとまてふざけんじゃねぇ!!」
440ドルは日本円に換算して3万6000円ぐらいだ。
「何だよ………文句あるの?」
「ありありだよ。もっとマシな物寄越せよ!!!」
「はい、次は……」
結局無視して進めるゼウス。ヘラ、大爆笑状態。銃が安いことだけでそこまで笑うか甚だ疑問だ。
「ノートパソコン。一応、改造加えて地球上の全ての情報を入れておいた」
チート級装備がパソコンという事態にジュリオがマジギレする。
「おい、銃と違って何でそこだけ凄いことしてんだよ!!だったら銃も……」
「はい、最後に………」
やっぱりスルーするゼウス。
「異世界でのお金。換算すると30ドル程度だ」
30ドル=日本円で3320円
「おいとんでもなく少ないじゃねぇか!!!本当に殴るぞ!!」
ゼウスは聞こえてないかのように話を進める、
「じゃあ、詳しい説明はおって言うから………早く行って」
「おいこら、金少なすぎだろ!!!それにまだよく分からないぞ、ふざけんじゃ………のぉうひん!?」
文句を言い終わる前に、ジュリオの姿が歪み始める。
「後は頑張れよ、畜生が…………」
「おま、ふざけんじゃ………」
完全に歪みきると、ジュリオの視界からゼウスやヘラは消え、暗黒の世界になってしまった。
マフィアの情報は結構少ないので、間違っているところ多そうですね。それにボスがあんな感じなのはどうかと思います。しかも展開が早い感じもしますし。
自らの小説ですが、これはひどい。
とりあえず、ご意見ご感想、お待ちしております。