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僕が英雄?記憶にないんですけど?  作者: 髙龍


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第九十二話

サノス達はジントの恋人であるリーシャを連れて拠点にしている街に戻ってきた。


最初は遠慮がちだったリーシャだったがアマンダとカノンが積極的に話しかけたこともあり街に着くころにはすっかり打ち解けていた。


アマンダとカノンはお金を出し合って街に家を買った。


今はそこに5人で住んでいる。


「甲斐性がなくてごめん」


「いいのよ。気にしないで」


「そうそう。それよりも今日もバリバリ稼ぎましょう」


狩場である森はまだまだ不死竜の瘴気の影響にあり獲物が豊富だ。


サノス達にとっては良い稼ぎ場所となっていた。


リーシャも昼間は仕事を見つけ少しでもお金を返そうと頑張っている。


ジントはたまに気合が空回りして怪我をすることもあるがアマンダは文句を言いつつも治療をしていた。





もし、この3人に出会わなければサノスはどうなっていただろうか。


1人で薬草や売れる物を採取して過ごしていたのではないだろうか。


今では街を歩くと冗談のように「よっ!街の英雄様!」なんて揶揄われたりする。


素面の状態のサノスはまだまだ成長途中だ。


英雄と呼ばれるもう1人の自分と比べればまだまだ未熟だ。


酒を飲む事態にはしばらく陥っていないが負けないように頑張らなければならないだろう。


「サノス?何を考えていたの」


「いや。ちょっとね・・・。僕をパーティーに誘ってくれてありがとう」


「お礼を言われるようなことじゃないわ。私達も打算があって誘ったんだもの」


「そうそう。サノスの戦闘力を利用しようと思ってたもの」


「そっか・・・」


「でも、今は誘ってよかったと思ってるわ」


「うん。頼もしい旦那様。今後も期待してるからね」


愛しい2人からそう言われては頑張るしかないだろう。


もう1人の自分に頼らなくてもしっかり守れるぐらいに強くなろう。


決意を新たにしたところで現実に目を向ける。


まずは、今日の生活費をしっかりと稼ぐべきだろう。


冒険者は稼げるときは稼げるがいつ稼げなくなるかわからないのだから。





サノス達の冒険者活動はまだまだはじまったばかりだ。


酒を飲むことで英雄と呼ばれる力を発揮するサノスとそれを支え続けた仲間達。


いつの日かもう1人の人格に頼らずに英雄として活躍する日がくるのかもしれない。


トラブルに巻き込まれてもこの仲間達がいれば乗り越えていけるだろう。






酒飲みの英雄。


彼は後世にそう伝えられる。


酒を飲んだサノスは素面のサノスなのかもう1人のサノスなのかは誰も知らない。


ただ、彼に救われた。


そういう人が大勢いたのは確かだった。

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