キュリア2
時は流れ、私は十歳になった。
「ハッ・・、ヤッ・・、トー!」
私の見事な三連撃でも木人形はびくともしない。
「お嬢様、ハルバードはお嬢様にはまだ早すぎます。いつも通りこちらの短剣で練習しましょう」
小振りのハルバードではあったが、私には重すぎて持ち上げて木人形に当てるのが精一杯だった。
モンスターの皮膚は硬いことが多く、重量や遠心力で威力を上げないと魔力を乗せてもはじかれてしまうことがある。
大人になればハルバードも扱えるようになるだろうけれど、女の私では筋力が長くはもたないだろうし、そもそも通常の武器では目標を達成することは出来ない。
やはり前文明の遺産である魔法武器がほしいわね。
剣タイプの魔法武器なら要求筋力値も低かったから私でも装備出来るだろう。
ゲームとこの現実が一緒ならばだけれど。
私はいつも通り短剣術と基礎鍛錬を行った。
「これが七つの生薬を配合した体力回復薬のリポG、それとこちらが行動食をより食べやすく、なおかつ味を向上させた高カロリーマイトです。あとこちらは廃棄していたモンスターの素材から作った細工物です」
私が細々と作っていた試作品をお父様に披露する。
剣の鍛錬は続けているが私がハルバードを振り回して無双する事は諦めている。
剣タイプの魔法武器を手に入れるつもりだが、モンスターの生息地域にある未発見の遺跡を探すにも市場に出回っている魔法武器を買うにもお金がかかる。
まずは金策から始めることにした。
「この飲み物はモンスター討伐時に持たせてくれたものと同じものかい?」
「あれは試作品で、これは味を改良した完成品です」
あのとき渡したものは効果に関しては問題なかったが、鼻をつまんで一気に飲まないと駄目なくらいあれな飲み物だった。
私は味見をしてなんとか飲めると思って渡したのだが、披露状態で飲むのはきついと言われたのでお子様でも飲めるくらいに改良した。
まあ効果は低下したが仕方がない。
これらの品はお父様やその側近たちの興味を引くことに成功した。
お父様の側近の一人が私に付き、今後は専門の職人を雇って改良や制作をする事になった。
そしてリポGの製造工程を説明する際、十五種類の薬草をぶち込んだ私にお父様が七種類の生薬って言っていなかったかい、とツッコミを入れてきた。
七という数字はお約束だと説明したが理解は得られなかった。