考える娘
モニターの向こうで、黒いワンピースの少女が燃えていた。立ち上る黒煙、肉の焦げる臭いすら、間近なのに遠い。
この娘は、何を考えながら逝くのだろうか。
『ゲームコンプリート』
合成音声が告げ、もう一人の黒いワンピースが部屋を出る。
彼女は、この先どうやって生きていくのだろう。
ドローンが、無数の手で各部屋の遺体を処理していく。彼ら(?)の仕事は完璧だ。
いつもの考えが私の中で反響する。
このシステムを崩壊させる方法はないのか、と。
ゲームを運営し続け、遺体処理まで見届け……私は、何のために。
こんな事……もう、私の代で終わらせなければ。
◆◆◆
日記を付ける。
システムの指示ではない、私の意思だ。
"999回目のゲームを執行。
生還者はロサンゼルスへ転送し解放。
……どうしよう、書くことが何もない。
駄目だ、麻痺してくる。
こんなにたくさん人を殺していい筈がない。
絶対赦されない事なのに。"
コンソールの引き出しから、一丁の拳銃を取り出す。
こめかみに当て、呼吸を整える。
システムエラーを期待しながら、指を動かす。
警告音が鳴り響き、薄暗いマスタールームが赤色灯に照らされる。
腕時計に擬装したスタンガンが、私に制裁を加える。システムは完璧だった。
自己満足だとは思う。
だが、こうでもしないと不公平だ。
システムの部品でも、罪には罰が必要だ。
私は、悪いことをしているのだから。




