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 暗い場所、私はいつも孤独だった。新しい魔法を覚えれば褒められると思い色々な魔法を覚えた。お城にあった魔導書を読めば理解出来たしそれを実現する魔力もあった。だけどそれは褒められるどころか皆私を恐れ離れていった。いつも気持ちの悪い笑顔を貼り付け私が不機嫌にならない様にゴマをするだけ。

 うぅ、頭痛い。目を開ける、不快な夢を見ていたのか涙が溢れる。慌てて目を擦り周りを確認する。誰にも見られていない。ここは……この魔素の少なさから人間界である事が分かる。

 魔法は使えるのだろうか…私は念じイメージする。

 拳大の大きさの氷の槍が目の前の岩を貫通する…何だこれは、魔素が少ないにしてもこの程度の威力。その気になれば山程度の大きさの氷を無詠唱で作れた私がこんなちっぽけな氷しか作れないなんて…ふむ、確かに封印されている。これでは魔界には戻れない…でも父に捨てられた私が戻る意味もないか。

 まぁ、たかだか無詠唱でこの程度の威力なら問題はないか。取り敢えず先ずは水と食べ物。人の集まる街へ行けば良いのか?その後は当面暮らしていく為のお金を稼ぐしか無い。でも、お金ってどうやって稼ぐんだろ、こんな事ならサイネスが人間界の事を教えてくれてた時もっとちゃんと教えてくれたら良かっのだ。サイネスはみんなが諦めた私の教育係を最後までしてくれてた。ふむ、魔界に戻ったら褒めてしんぜよう、うしし。

 さてと、取り敢えず街へ行ってみるかな。歩き出した私は何かに躓きコテっと転んでしまう。


「いたたたたた、なんだ?」

「ぷきー」

「む?お前は7柱うちの1柱暴食か」

「ぷーきー」

「なんじゃ、リスの姿になりおって…ま、まさか私とパスを繋いだままでお前の能力も封印されちゃってるのか、くーっ、ププ」


 私が笑い転げていると急激な魔素の上昇を感じ暴食の方を見ると可愛いリスからケルベロス、そして最後はハエの姿をした悪魔へと姿を変えた。なーんだ、ちゃんと幻獣の姿にも元の姿にもなれるのか。


「なんじゃ、お主は元の姿になれたのか」

「ルシファーですら従えていたお前が何と貧弱な魔力な事か、今のお前如き幻獣の姿のオレ様でも一噛みで御陀仏だな」

「やりたければやれば良いのだ、弱くなってしまった私が悪いのだ」


 ほらみろ、父様、力が無くなった途端これだ、私が言っていた事が正しい。自分が弱くなりその正しさで命が終わるのも皮肉な物なのだ。


「…相変わらず生意気なやつだな、オレ様にそんな口を聞くなんてな、魔界も退屈だしお前といれば楽しそうだから、まぁお前がどうしてもと言うなら着いて行ってやっても良いぞ」

「いや、要らないのだ」

「そうかそうか、素直にそう言えば……なっ!なんでやねん!」

「いや、そんな禍々しい悪魔よく考えたら怖いのだ」

「おまっ、じゃあお前がそこまで頼むなら可愛らしいリスの姿で行ってやらん訳でもないぞ、1人だとお前も寂しいだろ」

「…いや、別にいらないのだ、ずっと1人だったし」

「ず、ず、ず、ずっと1人…よくお前悪魔や魔神化する事なくそこまでの魔導の高みへと行けたもんだな」

「やる事なかったしもっと上手くいったら褒められると思ったのだ」

「な、なんて切ない話なんだ、お前がどうしてもと言」

「ハンナなのだ!」

「あん?」

「私の名前はハンナよ、ハエ男」

「はえ、ハエ男だと!折角お前の身の上に同情してる俺様に、それにオレ様には気高き名前ベゼルブブという立派な名前が!」

「じゃあ私の事はハンナと呼ぶのだ、私もベルゼブブ…うーん、ちょっと長いよね、ブブて呼ぶから」

「ブブ?けっ、可愛いじゃねえか、ちっ、しょうがねえなぁ、ハンナがオレ様の事をブブと呼ぶ事を許可しよう」


 なんだろ、こんな風に人と喋った事なかったな、人じゃなくて蝿だけど。


「おい、ハンナ!今何か失礼な事考えてないか?」

「考えてないのだ、ちょっとこんな風に話すのも楽しいかなって思っただけなのだ、リスの姿になっても喋れるの?」

「喋れはしたいが、そこまで喋りたいならパスの繋がってるハンナとなら念話は可能だ」

「うん、じゃあ頼むのだ、ブブ」

「お、おぅ、なんか素直に言われても照れるな」

「…ハエがモジモジしてても気持ち悪いよ」

「うるせぃ、じゃあ可愛いリスに戻るな、ん?人間が何人か来るから気をつけろ、おそらく神界からの監視もついているだろうから無闇に殺すなよ」

「うん、そもそも殺した事などないのだ」


 ブブはリスになって私の肩に当然のように乗り何処からか取り出したドングリをもしゃもしゃ食べてる。


「こぼさないでよ」

「ぷきー」

『……こぼさないでよ』

『ぷーきー』

ゴン!

『ふざけてるでしょ』

『イテテテテテ、分かったよ、取り敢えず何も分からないで通して後は状況次第じゃないか』


 ブブって、こんな性格だっけ?魔界で会った時はもっと禍々しくて高貴な感じだったのに。ドングリ全然こぼしてるのだ…


「おーい、こっちに人がいるぞー!」


 ブブが言った様に人が複数来そうだね。

足音からするに4人かな。


「おい、俺の名前はクリア、魔法使いなんだがこっちの方で禍々しい気配を仲間がテイムされてるドランが感じたんだが大丈夫だったか?」


 …どうしよ、ブブが元の姿になったせいだけど知られたら良くないよね、魔法で黙らせば良いと思うけど、ブブも言ってたけど監視もあるかもしれないし…

しかしこいつ、なんと貧弱な魔力量なことか。多少マシなのはドランと呼ばれた魔物はあのドラゴンパピーの事か?


「兄さん、そんな風にいきなり聞いたら怖がりますよ、魔物の気配も感じませんし、すいません、僕の名前はクリス、後はヒーラーのマリナさんとテイマーのニコさんです」

「私はハンナ、魔素の異常については知らないのだ」

「そうか、さっきは焦って少し言葉がキツくなってしまってすまんな、で、ハンナと言ったか、何故こんな所へ?」

「分からない、気がついたら此処へ飛ばされていたのだ」

「転移で飛ばされたって事か…」

「分かんない」


 私は取り敢えず分からないという事でこの場は済ます事に。ブブもそうしろって言ってたしね。



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