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謀略編・第十六話

 謀略編・第十六話更新します。

 

 今回は山城国が舞台。あとは加賀で起きた、ちょっとした事故になります。


永禄四年(1561年)十二月、山城国、武田信虎邸、武田信親――



 越前で十月に行われた秋の祭り。それに参加した後、加賀まで戻って半月程度でUターンと言う強行スケジュールを余儀なくされていた。

 加賀の差配に本家の内政。それに加えて、ゆきの出産日が近いという理由もあったからだ。

 ゆきの代わりに案内役を務める事になった時盛(川崎時盛)さんと貞虎(小笠原貞虎)さんには、随分と迷惑をかける事になってしまった。

 

 不幸中の幸いと言うべきか、ゆきは俺が加賀にいる間に、無事に出産してくれた。

 ただちょっとした騒ぎが起きたのだが、それに関しては割愛する。

 残念な点があるとすれば、月を連れてこられなかった点だ。幼いなりに、母親であるゆきの事が心配で、傍を離れようとしなかったのだ。出来れば信虎お祖父ちゃんに会わせてやりたかったんだけどな。

 お祖父ちゃんも残念そうにしていたけど、こればかりは仕方ない。春になったら加賀へ遊びに来てください、と言うしかなかったよ。

 

 そして十二月に舞い戻った俺は、目々典侍様と春齢女王様に御挨拶に伺い、そこへ更にスケジュールを詰め込むかのように、ボンバーマンとの会見を捻じ込む事になったのだ。

 こんな強行スケジュール、二度と御免だ。

 そんな本音はおくびにも出したりはしない。信虎御祖父ちゃんと一緒に、ボンバーマンを出迎えた。

 

 「……熱いほうじ茶、忝う御座いました。それにしても、この炬燵。これも加賀守殿の御発案で御座いますか?」

 「はい、仕組みは単純ですが、寒い日には重宝します」

 「問題があるとすれば、外に出たくなくなる事ですがな」

 大笑する信虎御祖父ちゃんに、ボンバーマンが頻りに相槌をかえしていた。

 どうやら、随分と気に入ったらしい。

 この分では、三好家にも炬燵が広まるのは間違いない。目々典侍様にも提案して、代理の大工さん――修理職に動いて貰ったのだが、評判は上々であった。

 ただ火事と一酸化炭素中毒が怖いので、その点だけは注意を促しておいた。あとは典侍様の良識に期待と言う所だ。


 「そういえば、この炬燵。変わった使い方もありまして」

 俺が炬燵の中から取り出したのは、十分に温められたミカン。

 二人が言葉を失っているのが、雰囲気で良く分かる。


 「騙されたと思って食べてみて下さい。甘いですよ」

 「ほう?それでは、試しに」

 最初に動いたのはボンバーマンであった。そして――


 「これは信じられぬほどに甘いですな」

 「酸味の強いミカンであっても、こうして十分に温めると甘味が強くなるのです。面倒であれば、湯で温める、でも同じ事が出来ますが」

 「いやいや、これは良い土産が出来ました。城に戻ったら修理大夫(三好長慶)様に実演すると致しましょう」

 そういえば、三好家の所領は四国にあったからな。ミカンは山ほどあるか。

 でもこの時代は、ミカンに限らず果物全体の甘味は弱い。品種改良とかされていないのだから当然なんだが。

 だからこそ、ミカンを甘くできるというのは驚き以外の何者でもないだろう。


 「そろそろ本題に入らせて戴きます。加賀守殿、先月ですが当家に毛利より使いが参りました。武田家にも参りましたか?」

 「来ておりました。一言で言えば言い訳で御座いましたが」

 「当家も同じで御座います。ただこちらに対しては、遠回しに公方を弑するように仕向けようという意図が感じられましたな」

 毛利が義輝を殺したい、か。義輝が西国同盟結成に動いているのは、毛利からの文で確認する事が出来た。同盟結成自体は、予想はしていたから驚く事は無かったんだが。

 ただ毛利は三好を利用して殺そうとした、という事。

 毛利家当主、毛利元就。謀将として有名だが、その名に恥じない、という事かな?


 「三好家としては、公方を殺す利がありませぬな」

 「はい。修理大夫様は温厚な御方。その様な真似は許されませぬ。陸奥守(毛利元就)殿は三好家が公方に不満を抱えていると判断したのでしょうが、一歩足りませんでしたな」

 「ですが、黙っておられるつもりもないのでは?」

 三好家が意趣返しに出るのは当然だろう。利用されたとあっては、不愉快に感じるのは当然だからな。

 だから俺としては何も言うつもりは無い。

 ただ気になるのは、どうしてボンバーマンが今回の会見の議題としたのか?だ。


 「加賀守殿。毛利は西国同盟に加わりたくない。だが公方がそれを許しますかな?」

 「許さぬでしょうな。毛利家を敵、或いは裏切り者として扱うでしょう。そのまま糾弾するか、それとも西国同盟を公方として宣言してしまい、強制的に同盟に組み込むか、までは断言できませんが」

 「当家もそのように考えて御座います。故に太閤殿下を通じて、公方を嗜めて戴こうというのが三好家の総意に御座います」

 あの公方なら、十中八九、毛利を裏切り者呼ばわりするな。

 丁度良い。結果がどちらに転んでも有難い限りだ。出来る事なら裏切り者として糾弾してくれれば、こちらも各個撃破のチャンスを得られるんだが。


 「恐らく、公方は同盟に組み込む事を強行するでしょう。ここで西国同盟を無かった事にすれば、公方は口先だけと見做され、その権威はますます落ちる。そして誰も公方の命に従わなくなる。となれば、毒を食らわば皿までと覚悟を決めて動くしかない。近臣達も背中を押さざるを得なくなりましょう」

 「止める者はおらぬという事ですかな?加賀守殿」

 「太閤殿下や慶寿院様、そして細川兵部大輔(細川藤孝)殿は止めようとするでしょう。公方よりも周りが見えておられるようですから。だがそれ以外の者達は別。権威が落ちる事は、自分達が舐められている、見下されている、それは屈辱でしかないと判断するかと。三好家で伊勢守(伊勢貞孝)殿を押さえておけば、暴走の度合いはより強まりましょう」

 『左様でございますな』と相槌を返してくるボンバーマン。

 公方の権威が落ち存在感が薄まれば、相対的に三好家の権威が上がる事になる。三好家としては有難い限りだろう。

 ただ西国同盟が成立すれば、本願寺にバックアップが入る事になる。結果として三好家の負担が大きくなるが、それは何とかできると判断したか。

 ただ問題があるとすれば、丹波と紀伊だろうな。だが俺が忠告する必要は無いだろう。三好家としてもそれぐらいは理解しているだろうから。


 「加賀守殿でしたら、石山をどう攻められますかな?」

 「今すぐは無理ですな。兵糧攻めを行おうにも、海がある限りは決定的とは申せません。本願寺もそれぐらいは考えているでしょう。短期決戦を望むのであれば、石山の外へ誘き出す他ありませんが」

 「石山が乗ってくれるとも思えませんな」

 俺なら兵糧攻めはしない。ただ準備が整っていないんだ。今、戦端を開いても無意味に被害を生み出すだけ。

 それに俺自身も能登攻めの準備がある。わざわざ石山にまで、軍を派遣する余裕は無い。

 ここは三好に頑張って貰いたいところだ。



永禄四年(1561年)十二月、山城国、二条御所、足利義輝――



 余の下に届いた報せ。

 それは余の機嫌を損ねるに相応しい物であった。


 「毛利は余の斡旋を拒むと申すか」

 「石山からの文にはどう応えられますか?」

 「本願寺としても、西国同盟の方が都合は良かろう。余の名において、堂々と同盟の成立を宣言してやれば良いだけだ。そこまでやられてしまえば、毛利としても怖気づく訳にはいかなくなる。それでも嫌がるようなら、本願寺に命じて安芸で一向一揆をおこしてやれば良い」

 余の言葉に、近臣達は皆、頭を垂れる事で賛同の意を示した。

 うむ、これこそがあるべき姿なのだ。公方である余の意に従う事こそが、当然の事なのだ。それを毛利は断ってきおって。余の命を何と心得ておるのか!

 三好・武田を誅伐した後には、いずれ毛利にも罰を与えねばなるまい。


 そこへ大きな足音が聞こえてきた。

 やれやれ、煩いのが来たわ。


 「公方殿!また勝手に動いたのでおじゃるか!修理大夫殿から苦情が来ているでおじゃる!」

 「何かの間違いでは御座いませぬか?余は何もしておりませぬが?」

 余の舅。太閤、近衛稙家殿。

 母上とならんで、余のお目付け役を自認している煩い御仁だ。戦は武士の専門。刀すら握った事の無い老人が、嘴を突っ込んでくるべきではないのだ!

 だが、余と朝廷の間はギクシャクしているのも事実。今は、この老人の存在を切り捨てる事も出来ん。我慢せねばならんわ。


 「修理大夫殿によれば、公方殿が陸奥守(毛利元就)殿に、西国同盟に参加して三好と戦うように命じてきた。毛利家はそんなつもりは無いと釈明の為に使者が芥川山城まで来たと申しているでおじゃる!」

 「ご安心ください。余はそんな事は命じておりませぬ。何かの間違いでしょう」

 「毛利は武田家にも言い訳の使者を送ってきているのでおじゃるぞ!三好の松永弾正殿が儂に教えてくれたでおじゃる!武田家の加賀守殿から伝えられた、と!」

 武田信親。三好長慶と並んで、余が最も嫌う男の一人だ。

 観音寺城で余を愚か者と蔑んだ事を、余は決して忘れはせぬ!いつか必ず、余の一撃で斬り殺してくれるわ!

 

 「恐らく、何者かの策謀で御座いましょう。それでなくても、余には越後の時の失敗が御座います。偽の使者を三好や武田に送れば、殿下に苦情を申し立てる。そうすれば余を孤立させる事が叶う。そう目論んだので御座いましょう」

 「……本当に、関りが無いのでおじゃるな?」

 「間違いありませぬ」

 舅殿は何度も念押しをしてから、足音も荒く立ち去った。

 やれやれ、天下の行く末を見定める事も出来ぬ爺の分際で、余に説教とはな。舅でなければ、この手で斬り殺してやっていたというのに。

 とは言え、今すぐ西国同盟成立を宣言するのは時期尚早かもしれんな。さすがにあの爺や母上も警戒するだろう。

それに余が主導して成立したというより、西国の者達が忠誠心を発揮して余の為に動いてくれた。それを余が賛美して成立を認める、とした方が美しく見えるかもしれん。

 となれば……毛利を圧迫してやるか?


 「毛利に圧をかける。一向宗の坊主に安芸で熱弁を振るわせるのだ。熱弁に耳を傾ける門徒の数を知れば、毛利としても身の危険を感じよう」

 「では本願寺の要請は如何いたすので御座いますか?」

 「全て認めた上で、機を見て同盟成立を宣言してやるのだ」

 これだ!こうしてやれば、毛利には逃げ場が無くなる。

 嫌なら堂々と反旗を翻せばよいのだ。それでこそ、武士として本懐であろう。


 「それだけでは、まだ甘いか……尼子に石見守護職を与えて、石見銀山所有の正当性を尼子に与えてやろう。それから大友の後継ぎが生まれたのは二年前だったな。丁度よい、豊後守と周防守護職を与えてやろう。毛利には石見銀山と豊前の門司城を所有する正当性が無い事を余が認めてやる!」

 「陸奥守は立場が御座いませんな?」

 「たかだか田舎の国人衆如きが、天下の将軍である余に意見をする事自体が不遜なのだ。その増長、悔いるがよいわ!」

 毛利への対応はこれで十分だ。

 次は石山からの報せに書かれていた、能登への対応だ。

 能登の不穏な噂。まさか、あの盲が陰で糸を引いていたとはな。


 「能登の治政を乱した罪を問わねばなるまい。どう思う?」

 「「「良き御思案かと」」」

 「お待ちください!公方様!まさか加賀守殿を呼びだして、詰問なされる御積りで御座いますか!?」

 兵部大輔(細川藤孝)は反対か。だがこ奴は余の為に、不平不満を口にせず働いてきた功臣でもある。

 ここは公方としての度量を見せてやらねばなるまい。


 「兵部大輔、余の判断の何が悪いと申すのだ?能登に策謀を仕掛けて、能登の治政を乱した挙句に、民を逃散させ、能登畠山家と国人衆の間に亀裂を生じさせた。まさに腹を切らせるに相応しき所業。加賀の没収も考慮にいれねばなるまい!」

 「そのような事をすれば、武田家が敵に回ります!それどころか主上が公方様を朝敵として認定なされる可能性すら考えねばなりませぬ!加賀守殿は主上の娘婿になる御仁。決して敵に回してはなりませぬ!」

 「……良かろう、ならば命は奪わん。だが叱責はすべきである。日ノ本の平穏を乱したのであるのだからな、能登の正当な支配者は能登畠山家。決して甲斐の山猿如きが出しゃばって良い国では無いのだ」

 さすがに主上を敵に回す訳にはいかんな。出来る事なら殺してやりたいが、確かに主上と言う存在があったわ。

 しかし兵部大輔の忠告を聞いていなければ、とんでもない事になっておったな。

 全く、運のよい奴だ。


 「兵部大輔、あの盲は今、京にいた筈だ。能登の件で釈明に来るように伝えよ!」

 「公方様!」

 「命は奪わん!だが室町の決めた能登支配者による支配を揺るがした罪は問わねばならん!それが公方としての責務である!」

 武田信親。其方今荀彧という二つ名に相応しくない、不忠の臣である事を余の手で暴いてくれるわ!



永禄四年(1561年)十二月、山城国、武田信虎邸、武田信虎――



 儂が可愛がり、将来に期待している唯一の孫である二郎(武田信親)。その二郎が明日には一乗谷城へ戻る為、ここを発たねばならぬ、と伝えてきた時の事であった。

 二条御所からの使者が来たのである。

 使者は顔馴染みの細川兵部大輔(細川藤孝)殿。公方に仕える者達の中でも、唯一と言って良いまともな御仁であり、二郎と文を交わしてきた知人でもある。


 「加賀守(武田信親)殿、誠に申し訳御座いませぬが、二条御所へお越し戴きたいので御座います。恥ずかしながら某では公方様を止められませんでした」

 心底、申し訳なさそうな兵部大輔殿から話を聞いてみれば、能登の治政を乱した罪を問うという物であった。

 まず儂がしたのは、無言で太刀を確認した事だ。

 儂も歳老いたが、いざと言う時の為に鍛錬を怠ってはおらぬ。巷では剣豪将軍と呼ばれているらしいが、本物の戦場の太刀を見せてくれるわ!


 「分かりました、伺いましょう。それで今すぐ向かえば宜しゅう御座いますかな?兵部大輔殿」

 「え!?よ、宜しいので御座いますか?」

 「構いませぬとも。念の為にもう一度確認させて戴きます。公方様はこう申したのですな?能登の件で二条御所まで来い、と」

 二郎はこの屋敷にいる時は、眼帯を外しているのが当たり前。『御祖父様相手に眼帯で顔を隠す様な失礼な真似、孫としてする事は出来ませぬ』と。

 本当に愛い孫であるが、おかげで今は表情が分かるのだ。

 明らかに笑っている、と。


 「半刻後に二条御所へ向かいましょう。宜しければ、兵部大輔殿にはその旨、公方様に先行してお伝え願っても宜しゅう御座いますか?」

 「か、忝う御座います!本当に御迷惑をお掛けして、申し訳御座いませぬ!」

 「兵部大輔殿が悪い訳では御座いませぬ。我が身の潔白を天下に知らしめましょう」

 ……何か面白い事を思いついたな?

 兵部大輔殿が足早に立ち去る。とは言え、その身のこなしには些かの乱れも無い。

 どうやら兵部大輔殿は日々の鍛錬を怠っておらぬようだ。やや頼りない面もあるが、鍛錬を積み続けるその姿勢には見るべきものがあるな。


 「御祖父様。二郎の悪巧みに乗って戴けますか?」

 「良かろう、地獄の果てまで付き合ってやる」

 「忝う御座います。某もまた、暴君の二つ名を持っている事をお見せいたしましょう」

 面白くなってきたわ!二郎が何を思いついたかは分からぬが、公方相手にどんな暴君ぶりを見せてくれるのか、考えるだけで心が躍ってくる!


 「鑰之介(川崎時盛)!喜三郎(小笠原貞虎)!」

 「「ははっ!」」

 「二人に命じる事がある。鑰之介はすぐに白地の旗を用意しろ。旗には『天神の寵児が二条御所へ参る』と書き込め。旗の数は十ほどあれば良い。それを持って御所へ参るぞ」

 まだ年若いが、二郎の母衣衆として召し抱えられているという川崎が『直ちに!』と返事をして足早に立ち去った。

 うむ、良い気概の武士だ。あれなら二郎の母衣衆に相応しい。


 「喜三郎。耳を貸せ……数は十もあれば良い、出来るな?」

 「お任せ下さい、直ちに取り掛かります」

 「頼んだぞ」

 小笠原貞虎。この者もまだ十五と年若い。おまけに太郎(武田信玄)によって、信濃の領地を奪われ、滅んだ小笠原家の後継ぎと聞く。

 弓術師範を務めるほどの腕前と聞くが、こ奴はそれだけではない。小笠原礼法も修めているだけの事はあり、立ち振る舞いには全く文句のつけようが無い。若いながらも大したものだ。

 二郎の家臣は出自に難のある者が多い。もしかしたら、その者達に礼法を学ばせる事も考えていたのかもしれんな。

 

 「さて、準備が整いましたら参ると致しましょう」

 「良かろう、血が騒ぐわ!」

可愛い孫とともにする初めての戦は、公方との戦とはな。

 これもまた、良い土産話になりそうだわ!

 


永禄四年(1561年)十二月、加賀国、金沢城、井伊藤吉郎――



 外に目を向けると、雪が静かに降っていた。

 またこの季節が来たのかと思うと、少し憂鬱になる。雪が降ると、家までの帰り道が面倒な事になるからだ。

 とは言え、それにも慣れねばならぬ。そんな事を考えながら、俺は新たに発生した問題について頭を悩ませていた。


 「しかし、どうしてこのような事になったのやら」

 俺の目は、目の前に置かれた金属塊に向けられていた。

 竹で作る炭。そこから出る排熱を利用しての、冬場の養蚕の為の桑の木の確保。加賀守様の命で始まった事だが、雷の敷地内に置かれていた試作品で事故が起きたのだ。

 煙を誘導する鉄の筒。それが突然、崩れて落ちてきたのだ。


 「幸い、けが人はおらんかったのが唯一の救いだな。だが、これの原因を調べないと拙い事になる」

 試作品と同じ型の物が、幾つかの村に設置されて使われているからだ。

 この試作品は、それらより一年ほど早く作られた物。となれば、単純に考えて一年後に各村で同じ事が起きる事を考えないといけないだろう。

 だからこそ、原因を調べる必要が有るのだ。


 「気になるのは、この内側だな」

 正直、信じられない事だが鉄の筒は内側から溶けているような感じだ。

 腐っている?いや、違うような気がする。無学な俺には上手く説明が出来ないのだが、まるで虫にでも食われたように、小さな穴が複数、あいている感じだ。

 ただ、これが原因とは思えない。煙が漏れる事はあっても、軽くなる分、落下する事にはならんだろう。

 この筒が落下したのは、恐らくは筒と筒を繋ぎ合わせたはんだの部分が脆くなり、重さに耐えられなくなった為だとは思うのだが……

 鼻を近づけて臭いを嗅いでみる。まあ大して期待はしていなかったが、何の臭いもしなかった。


 「錆びてはおらぬようだしなあ。鉄を食う虫?そんな物、聞いた事が無いわ。それにこの白い粉は何だ?」

 筒と筒を繋ぐはんだの部分。この内側に白い粉がビッシリついている。はんだ自体が減っている気もするな。

 本当に訳が分からん。だが、どうした物か。

 加賀守様がお戻りになられたら、報告するしかないだろうな。それにしても、困った事になってしまったわ。 


 今回もお読み下さり、ありがとうございます。


 まずは山城国・主人公視点から。


 【月は御留守番】

 ゆきは今回、難産であった為です。あとは多少の気苦労も。

 なので月は幼いながらにお母さんを心配して御留守番志願。良い子です。何があったのかは次々回ぐらいの予定。


 【川崎時盛】

 川崎鑰之介の事。後で知ったんですが、鑰之介は通称、時盛が諱だったそうなので、今回から訂正。以前の部分も、折を見て修正していきます。


 【ボンバーマン襲来】

 この人だけは、諱ではなくボンバーマン呼びのままwそれはともかく、毛利元就の件での話し合いに来てます……筈なんですが、炬燵とミカンの虜にw長慶さんにも伝えます。


 【炬燵】

 目々典侍さんとこにも伝わりました。帝も顔を出して、炬燵を気に入れば瞬く間に広まるでしょう。

 みんな冬は炬燵ムリ。


 【ミカンを温める】

 酸味成分が糖分に分解されるそうです。炬燵に突っ込んだり、日向に置いておいたり。人によっては電子レンジもあるとかないとか。作者は電気カーペット使いましたが失敗でしたw

 酸っぱいミカンは、甘くして食べればカビる前に食べきれます。


 【中国三大謀将VS戦国三大悪人&今荀彧】

 元就さんは、この二人が相談するほど仲が良いとは想像していなかったんでしょうねw


 【公方の対応】

 二人は公方が覚悟を決めて行動すると見ておりますが……


 【良識の持ち主】

 たった三人しかおりませんw政所執事さんは三好よりなので、三好が頼めば見て見ぬふりをするでしょう。


 【丹波と紀伊】

 丹波は波多野家こそ消えましたが、国人衆は健在。公方が西国同盟を宣言して『立てよ〇民!」とやれば、まず立ち上がるw紀伊は畠山が健在なので、三好如き陪臣ずれに頭なんぞ下げられるか!という所。


 【石山攻め】

 主人公は準備が整っていないので消極的。やるなら三好家で頑張ってね、と言う感じ。


 次は公方視点。


 【毛利のお断り】

 激おこプンプン丸。本願寺との単独同盟なんぞ認めるか!無理矢理同盟に組み込んじまえ!という感じ。

 公方は覚悟じゃなくて、その場の感情で動いてます。ボンバーマンと主人公は、今回ばかりは過大評価してましたw


 【公方の対応】

 自分に従うのは当然というスタイルw……どっかで見たような……


 【稙家さん】

 作者、最初は『植』で書いてましたw『稙』ですね。

 娘婿の公方、正確には正室になった娘が心配で公方の面倒を看ているという感じですが、大分ストレス溜まってます。

 朝廷とのパイプ役でもあるし、気苦労多そうです。


 【白を切る】

 公方は何それ?きっと偽書の計略だよとスッとぼけてます。稙家さんも『嘘吐くな!』と言いたいんですが、切り込む為の証拠が無い。それに偽書と言われれば、それを否定できる証拠もない。なので渋々下がる、と言う所。監視の目は強くなるでしょうけどね。


 【主人公とばっちり】

 とばっちりは正確じゃないかも?今に至るまで、公方はプライド傷つけられた、と思い込んで憤懣を抱えていた事が判明。

 公方の中では主人公と長慶さんが、憎悪を向ける二大巨頭です。


 【忠誠心を発揮して~】

 妙な所で知恵を発揮する公方w迷惑なのは周り。これって結果として、責任を擦り付けられますからね、公方は気づいていないけど。

 美化された方は迷惑ですね。どうなる事やら。


 【毛利への圧迫】

 当面は単独同盟を認めてやろう。ただし!門徒を煽り、その後に同盟宣言強硬!これなら毛利は逃げられんだろう!

 うん、逃げられないよね。元就さん、マジ切れするだろうけどw


 【武士としての本懐】

 おまいう。


 【尼子に石見守護、大友の後継ぎに豊後守と周防守護】

 石見鉱山と門司城は、毛利の物じゃねえよ、ついでに周防もな!とお墨付きを与えてプレッシャーをかけたろう、という感じ。

 うん、効果はあるよね。毛利家はキレて良い。


 【能登への対応】

 顕如は『疑惑』止まりだったのに、公方は『決定』と受け取りましたwそして近臣達の反応。主人公は近臣達からも憎まれてるようです。


 【腹を切らせて加賀没収】

 まさかの武田家による永禄の変勃発フラグwいや、マジで。


 【公方との知恵比べ】

 詳細は次回。


 次は信虎御祖父ちゃん視点。

 

 【細川さん来訪】

 苦労人、細川藤孝さん。公方の命で仕方なく、という感じ。

 御祖父ちゃんも公方の馬鹿っぷりは知っているので、細川さんには少しぐらい、哀れみは感じてます。


 【無言で太刀確認】

 甲斐の暴君、復活フラグw老いてなお盛んです。もう60半ばなのに。

 信玄パパの胃は危険が危ないデシw(分かる人には分かるネタ)


 【主人公も暴君】

 暴君の孫は暴君。腕力か頭脳かの違いw

 そして戦国時代だから、覚悟決めちゃえば御祖父ちゃんノリノリです。


 【天神の寵児が二条御所へ参る】

 こんな旗を掲げられたら、間違いなく大注目w


 【小笠原貞虎】

 加賀武田家弓術師範兼、非公認の礼法師範w

 この当時十五歳。親父を使うべきだったか、と今更ながらに反省。でも武芸大会に参加、家臣として採用しちゃったので強行します。

 親父は……真田に仕えたのかな?


 【御祖父ちゃんの邪推】

 やっぱり立ち居振る舞いは第一印象に関わるので、礼法を習得させても不思議はないんですよね。信長が茶道を家臣に習得させたのも、礼法を学ばせるという一面があったそうですし。


 【祖父と孫の初陣】

 まさかの相手は足利義輝wどーしてこうなったw作者も書くまで予想してなかった、マジで。

 でも面白いから強行した。


 最後に加賀国・藤吉郎視点。


 【竹炭の煙突が】

 煙突は正確じゃないかも。

 鉄で作られた筒を通して煙を送る。それが壊れちゃったよ、というのが事故。でも原因不明で藤吉郎はお悩み中。

 下手すりゃ、来年同じ事が村で起きる可能性ありますからね。


 【小さな穴が複数】

 原因は分かる人には分かる筈です。


 【白い粉】

 さて、何ででしょうw

 戦国時代の人じゃあ、分かる訳もない。現代日本でも、分かる人は少数。農業とか園芸やってれば分かる可能性高いけど。


 今回もお読み下さり、ありがとうございました。


 また次回も宜しくお願い致します。

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[一言] 知りませぬ。偽書でございましょう ↓ 公方殿はそのようなことは考えもしなかったというのでおじゃるな?なるほどなるほど。では此度同盟に参せよとあった者どもには、何者かが公方殿を騙った偽書であっ…
[一言] 蜜柑甘くなるならお酒とか作れそう 美味しいかは知らんが... お酒は梅酒みたいな漬ける系とか黒糖作りの際に得られる廃糖蜜で作るラム酒とかシンプルな蜂蜜酒とかあるからまだまだがっぽりいけそう …
[一言] 信虎爺ちゃん楽しそうだなぁ(ほのぼの 何せ念願の孫と外遊び(戦場で轡を並べふの意)が叶うんだから。 本当はガチのほうがいいんだろうけど、でもこういうのもいいよね! 次回新旧暴君揃うの巻、とか…
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