第74話 新たな目的地に向けて
本日から第2章が始まります。これからもよろしくお願いいたします。
誤字の指摘も毎回非常に助かっております。
第74話~知らせは突然に~
アーネスト公国での内乱の終結後、俺達は一路キュリオス帝国へと歩を向けていた。
帝国に向かっているからと言って、何も目的地が帝国というわけではない。具体的に言えば帝国領のとある場所。
“降りやまぬ丘陵”
その場所は一年を通し雨が降りやむことはなく、常に激しい雨が打ち付け雷鳴が轟く地域となっているらしい。雨が常に降っているせいで足元はぬかるみ、動きが制限される。さらに雨によって視界も制限されることから冒険者にとっては近寄りたくない場所の上位にあげられる場所であるようだ。
そんな場所に向かう目的はひとつ。封じられた伝説の魔物の一柱、“雷獣トール”に会いに行くためである。
『他の伝説の魔物に会いに行くのはどうだ?私は割と早く封印されたけど、他の奴らはしばらくは勇者と戦って暴れていたみたいだし、何か私たちの知らないことも知ってるんじゃないか?』
アーネスト公国の内乱で俺達は神の真意を探るという目的を得た。得たはいいが、具体的な方針が何一つ決まっていなかった。さてどうしようと考えていたところでかけられたのが、今のスルトの発言だったというわけだ。
スルトの言う通り、今のところ神のことを知っていそうな奴など限られている以上、其の辺りから攻めていくのが妥当なところなのだろう。
そうと決まれば話は早い。アーネスト公国から一番近い伝説の魔物の封印場所はキュリオス帝国の西側、降りやまぬ丘陵ということで、俺達はそこを目指しているというわけなのだ。
◇
内乱の終結後、俺達は少しばかり休息をとったのだが、そこで俺はこの世界の地理を大雑把ではあるが学んでいた。
俺達が今いるのは、主に人間や亜人と言ったいわゆる人類と呼ばれる種族が住む中央大陸。この中央大陸はそのど真ん中を南北に分ける死骨山脈があり、さらに南側には永久の森がある。
ゆえにこの大陸では北部と南部でほとんど別の大陸と言ってもいいくらいに文化が違う。交易もほとんどないため、お互いにお互いが現状どうなっているのかもろくにわからない状況なのだ。
北部最大の国はキュリオス帝国。南部最大の国はシルビアス王国であり、かつて大陸の覇権をめぐり争っていた時代もあったそうだが、いつからかそれもなくなり今に至るという。
他の大陸で言えば中央大陸からさらに北部、瘴気が濃く人類が住むには適さない魔大陸がある。ここはいわゆる魔族が住む場所であり、今回の件でも暗躍していた魔族はこの大陸からはるばるやってきたというわけだ。
エリザの話でこの大陸にも伝説の魔物が封印されているとのことなので、行く機会もあるのかもしれない。頼まれたこともあるしな。
中央大陸の南西側にもまた大陸がある。ここは未だ手付かずの場所であり、原住民が統治をおこなっている大陸とのことだ。他の大陸に比べ規模は小さいものの、なんでも温暖な気候から食物が豊富らしく、何度かいくつかの国が侵攻を企てたそうだが全て失敗したそうだ。
失敗の理由は誰もわからない。なぜなら上陸した者が誰一人として帰ってきていないからだ。そのありえない不気味さから、侵攻は敬遠され放置されている。しかしこの大陸にも伝説の魔物はいるらしいので無視するわけにはいかないのかもしれない。
さらに大陸はもうひとつ。
中央大陸からはるか南へ向かった先にある大陸。瘴気があまりに濃く、魔族ですら住むことが出来ない人呼んで暗黒大陸。誰一人踏み込んだ者はおらず、大きさも生息するものがいるのかも詳細はなにひとつわからない。
以上の4つの大陸からこの世界は出来ているそうだ。これを聞くと、いかに俺がここまで小さな世界を旅してきたかが分かる。これまでの人生で最高のスケールの舞台で戦っていたと思っていたのだが、どうやらまだまだ井の中の蛙だったようだ。
「それにしも悪魔に気に入られるとは、お主も大概人から外れた存在になったの」
ゆっくりと歩く俺達だったが、思い出したようにエリザがそう言ってきた。エリザが言っているのは先の戦いでサイモンが召喚した序列6位の大悪魔、アスタロスのことだ。
「気に入られたくてそうなったわけじゃねぇよ。こっちは望んでないんだし」
「謙遜するでない。しかしあれじゃな。悪魔に気に入られ、その上で神と場合によっては対立しようとしている。端から見たらお主、半端ない悪人じゃぞ?」
人聞きの悪いことをいいながらからから笑うエリザ。
「悪人でもなんでも恭介さんは恭介さんです!!なんなら恭介さんが神になっちゃえばいいんですよ!!それで万事解決です!!」
『それもいいかもなー。そうなったら世界は混沌に包まれそうだけど』
「言えとるの。血で血を洗う世界になりそうじゃ」
好き勝手言い始めた3人を無視して俺は先頭を歩く。不愉快極まりないが、同時にこのやり取りに懐かしさを感じていた。つい最近のことなのに懐かしいもくそもないのだが、それだけ一度は死に瀕するということは相当なことなのだろう。
死にかけたからこそわかる日常の大切さ。まだ後ろで騒いでいる3人の声を聞きながら、俺は一人誰にも悟られないように頬を緩ませるのだった。
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