第58話 強制労働収容所
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第58話~強制労働収容所~
仮説はあった。数年前から突如人が変わったリッチモンド伯爵により進められた街の要塞化。それに伴う人員の確保という問題。
思い返してみれば、スラムにいた人の割合は子どもが多かった気がしなくもない。その時はそういうものだと思っていたが、きっとそれは違ったのだ。
「ますますその面が拝みたくなった」
俺の目の前に広がるのは巨大な空間。右に目を向ければ溶鉱炉のようなところで製鉄が行われている。同じく左に目を向ければ武器や防具、その他様々な物の製造が行われていた。
巨大なこの空間はいわば工場のようなものなのだろう。たくさんの労働者がそれぞれの仕事に従事し、休みなく働き続ける様子は、さながら強制労働収容所といったところか。
そこで働く者をよく見てみると、亜人種が多いことがわかった。ぱっと見でわかるの耳の長いエルフ、獣耳のある獣人、そして小柄ですんぐりとしたドワーフ。
つまりはこのアーネスト公国に住む、鬼人族以外の種族だ。
「謎の労働力に消えた姉妹の親、答えがこの工場ってわけだ」
俺は廃倉庫から出た後、スラムの住人や表の兵士など、片っ端からこの街のことを聞いて回った。もちろん表面上は穏やかに。だが、何かを知っていて隠している者には容赦をせずに情報を聞いて回ったのだ。
その結果、なぜかスラムにいた兵士、どうやら将校レベルと思われる奴が、重要な情報を教えてくれたのだ。
『この先の工場施設の跡地の地下に労働スペースがあるんだ!!そこで他の地方から北部にきた他種族の連中を働かせてるんだよ!!た、頼むから殺さないでくれ!!』
非常に物分かりがよく、加えて俺の知りたいことを簡潔にまとめて教えてくれたので、要望通り殺さないでやった。喉を潰したのでもうしゃべることは出来ないけどな。
その情報をもとに調べに来た場所で見たのがこの光景というわけだ。ひと昔前、第2次世界大戦が行われていた際の捕虜の行く末。教科書でしか見たことのない状況が、今目の前に現実としてあったのだ。
◇
廃倉庫に戻るころには陽が落ちてからだいぶたっており、すでに辺りは夜闇に包まれる時間となっていた。
「二人は寝たのか?」
「はい。エリザさんの水魔法で体を洗ってあげて、しばらくしたらぐっすり眠っちゃいました。恭介さんがトレーラーハウスを置いていってくれたので、今はその中にいますよ」
戻った俺を出迎えたのはカナデ一人だった。どうやらエリザとスルトは姉妹と一緒にトレーラーハウスの中にいるらしい。なんだかんだ言いつつも、しっかり面倒を見ている辺りあの二人も姉妹のことを気にかけているのだろう。あれで伝説の魔物だというのだから、世の中わからないものだ。
「帰っておったのか?何か進展はあったかの?」
俺が帰って来た物音に気付いたのか、トレーラーハウスから静かにエリザとスルトが出てくる。開いた扉から少しだけ見えた中を見れば、エルフの姉妹がお互いに抱き合うような形で眠っているのが見える。
「この街の内情がようやく見えて来たぞ」
3人が揃ったところで、集めて来た情報を全て聞かせる。途中でカナデの短気が爆発しそうになることもあったが、トレーラーハウスの方をちらりと見て押しとどめてくれたようだ。あの姉妹、実は非常に役に立つのかもしれないな。
「今も昔も、やっていることは変わらんということか。神が嘆いたというのもあながち間違ってはいないのかもしれぬの」
『だから言っただろ!!来なかったお前が間違ってるって!!』
「儂が肯定したのは神の気持ちだけじゃ。やり方に納得はしておりやせんよ」
『屁理屈ばっかりいいやがって!!』
騒ぎはじめるスルトだが、やはりいつものように過剰に騒ぎ立てないのは、眠っている姉妹への配慮からなのだろう。やっぱりあの姉妹、連れて行ってもいいんじゃないだろうか。俺がそう思ってしまっても無理はないのかもしれなかった。
「それでどうします?その地下施設丸ごと焼きましょうか?そうすれば一気にリッチモンド伯爵の戦力ダウン間違いなしです!!」
「できればそうしたいのは山々だが、無理やり働らかされている奴らまで燃えちまうだろ?今のところそれは無しだ」
強制労働をさせられているのは紛れもなく被害者だ。中には罪による罰という者もいるのだろうが、それでも全てがそうだとはとてもじゃないが思えない。そう思えるほどの人数があの場所にはいたのだ。
「それに相変わらず目的が見えんな。方法や手段が見えても、詰まるところのリッチモンド伯爵とやらが何をしたいのかがわからん」
未だスルトに睨まれているエリザだが、どこ吹く風といった様子でそう告げてくる。
だがまさにその通り。相変わらずリッチモンド伯爵の目的が分からないのだ。突然性格が変わった。街を強化し始めた。対外工作に奔走し始めた。それら全ての手段はわかったのだが、その目的だけがどうしても見えてこない。
「こうなったらもう、直接聞くしかないだろ」
ここまでお互いに搦手でやりあってきたが、ついにリッチモンド伯爵は刺客という直接的な方法をとってきている。よほど俺達が気に入らないのか、はたまた切羽詰まってきてるのかは知らないが、それならこっちもいつまでも回りくどい手ばかりを使う必要はないのだ。
「リッチモンド伯爵が黒だってことは明らかなんだ。それにおあつらえ向きの舞台もあるしな」
そう言って俺が取り出したのは一枚の紙。これも先に話したとても親切な兵士がくれたものだ。
―北部地方定例会議
北部地方の有力者たちが一堂に会し、現状の北部地方の情勢や方針などを話しあうための場。外部から客を招く以上、中に侵入するのも容易と言えるだろう。
「いい加減リッチモンド伯爵に付き合うのも飽きたところだ。そろそろ終わりにするぞ」
決戦の場は北部定例会議。俺達がはじめて訪れた国で巻きおこる問題も、いよいよ大詰めを迎えようとしているのだった。
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