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無限転生の召喚士  作者: 阿澄龍之輔
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二章 1 港街リザール

また閑話をちょくちょく入れて行くかもしれません

閑話なんかより話を進めろって話ですけど・・

息抜き程度に見てください

「ようやく着いたか・・・」

「まさかこんなにかかるなんてね」

「素直に馬車もらっとけばよかったな」

【それでは旅の楽しみがないではないか】


レフィル達3人は多少疲労感を漂わせていたが朱姫は至って元気であった

本来なら馬車を貰えたのだが、朱姫が久しぶりの召喚に景色を眺めながらゆっくりと、と駄々を捏ねた為に徒歩だった


『夜営は楽しいよね』


狐太郎もすでに気絶から立ち直り元気である


【うむ、久しぶりに楽しめたぞ】

「あれが楽しいだって?」

「やはり武神様は浮世離れしているな。いや、コタローもか」

「一晩中ひたすら魔物を斬っていただけではないか・・・」

『思い出すなぁ、一週間師匠に結界を張られて魔物を順次投入された修行を・・』

「それは修行と言うのか・・・・」


狐太郎だけは微妙に遠い目をしているが・・

レフィル達が言うのは前日の夜営の話である

港町に着く前の最後の野宿だったので狐太郎が奮発して食材を取り出し調理したのだ

生モノが腐らない事に3人は驚いていたし料理も物凄く好評だったのだが、その匂いにつられて魔物が物凄く集まってきたのだ

まるで魔物寄せの匂いを撒いたかの如く


それからレフィル達はひたすら斬って斬って斬りまくる羽目になった

幸いだったのはそれほど強い魔物がいなかった事と、魔物の毛皮や牙を手に入れられた事で多少懐が暖かくなった事だろうか

寝不足になったのは言うまでもないが・・・

狐太郎なんかは食材が手に入って喜んでいたが


「港街に着いたら取り敢えず寝たい・・・」

「そうだな、さすがにこのまま動き回るのはキツいぞ」

「私もだ」

【なんじゃ、若いもんが徹夜の一週間や二週間軽くできないのか】

『朱姫、それは人間には難しいよ』

【奴は二、三週間は平気で起きてられたぞ】

『ごめん、師匠は別。比較対象が師匠は有り得ないよ』

【ーーな、なんだと・・?】



いい感じで世間の常識とズレている朱姫は大袈裟に驚いてみせる

そんなやりとりをしていると、街の入口にいる門兵が話しかけてきた


「ようこそリザールの港街へ。身分証を提示願えるだろうか」

【身分証だと?】

「冒険者カードでも大丈夫ですよ」

『あ、じゃあ持ってます』

「・・俺はお尋ね者になっているから見られたらマズイ」

【私は何も持ってないぞ】


5人は門兵に聞こえないようにコソコソ話す


「安心しろ。私がなんとかしよう」


まさかの2人が身分証がないと言うことだったがミレリアがドヤ顔で口を挟んできたと思ったらそのまま門兵へ何か見せながら話しかけている


「失礼しました。どうぞお通りください」

「うむ、気にするな。お主が職務をしっかりしているから街の安全が守られているのだ」

「恐縮です」


そんなやり取りがをしているミレリアを、レフィルらはポカンとした表情で見ている


「何をボケっと立っているのだ。許可は降りた、入るぞ」


言いながらスタスタ街へ入るミレリアに狐太郎達は慌てて付いていく

何故かヴァージルだけには門兵の厳しい視線が突き刺さった


「おい!何故か俺だけ門兵に物凄い目付きで睨まれたぞ。なんと言った?」


しばらく歩き、門兵が見えなくなった辺りでヴァージルはミレリアに質問する


「なに、とある国の国家転覆を図った重罪人を連行中とだけ」

「ーーな、なんだと?」

「ちなみにヴァイシュラヴァナ様はそのとある国の姫で、コタローは世話係。私とレフィルは護衛だ」

「あはは、まぁ似たようなもんだからいいんじゃない」

「馬鹿を言うな。これでは街中を歩けんではないか」

「ローブを被り素顔を隠すしかあるまい」


しれっと言うミレリアだがその口元には笑みが浮かぶ


「お前、まさか盗賊の時の仕返しか!?」

「ふふふ、さてな」

「ヴァージルの負けだね」

「くっ・・」

『せ、世話係・・』


ショックを受けてる狐太郎の肩を朱姫がポンと叩く

しかし表情は笑いをこらえていた

まぁ狐太郎は外見が子供なので、本当は特に咎められなかったとだけ記しておく


「それじゃあ、まずは宿に行こう」

「このくらい大きな港街だと宿もいくつかあると思うけど・・」

「さっき門兵からおすすめの宿を聞いといたぞ」

「抜け目ないな」

「褒め言葉と受け取っておこう」


そういいながらしばらく歩くと目当ての宿に到着した

アクアの恵み亭と書かれた建物は石造りのしっかりした二階建ての建物でなかなかの大きさである


【ほぅ、なかなか良さそうな宿ではないか】

「ヴァイシュラヴァナ様を粗末な宿に泊めるわけにはいきませんから」


ミレリアを先頭に建物へ入る一同

一階は受付兼食堂になっているようで、清潔感があり綺麗に整頓されていた


「へぇ」

『綺麗な宿だね』


レフィルと狐太郎は一階を見回しながら感嘆の声を上げる、と


「いらっしゃいませ。お泊まりのお客様ですか?」


受付から愛想の良さそうな男性が声を掛けてきた


「ああ、5人なのだが部屋は空いているだろうか?」

「はい、大丈夫です」

「それなら、3ーー」

「二部屋でいいだろう」

「そうだね。僕達男は一緒の部屋で構わないし、ミレリアには武神様がいてくれれば安心だ」

「わ、私がヴァイシュラヴァナ様と同部屋・・」


ミレリアが動揺したような声を上げると朱姫は少しばかり寂しそうな表情をする


【嫌なのか?】

「め、めっそうもございません。ただ、緊張してしまい・・」

【そこまで畏まる必要はない。ぞんざいな扱いは困るが、しばらくは旅の仲間なのだ。他人行儀な言葉はやめてほしい】

「し、しかし・・」

『朱姫の気持ちはわかるけど、急には無理だよ。少しずつ慣れればいいじゃん』

「それなら・・・」

【むぅ・・そんなもんか】


フォローに入った狐太郎の言葉にミレリアは助かったと内心ホッとし、逆に朱姫は口を尖らせる


「えっと、それでは二部屋でよろしいですか?」

『はい、それでお願いします』

「かしこまりました。それではこれが部屋の鍵でございます」


狐太郎は受付の人から201と202と書かれた鍵を受け取ると一つをミレリアにもう一つをレフィルに渡す


「僕らは少し休むけどコタロー君はどうするんだい?」

『少し街を探索していいですか?何か情報も得られればいいかなと』

【ふむ、狐太郎だけでは心配だ。私も一緒に行こう】


狐太郎の言葉に朱姫は考える素振りをしたのちそんな事を言う


『朱姫は屋台の食べ物が食べたいだけじゃないの?』

【な、馬鹿を言うな!断じて屋台の食べ物を制覇したいなどと思ってはいない】


真顔でキッパリ言い放った朱姫だが、狐太郎は朱姫の口元に僅かながら涎が垂れているのを見ていた


「それではお食事はどういたしますか?」


その微妙な沈黙を破ったのは受付の人だった


「うむ、頂きたい」

「ではご用意いたしましょう。夕刻の鐘が鳴ったらこちらの食堂に降りてきてください」

「わかった。それでは少し休ませてもらう。コタローも早めに休むのだぞ」


そう言うとミレリアは階段を上っていった


「それじゃ、僕らも休むよ。コタロー君後でね」

「トラブルを起こすなよ」


レフィルらも部屋に休みに行き受付は狐太郎と朱姫だけになる


『トラブルなんか起こさないよ。師匠じゃあるまいし・・』

【奴は常にトラブルの中心にいる男だ。そしてトラブルを引き起こす元凶、諸悪の根源だ。所謂問題児だな。狐太郎はその弟子だからな・・自覚を持つといい】

『酷い言いようだね。否定はしないけど・・あと、そんな自覚いらないから!あ、じゃあちょっと出てきますね』

「いってらっしゃいませ。食事がある夕刻までにはお戻りください」

【必ず戻ろうぞ。では行くぞ狐太郎】

『あ、ちょっと』


朱姫と狐太郎のやり取りを黙って聞いていた受付には賛辞を送りたい


街は港街とあって活気に溢れていた

そこかしこの食堂から色々な食べ物の匂いが辺りに流れている


【ふむ、屋台はあまり多くないな】


大通りに面した場所にはポツポツとしか屋台が並んでいない


『繁盛してないっぽいね』


見ればどの屋台も人が並んだ様子はない

大通りに人がたくさんいるにもかかわらずだ


【これは食堂に行った方がよさそうだ】

『うーん、そうだね。ってか宿の食事あるよ!』

【それはそれ、これはこれじゃ】

『ちょっと違うような気がするけど。あ、ちょっとイタタタタ』


朱姫に腕を引っ張られるように狐太郎は手近な食堂へ入った

食事の時間じゃないのか人はまばらでほとんどいない


「いらっしゃい。注文は?」


ウエイトレスのような人だろうか、中年の女性が注文を聞きに来た


【オススメの料理を二つ頂きたい。後はこっちには酒とーー】

『水を二つで』

「かしこまりました」


そそくさと下がるウエイトレスを尻目に朱姫は狐太郎をかるく睨む


【酒の1杯くらいよかろうが】

『ダメ。朱姫飲みだしたら止まらないでしょ。今の俺じゃ潰れた朱姫を背負えないよ』

【むぅ・・・・久しぶりの酒が・・】


まったくの正論に朱姫は再び口を尖らせる


『それにしても、大通りは人があんなに多いのに何で屋台が繁盛してないのかな』

「それはな、ほとんどが住人で今街に来る冒険者達が少ないからだ」


狐太郎の誰にともなく言った一言は、知らない声で返ってきた

ふと横を見ると隣のテーブルに座っている冒険者風の格好をした男がこちらを見つめている

どうやら彼が狐太郎の問に答えたようだった

しかし狐太郎は意味がわからず首をひねる

すると冒険者風の格好をした男はこちらのテーブルに寄ってきた


「おっと、自己紹介が先だな。俺の名はライアー。見てわかるとおり冒険者だ」

『狐太郎です。それで、さっきの言葉は?』

「わからねぇか。大通りを歩いているのはほとんど、私服姿の奴らだったろう?と言うことはこの街の住人って事だ。屋台なんてのは流れの旅人や冒険者達がいる場合のみ儲かる。街に住んでる住人は家があるから食事はいちいち外食する必要がないからな。せいぜいが小腹が空いた時くらいだろうよ。街にある食堂もそうだ。前は冒険者達で賑わっていたんだがな」

【何故冒険者が減ったのだ?】

「なんだ、あんたら知らないのかよ」

【何分久々に現世に来たものでな】

「?ーーまぁいいや。じゃあ教えてやるよ。この港からエルエリア大陸に行けるのは知ってるだろ?このリザールの港街はエルエリア大陸に稼ぎに行く冒険者で普段は常に賑わっているんだが、今はそのエルエリア大陸に魔王率いる魔王軍の魔族たちが向かっていると言う情報がギルドにはいってるんだ」

『なんだって!?』


いきなり大声を上げた狐太郎に店内にいるわずかな客たちの視線が集まる


「いきなりデカイ声だすなよ」

『あ、すいません・・』

「続けるぞ。んであっちの大陸にいた冒険者達はこっちに逃げてきたわけだ。この街にいる冒険者はほとんどエルエリア大陸から来た奴らだろうな」

【ライアーと言ったか。お主もエルエリア大陸から?】

「ああ、しばらくあっちで稼ぐ予定だったがほとんどとんぼ返りだ。いい迷惑だよ」

【魔族が向かう理由はわからんのか】

「さぁな。もしかしたらギルドは把握してるかもしれないが教えてくれないと思うぜ。最悪混乱を招くだけだからな。と言うことでエルエリア大陸に渡る命知らずな冒険者はいないから賑わってないのさ。いるのは稼ぎをつぶされて不貞腐れて貧乏でのんだくれている冒険者くらいだな」

【ふむ、ギルドか。狐太郎後で行ってみるぞ】

『そう言うと思ったよ』


その時丁度ウエイトレスが料理を持ってきた


【情報助かった。おい、この冒険者に酒をやってくれ。あとこっちにもーー】

『水追加で!』

【むむむ・・・】

「ははは、あんたら仲いいな。姉弟、には見えねぇな」

【無用な詮索は命を縮めるぞ】

「違いない。んじゃあっちに戻るわ。酒あんがとな。あ、」


冒険者風の男は置かれた料理に目を向ける


【ん?】

「あんたらそれ頼んだのか・・勇気あるな・・」

『どういう事?』

「まぁ食ってみればわかる。じゃあな」


言いながら冒険者風の男は隣のテーブルに戻っていった

それを見計らい朱姫は狐太郎に顔を近づける


【狐太郎、どう思う?】

『うーん、今世の情勢がわからないからなんとも。魔王は代替りしたのかな』

【私も最近の事はわからんが・・代替わりしたならほってはおけんな】

『そうだね』



【ふむ、取り敢えず飯が来たことだし、冷める前に食うか】

『そうだね』

【なかなかうまそうではないか】

『見た目は食欲そそるね』

【『いただきます』】


料理を口に運ぶ2人を隣のテーブルでチラ見している冒険者風の男は小さく呟く


「あー、あいつらあんなに一気に食ったら・・・」





【!?ブッフォ!】

『ーーゲホッゲホッ』


「あーあ、言わんこっちゃない」


言いながら冒険者風の男は運ばれてきたタダ酒を美味そうに飲み干すのだった





『ふぅ、散々な目にあったね・・・』


食堂を出た2人は手近な屋台で串焼きを買い、頬張っている


【まったくだ。あれが人気メニューだと!?人間の味覚はどうかしてる】

『まだ口や喉がヒリヒリしてるよ。寒い地方だから辛くて温まる料理が流行ってるのかな・・』

【馬鹿者、あれはヒトの食べ物ではない】

『慣れてくれば少しは食べれるけど全部は無理』

【正気か狐太郎】

『朱姫は辛いのダメなんだっけ?』

【多少はイケルがあれはダメだ。辛さしか伝わってこない】

『辛さの中に旨味があればいいのね』


そんな会話をしながら大通りを歩いていく


『冒険者ギルドも久しぶりだなー』

【ん?以前登録してなかったか?】



狐太郎の言葉に首を傾げる朱姫


『今世はついこないだ登録したばかりだよ。ちなみにまだFランク』

【なに!?】


ポシェットから取り出した冒険者カードをひったくるようにして狐太郎から受け取り、まじまじと見つめる


【魔力量だけ飛び抜けておるの。やはり今までの積み重ねなのだろうな。しかし・・】


冒険者カードを見ながらブツブツ呟く朱姫の表情は次第に苦虫を潰したような表情になる


【未だFランクなのは納得いかん!】

『ランク上げる暇なかったんだから仕方ないじゃん』

【落ち着いたらランク上げに行くぞ!】

『できればゆっくりしたいんだけど』

【私を召喚できる者がFランクなんて私の教示が許さん】

『そっちかよ』


冒険者カードを返してもらいながら狐太郎は疲れたように溜め息をつく


そんな会話をしているうちに、冒険者ギルドの建物に着いた



狐太郎は過去の師匠とのスパルタで数日は寝なくても大丈夫です

子供だからというわけじゃありません


次話は17日(日)の午前9時を予定しています

よろしくお願いします

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