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第0話 「ティザーストーリー」

本作は前作「竜剣聖伝 ─死の魔王と赤の聖女─」から二十数年後を舞台とした物語です。


ですが、前作を知らずとも楽しめるようになっています。


もちろん、前作を知っていればニヤリとする要素もありますので、気になった方はぜひ、前作もチェックしていただけると幸いです。

 どうしてこんなことになったのだろう…。

 考えても答えは出ない。


「ジュピター」


 長い銀髪の女剣士が、オレの腕を掴む。


「ジュピター様」


 金髪の小柄な少女が、正面から抱きついてくる。


「ジュピターくん」


 尖った耳と緑の瞳を持つお姉さんが、オレの肩に手を置く。


「ジュジュ~」


 妖艶な雰囲気と角を持つ女性が、背中から覗き込んできた。


 4人の美女に囲まれ、オレはひたすらうんざりするばかり。


 人によっては、羨ましいと思うかもしれない。

 しかしオレにとっては、少し煩わしいとしか思えない環境。


 オレには、やらねばならないことがある。

 オレには、探さないといけない人がいる。


 4人の美女たちの相手をしている場合ではないのだ。


 だというのに…


「ジュピター!」

「ジュピター様!」

「ジュピターくん!」

「ジュジュ!」


 4人はオレのことを離そうとしない。


 勘弁してくれ、オレは…オレは…


「オレは、母さんみたいな女の人がいいんだ!」


  ◇ ◇ ◇


 頭に走る痛みで目を覚ました。

 優しい朝の木漏れ日が目に入る。眩しさで上手く目が開けられない。


 そういえば、休憩と称して木陰で休んでいたのを思い出す。

 そのまま眠ってしまったらしい。


「いい加減、起きなさい」


 冷たい口調で言いながら、銀髪の女剣士が拳を作っている。どうやらオレは殴られて起こされたらしい。


「ジュピター様、大丈夫ですか?」


 心配そうに、金髪の少女が覗き込んでくる。ご丁寧に殴られた箇所を撫でてきた。


「あらあら、お寝坊さんね」


 コロコロという感じの笑い方をしながら、耳が尖ったお姉さんが見下ろしてくる。


「エッチな夢でも見てたのかしら、ジュジュ?」


 嘲笑うように、角を持つ女性がニヤついている。


 ほら、やっぱり煩わしい。


 女3人寄れば姦《かしま》しいという言葉があるが、3人どころか4人いるのである。騒がしくないわけがないのだ。


 騒がしい、騒がしいが…


「まったく…」


 この喧騒を、ほんのちょっぴり楽しく感じてる自分がいるのも、嘘ではない。


「よし…じゃあ、行くか!」


 大きく伸びをして、オレは歩き出した。

 その後を、4人の美女が追う。


「こら、勝手に行くな」

「待ってください、ジュピター様!」

「せっかちさんねぇ」

「アタシを置いて行くなんて、いい度胸ね」


 やがて4人は、歩きながらオレの周囲を取り囲む。


 魔王という脅威の去った平和な空の下、オレたちはその旅路をゆっくりと進んでいく。


 母さん…待っていてください。


 オレは必ず、父さんを探し出してみせます!


 ───────────────────────


「新・竜剣聖伝」


第一章は明日から毎日12時10分更新!

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