エピローグ
2023年11月5日(日)関西空港
「なあ、旗じい」
「なんじゃ?」
「昨日の宙子さんと巧司のいごっ荘での結婚式、すっごく良かったよなぁ」
「そうじゃのう」
「それなのにどうして旗じいと宙子さんが新婚旅行に行くんや!?」
「いや、新婚旅行じゃのうて取材旅行じゃ」
「そうですよクーさん私がお願いしたんですから」
「そうじゃ、こっちの嬢ちゃんがもともと報道志望じゃ言うもんじゃからのう。この世界もなかなか厳しくて実績のない者には簡単にはビザも降りんのじゃ。その点わしのような実績があるもんが一緒じゃと、それなりに簡単に許可が下りるんでのう」
「巧司はそれでええんか?宙子さん巧司じゃなくて旗じいと新婚旅行にいってまうよ」
「いいかと聞かれたら微妙ですがニートの僕が新婚旅行なんて連れて行けると思いますか?結婚式だってみんなのご厚意で挙げさせてもらいましたが、もともと入籍だけの予定でしたし」
「そうですよ、私が取材から返ってきたときに巧司がニートのままだったらクーさんのせいにしますからね。あの時も「巧司の事はお願い」って言いましたよね?」
「言われたけど、あたしは引き受けてはおらん!」
「それじゃ行ってきます。クーさんくれぐれも巧司の事よろしくお願いします。私は命の恩人ですよ。貸しはきっちり返してもらいますからね。あ、でも誑かしちゃダメですよ。もう、私の夫なんですからね。まあタンデムシートでツーリングに行くくらいは許してあげますわ」
「わかった。わかったから行ってきいや。くれぐれも気を付けるんやで」
「案ずるなわしが付いておる」
「それが、心配なんや、変なもんに憑かれるし、胸を張れる経歴やないやろ」
「それじゃ、半年後にお会いしましょう」
「では」
出国口へ向かう二人の背中を見送ると、空子は巧司に向き直った。
「さて、これから巧司はどうする?」
「旗じいさんが口きいてくれた雑誌社があるのでそこに行ってみようと思います。写真の才能が有るって旗じいさんが言ってくれたのでしばらく向き合ってみるつもりです」
「そっか、当面の目標が決まってるんやったらええわ。頑張るんやぞ」
「はい、半年後にまたみんなで会いましょう」
「嫌や、半年後は忙しい。5月は鮎釣り早期解禁やからな!」
こうして離れて行ったが今の時代は掌の中の小さな画面ではいつでも繋がれる。
「みんなにはいつでも会えるんやし離れ離れやないな」
「あーあ、腹減ったなぁ」
「今日は何喰う?」
Fin




