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寝取られ裏切られた最弱テイマー〜逆境を跳ね除け相棒のスライムと最強へ成り上がれ。許して?やり直して?絶対にイヤだね〜  作者: 月鈴
故郷の村編

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因縁の鎖を断ち切れ

 俺はスタンピードが起きている故郷に来て、元凶の魔物と対峙していた。その魔物は俺の左腕を食った、あの狼だった事が分かった。勇者ランドルフ達の悪ふざけが、故郷を破壊した事になる。

 その狼は俺の左腕を食って進化した、災害級魔物『ヘルハウンド』になっていた。


 因縁の敵である『ヘルハウンド』には、俺の今までの全てを持って倒してやる。強化魔法に身体強化スキルを重ね掛けして、さらに魔力を練って包んでいく。俺の独自に開発した、魔力強化技術『魔装』と名付けた。


 ヘルハウンドが飛び出す弾丸のように、高速スピードでそのまま俺に突っ込んできた。俺はそれを右に躱して、左足でヘルハウンドの腹を蹴り上げる。

 ヘルハウンドは口からヨダレを出しながら、上空に打ち上がる。

 俺はヘルハウンドの落下点に回り込んで、槍と剣を構える。


 落下してくるヘルハウンドと俺は、目が合った。この奇妙な関係も、コレで終わりだな。空中では、身動き取れないだろう。


「ある意味、お前さんには感謝している部分もあるんだぜ。俺が覚醒出来たのも、お前さんのおかけかもな。だから『愛してるぜ、サヨナラだ』クソヤロウ」


 身動き取れない『ヘルハウンド』に対して最後の攻撃をする為に、魔力を武器に集める『魔装』を武器に纏わせる。

 そこまでは気が付いていなかった。ヘルハウンドは奥の手を、隠していやがた。口から火炎放射器のような、獄炎を吹き出した。やべー、想定して無かったわ。ヤラれたな……俺の肩に乗っていたアオイが、


「キュイ……」


 アオイが迫りくる獄炎に対して、勢い良く水を噴射して守ってくれた。


「アオイ、ありがとうな。大好きだぜ」


 そうだ、俺は一人じゃなかったんだ。でも、おかげでヘルハウンドはガラ空きだぜ。


「これでお別れだ。奇妙な関係だったが俺達はお前を越えて先に進む。『武技:因縁の処刑人カルマ・エクスキューショナー』」


 魔力を乗せた、斬撃と刺突の混合技。『魔装』の状態でないと出せない、俺が開発した必殺技だ。

 これを武技と名付けた。冒険者としての切り札になるしね。なにより、必殺技に憧れる。


 ヘルハウンドは身体に無数のキズを負い、地面に着く前に絶命していた。

 俺は上を向いて、両方の拳を上に向けて吠えた……


「ヨッシャーーーー、やったーーーー」


 両方拳を突き上げたまま、後ろに倒れた。


「アハハ、自分の手で決着をつけられるとは、思わなかった。アハハ、すげー達成感だな。アハハ、グスン」


 あー、何か嬉しいのに悲しいな。笑いと涙が同時に、出るなんてな。これが俺になってからの、第一歩なんだと思うとな。

 横からミョ〜ンと触手が伸びて来て、俺の涙を拭ってくれた。


「ああ、サンキューな。アオイが相棒で良かったよ。俺に付き合ってくれて、ありがとうな」


 しばらくアオイと、喜びを分かち合った。

 俺達を照らしている太陽の光と熱がジリジリと肌を焦がすようで、心地良い風が吹く度にその熱を奪っていく。その加減が丁度良く、今の俺の心情と合致していた。


 ヘルハウンドが俺達に倒された時に他の狼型魔物は支配から脱出したかのように、我に返り先を争うように村の外へ逃げていった。

 さて……最初の因縁を断ち切る事が出来た。

 アオイに一旦、ヘルハウンドを収納して貰った。


 さてさて、もう一つの因縁も終わりにしないとね。

 そう、今日でこの故郷の村の存続を、終わらせないと。

 生存者が残っている村長宅へ、スタンピードの終息とボスの討伐を知らせに向かった。

 アオイの分裂体に、討伐した狼型魔物を回収してもらう。


「スタンピードは終了です。原因となっていたボスを、討伐しました。残った魔物は、散り散りになって逃走。もう、大丈夫だと思います」


 村人達は安堵した顔をして、命が助かった事を共に喜んでいる。中には泣き崩れる人などもいた。

 親しい人が犠牲になったりしたのだろうな。

 しかし、俺は無情にも告げなければならない。


「討伐した魔物は、ヘルハウンドという災害級の魔物てました。実はお伝えしとかないといけない事が、あります。アオイ、ここに出してくれて」


 ヘルハウンドの死体をみんなに見せる。最初は恐れて遠巻きに見ていた村人達は、ヘルハウンドが亡くなってるのを確認すると胸を撫で下ろす。

 中には恐れよりも憎しみの籠もった目で、見ていた村人も多い。

 それはそうだろうな。だからこそ、事実を教えてあげないとね。


「この魔物、最初は分からなかったのですが、戦っているうちに分かった事があります。この魔物は俺の左腕を食った魔物だったんです。そう、皆さんが有難かっていた勇者ランドルフによって、俺の左腕を食った魔物です」


 村人はギョとした顔をしていた。ただ、分かっていないみたいだ。


「分かりませんか? 勇者ランドルフによって、魔物は進化してしまった。俺の左腕が食べられる原因を作ったのは……現在、村が襲われているのに一番に逃げ出したのは? 皆さんの中には、大事な人や家や財産を失った人も多いでしょう? それは……村長一派や、ウチの両親や、勇者達のせいではないのですか? これが皆さんが有難かっていた『勇者』の正体ですよ」


 村人達は立つ気力が無くなったのか一人、また一人と座り込んでしまった。自分達が特別だと思っていた『勇者』が原因で村を破壊され、多くの犠牲者を生み出した本当の元凶だったからだ。




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