拠点確保
川の岸辺での戦闘。俺はグリーンウルフを相手に戦っている。
アイアンクラブとワイルドベアーを相手に数を減らしたグリーンウルフだが、それでも八匹とリーダーの計九匹。
素早さと連携に優れたグリーンウルフに、俺は防戦一方だ。
新しく得た疾走を使いながら、何とか避けられている。
「クソッ、リーダーはやっぱり頭がいいな。連携に隙がないが……こういうのは想定してるかな」
俺はグリーンウルフと相対しながら、疾走の使用を止めた。
俺のスピードはガクンと落ちる。グリーンウルフはそのスピードの緩急について来れず、足がもつれる。そこに木の棒で追撃を加える。
その変化に着いて来れず一匹、二匹、三匹とグリーンウルフは討ち取れたが……相手側もだんだんと対応してくる。
頭の良いリーダーだからな、こうなるのは分かっていたさ。だからね……もう一つのスキルはまだ見せて無いんだよーね。グリーンウルフを避けてからの……
『突進』発動。
グリーンウルフに対して距離を、瞬時に縮める。
またも、対応に遅れるグリーンウルフ。
一匹、二匹、三匹と討ち取る。
残ったのはグリーンウルフ二匹とリーダーのみ。
左腕を食われたのは狼型の魔物だったから、トラウマになってるかと思ってたけど……大丈夫そうだな。
「ふう、何とかここまで来たね……さて、次は」
グリーンウルフ二匹に向かって走り出す。
『疾走』発動……からの『突進』発動……
二段階のスピード変化。木の棒から伝わる衝撃と左腕に擬態したアオイの触手。二匹のグリーンウルフは、すれ違いざまに絶命した。
「残ったのはお前だけだな。サッサと逃げていれば良かったのに……」
俺はリーダーに向かって木の棒を構えた。
「グリルッ、グアアァァ」
リーダーは俺の真似をして通常のスピードから疾走を……元々がグリーンウルフのスキルだからね、こうなると思っていたさ。俺はグリーンウルフリーダーに飛びつかれるが、噛みつかれる寸前に木の棒をグリーンウルフリーダーの口に入れる。グリーンウルフリーダーは思い切り噛んで木の棒は折れるが……
魔法『ライト』発動……
目の前に突然現れる光の玉。木の棒をかみ砕いた後で、逃げ場もない。思い切り目が焼かれて、
「ギャ〜ン!」
地面に落ちる前にフトコロから、獲物解体用に買ったナイフを取り出して腹を刺してさらに……
「突進」発動……
グリーンウルフリーダーの腹に刺さったナイフに突進の勢いをプラスしてダメージを与える。
そのまま後ろにあった木にぶつかりナイフはさらに深く刺さった。
グリーンウルフリーダーは地面に倒れ込んだが……すぐに立ち上がった。それでもしばらくすると糸が切れたかのように、地面に崩れ落ちた。
「ふう、本気でヤバかったかも」
アオイの方も終わったみたいだね。俺達はワイルドベアーと、アイアンクラブと、グリーンウルフリーダーを倒したわけだ。でも……ワイルドベアーとアイアンクラブは毒で汚染されてるから、
「アオイ、ワイルドベアーとアイアンクラブと後はグリーンウルフリーダーを吸収しよう」
まずはワイルドベアーから……
〘剛力のスキル因子を確認しました。スキル蓄積に回ります。剛力1/3〙
次はアイアンクラブかな……
〘装甲強化のスキル因子を確認しました。スキル蓄積に回ります。装甲強化1/2〙
最後にグリーンウルフリーダー……
〘統率のスキル因子を確認しました。スキル蓄積に回ります。統率1/1〙
〘統率が規定値に達しました。統率が使用出来るようになりました〙
おお、統率かぁ。多分俺のスキルになっているのだろうな。そして、ウチの家業の牧場で多分重宝されるスキルだろうな。だからこそバレないようにしないとね。
さて、拠点に最適なのはやっぱり……あの丘の上かな。
今いる所からやや上流に見える丘。あそこなら川を見下ろす形だし、周りの木で見えないだろう。
まずは場所の確認をしないと。
アオイに散らばってるグリーンウルフを収納して貰い、丘を目指して進んでいく。この時は川の側を通らず、少し離れて歩く……疲れてるし魔物との遭遇戦なんか、やりたくないしね。
丘に着いた……うん、イイね〜。丘の登り口は身長位の高さなっているから、進入するのに苦労するだろう。しかも丘の上は周りに木が生えて、俺達の姿を隠してくれる。
その上、コチラからは高い丘の上から川を見下ろす形で良く見える。
「アオイ、ここでどうかな? 俺はかなり良いと思うけど……」
「キュイ、キュイ」
アオイもポヨンポヨンとその場で飛び跳ねて「さんせい〜」という気持ちが伝わってきた。
まぁ、まだお金が無いから、毛布一枚しかないんだけどね。アオイにレッドスライムになって貰って、温かくはなるからいいけどね……
あと数日間は俺とアオイのレベル上げと、資金調達の両方に重点を置いて行動しよう。
テント、ハンモック、寝袋、調理道具などほとんど無いから頑張って稼がないとね。
そうするとアオイの毒生成は、封印して狩りをしないとね。
だけど『安全第一』で……ヘルメットでも被ろうかな。持ってないけどね。
そのうちこの場所に家でも……なんかスローライフみたいで楽しいかも。一人だったら寂しくて仕方ないんだろうけど、俺は最高の相棒がいるからね。
アオイをそっと撫でてあげる。
「キュイ、キュイ、キュキュ」
アハハ、甘えても良いよだって。ん〜、ナマイキ。
でも、それがイイね。




