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貴方の為に、なれたなら。  作者: うたすけ
3/3

「…ここまで!?ここまでしか映ってないの?」

「はい」

「死んだときの前後っていってたじゃん!なんで!?」

「……申し訳ございません、こちらの不手際です」

「………」

看護師さんが、やっぱり無機質な声でそう告げる。

(やっぱり、あの二人は…)

「狩野様が突き飛ばした二人は、軽傷で済んでますよ」

「…え?」

「この事件、有名ですから記憶しているので。あの二人は今でもあなたに感謝しています」

「……そっか…」

知りたかったことがきけた。

「ありがとう、またあとで呼ぶよ」

それを聞いた看護師さんは黙ってお辞儀して部屋を出た。

「…………グスッ、ヒック…」

一人になった俺は、突然泣き出した。

「あの二人、生きてたんだ…初めて、人のためのことができたんだ…っ」

涙が止めどなく溢れ、世界がぼやけて見える。

普通の人から見たら、こいつはなに泣いているんだと思うかもしれない。

だが誠二にとって、このことは最初で最後の、人のために何かして、そして自分自身が感謝されることだったのだ。

暗く、狭く、汚く、寒い、閉ざされて一人だった彼の世界で、初めてのうれしい気持ちだったのだ。自分のした行いが、その人の人生を悲しみで塗りつぶすことにならなくなったことが、無性にうれしかったのだ。



看護師さんに渡されたボタンを押す。

彼女は一分もしないうちに部屋に入ってきた。

「決めたよ」

「…わかりました、それでは貴方のご要望をお聞かせください」

「俺は………」


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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