31、寝室でのあれこれ
さぁ、場所を移動して寝室です。もう!?と思われるかもしれませんが、いやはや、あのあとも大変だったんですよ。リサと宰相の攻防。あー言えばこう言うの押し問答。しかしさすが宰相。伊達にその地位にはいませんね。口が上手いし、達者なんですよ。もうリサは根負けでしたよ。最後なんてもう好きにしてという感じでしたもん。そうしてあれよあれよと寝室です。とてつもなく立派です。キングサイズのベッドといいますか、大人5人くらいは寝れそうなベッドです。そして天蓋付きです。さすが王宮という感じですね。立派すぎてどうしたらいいかわからないです。そんなベッドに小柄な少女が腰かけてます。そうリサです。ただでさえ小柄なのに恐怖と不安からか小さく丸まってるせいで余計に小さく見えます。
リサはすでに夜着姿です。侍女達によって湯あみさせられていました。熱心に洗われたことでしょう。そういえば湯あみの時にも一悶着ありましたよ。中々面白かったです。その様子を少し説明しましょうか。
-以下回想-
「それではリサ様。これから湯あみをしていただきますね。私どもがお手伝いいたしますのでこちらへどうぞ」
何人かの侍女とおもわれし同じ制服姿の女子が浴室へとリサを促します。ただそれには全力でリサが拒否します。
「いやいや、何いってるんですか!?お手伝いって、一人で入れますから!」
(小説で何度も見た異世界トリップのお約束の場面なんですけど!!ってかまさか自分が経験するなんて夢にも思ってなかったよ!そして実際自分がこの立場になると嫌すぎる!!手伝ってもらうとか何!?何されるのよ、私!!)
リサは嫌がりながら、一歩ずつ後ろに下がっていきます。それに対して侍女も負けじと迫ってきます。リーダー格と思わしき女性を先頭に。
「大丈夫とおっしゃいますが、リサ様。浴室の使い方、ご存じで?」
にっこりと笑顔で聞いてきます。素敵な笑みですね。恐さも微妙に含んでる気もしますが。
「浴室の使い方・・・」
その時リサの頭にある記憶がよみがえってきました。それはこの世界に来た初日、ダンテの家に入れてもらい、汚れていたので浴室に通された時の記憶です。優しいダンテの好意に甘えようと浴室に一歩踏み入れた途端、衝撃がリサを襲ったのです。全く使い方のわからない浴室だったのです。その後ダンテに「お風呂の入り方がわかりません」と泣きつくはめになったのは忘れたい黒歴史です。
そのことを思い出して若干顔が引きつりました。そしてそれを見逃す侍女ではありません。
「ですから、私どもがお手伝いいたしますと申しております。安心してください。同じ女同士ですし、リサ様が満足するほど、ピカピカに磨いて差し上げますから。行きましょう」
ガシッと両腕を侍女たちによって捕まれました。まるで犯人みたいです。そしてそのままズルズルと浴室まで連行されました。浴室から「ギャー」やら「そんなとこ触んないで」やら「いや、やめて・・」「そんなとこ見ないで!」などの騒がしい声が聞こえてきたのはその後の話です。
しばらくたった後、全身ピカピカ、可愛い夜着に身を包んだ顔が疲れ切ったリサが浴室から出てきました。
-回想終了-
こんな感じで浴室でのあれこれがあり、そこからどれくらいが経過したのでしょか。今現在は死人みたいに青い顔をしたリサがベッドにいるんです。心中穏やかではないんでしょうね、きっと。悶々としていることでしょう。
(ど、どうしよう・・・。なんか流れというか、勢いというか、若干丸め込まれた感じでここまできちゃったけど、冷静になってみるとこれってやばいよね。えっ、あたしここでホントに初対面の人に抱かれるの!?好きな人とか以前よね、これって。うそうそ!?そりゃあ宰相さんは既成事実作りたいだけだから、とりあえず一晩一緒に過ごしてくれればいいって言ってたけど、陛下もそれって了承しているわけ?ど、どうなんだろう。これって結構重要なことよね。もし、陛下はその気だったら、私今日頂かれるわけ?いやいや、無理、無理だから!!私そりゃあいい年だけど、こう見えても処女なんだから。初めては好きな人と。とかちゃんと思ってるんだよ。乙女みたいな思考かもだけど、やっぱこれって結構大事じゃん!やっぱ無理だよー!無理ー!!ど、どうしたらいいんだろう。あぁ、下町に、ダンテさんのお店に帰りたい。みんなに会いたいよ)
もういろんな思考、感情が入りすぎて、リサはパニック状態になってしまいました。まぁ無理もないでしょう。リサの大きな目からポロポロと涙がこぼれてきました。なんかとてつもなく可哀想な女の子が出来上がってしまったのですが。そんなリサに追い打ちをかけるような出来事が襲います。
リサのいる部屋に「コンコン」とノック音が響きます。
リサはびっくりして肩がはねます。そして入り口から湯あみを手伝ってくれた侍女の声が聞こえます。
「リサ様。陛下がいらっしゃいました。お通しいたしますね」
次回やっと陛下が登場します。ヒーロー遅い登場ですね。




