聖女の屋敷に住み着いた大悪魔の知り合いたち
やむを得ない事情がある大悪魔マレフィクスがフランシーヌの屋敷に住むのはよしとしよう。
だが、公平に見れば他の者がこの屋敷に住まねばならない理由などない。
筆頭大天使アンゲルス。
申告された理由。
大悪魔が人間界で悪さをしないようにすぐ近くで見張るため、この屋敷に住む。
評価。
そもそもこの世界で悪さをしているのはアンゲルス本人とその子分たち。
本当にこの世界から悪をなくそうと考えているのであれば、アンゲルスが配下の天使たちとともに天界に引き上げることが一番有効。
よって、却下。
次席大悪魔ディアボロス。
申告された理由。
筆頭大悪魔マレフィクスとの連絡を密にするため。
評価。
大悪魔には超高速伝令ともいえる使い魔ウンブラがいる。
それ以外にも連絡手段は数多くある。
つまり、ディアボロスがここに留まる理由はない。
当然却下。
クリューソス、ベルルッス。
天使でアンゲルスの妹であるクリューソス、女悪魔のベルルッスはともに自称マレフィクスの将来を誓い合った仲。
当然一緒に住むことに何も問題はない。
加えて、クリューソスはマレフィクスがフランシーヌと間違いが起きないように、ベルルッスはクリューソスがマレフィクスにおかしなことをしないかを見張る必要がある。
というのが理由。
だが、すべてが一方の妄想の産物なのでその前提が間違っている。
よって、却下。
全員がお帰り頂く案件。
と言いたいところなのだが、どの世界でもそうであるとおり、世の中正しさだけで物事は進まない。
それどころか、間違っていることのほうがなぜか堂々と道の真ん中を歩くことが多い。
力。
正しいかどうかではない。
勝者だけに明るい未来が開かれ、勝者が正義となるのだ。
この状況はまさにそれ。
ただし、この館の主フランシーヌは、いたっておおらか。
すべてを喜んで天使も悪魔も受け入れる。
もっとも悪の極みとされる大悪魔と行動をともにしている時点で、その許容範囲は無限に広がっていたのだが。
とにかく、そういうことで、人間世界の王族、王女の屋敷に、悪魔と天使がひとつの屋敷に同居するという奇妙な状況が始まることになった。




