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聖女のパンツを見た大悪魔は一生下僕にならなければならない最高の?呪いを受けた  作者: 田丸 彬禰


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12/17

辺境送りになる聖女に同行する大悪魔と大天使

「……今回の混乱した王都を鎮撫したフランシーヌに対し褒美を用意した」


その日、王城に呼び出されたフランシーヌに対し、父王エティエンヌ・ファンドリアーノはこう宣言する。


「宰相」


その言葉とともに父王は視線を隣に立つ宰相で侯爵の地位にあるジョウジョ・ブリアーノへと動かすと、宰相は一礼後、口を開く。


「フランシーヌ王女殿下に対し、王国の西部にあるガスコーニュ地方を領地として与えられます。また、その中心地ヴァンセンヌにある『秋風の離宮』が王女殿下の新たな居住地となります」


「そして、王女殿下は子爵位が与えられ、今後はフランシーヌ・ガスコーニュ女性子爵ということになります」


「そういうことだ」


「ガスコーニュ地方は確かに小さいが他国と国境を接していない比較的安全な場所だ。そして、なによりも王女が地方領主になるのは我が国の歴史上初めて。さらに言うのなら、フランシーヌは私の子の中で初めての領地を持った者」


「この名誉を裏切らないように領主の務めを果たせ」


むろん、父王の言葉は嘘ではない。

自身の王女はもちろん、王子たちの中でも領地を与えられた者はいない。

さらにいえば、王女が個人的に領地を与えられ領主となったなどというのはこの国始まって以来の出来事。


いわば快挙である。


フランシーヌの活躍を父王も認めたと言えなくもない。

だが、それと同時に領主となったことは別のことも意味する。

フランシーヌには新たにガスコーニュ姓を与えられたわけなのだが、それは王位継承権の優先順位の高いファンドリアーノ姓を失ったことを意味する。


これは各王子の後ろ盾となっている大貴族たちに泣きつかれた宰相ジョウジョ・ブリアーノの発案。


今回の一件で評判が上がった王女は王位継承レースの有力候補。

ただし、王位継承者は王子であるべきという意見には自分も同意する。

だから、どうにかして退場していただきたいという気持ちは皆の気持ちは理解している。

しかし、王女をただ辺境に追いやったのでは陛下や王子、さらにその後援者の評判が悪くなる。

相応の地位とそれにふさわしいものを与えたうえで王都から遠ざけるのが肝要。


そして、ブリアーノは計画をまとめ上げ王へ言上、動かしたというわけである。


むろん、その報酬は誰が王位に就こうが宰相の地位は動かさないというもの。


形式という点では完璧に整っている。

だが、見る者が見れば、その裏にあるものは透けて見える。


「これはすべて貴族どもの企み」


「……まったく貴族という生き物は度し難い」


「馬鹿が王になれば、国が弱体化し、周辺の国の食い物にされることがなぜわからんのだ」


「特に東側で接するアルシュノット・ペトロジェリカ王率いるアンドラゴラス王国はすでに北方の二か国を飲み込んで勢力を拡大している」


「いくら国土が二倍あると言っても現状では勝てる保証などないだろう」


透明化の魔法を使い、誰にも気づかれないようにその式典に参加していたマレフィクスが一気に言葉を吐き出すと、同じ魔法で使って参加していた、見た目上五歳ほど年長に見える男が小さく頷く。


「そうだな。しかも、アルシュノットには有能な弟ラドミールとカミルがいる。ラドミールは兄が大嫌いな内政で辣腕を振るい、カミルは暗殺や謀略などの汚れ仕事をおこなって『いくさ馬鹿』の兄を助けている」


「ということは、近いうちに侵攻を始めるのか?」

「王はすぐにでもそうしたいと思っているのだろうが、おそらくカミルが止めているのだろう」

「どういうことだ?」

「このラングリア王国はこの調子で王子たちの権力闘争に明け暮れる影響で黙っていても腐っていく。ここで兵を動かし、わざわざバラバラな国内の諸勢力が団結するきっかけをつくってやる必要などない。もう少し放置し立て直しができないところまで落ちるのを待つことだろう」


「もしかしたら、兄弟喧嘩を誘発するように動くかもしれない」


「それでどうする?マレフィクス」

「むろん、私はフランシーヌについていく。おまえこそどうするのだ?アンゲルス」

「むろん僕らは天使。悪魔が地方で悪さをしないよう見張る義務がある。当然王女に同行する」


「実際のところ、僕らはどの国が残り、どの国が消えるかどうかなどどうでもいいことだ」


「だから、この国がどうなろうと構わない。だけど、王女には世話になったのでその分の礼はする。アンドラゴラス軍が王女の領地に攻め込んできたら叩きのめす。むろん全力で」


アンゲルスのその言葉にマレフィクスは薄い笑みを浮かべる。


「天使の全力?そんなことをしたら、アンドラゴラス軍は全滅だ。そうなれば、食われるのは彼らの方ということになるだろうが」

「その頃には王女の兄弟たちは皆狩られている。そうなれば必然的に王女がこの国を統べることになる。悪くない未来だろう」


「そういうことで僕ら天使も大部分が王女と一緒にヴァンセンヌに行くことにしよう」


こうして、悪魔と天使は手を携えて王都を離れ、辺境の地ガスコーニュへと向かうことが決まった。



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