第20話:これから何をしようか
食事を終えて、満腹になる。結局、もも肉の茹でたやつを追加で注文して、お金は定食と合わせて銅貨30枚ということになった。いいお店を教えてくれたのでここは俺のおごりだ。
「さて、今後何をしていくかだが……ダンジョンへは一度向かってみたい。ダンジョンではどういう稼ぎができるんだい? 」
「では、まず説明を。ダンジョンでは、モンスターの死体が残らず消滅します。その代わり、モンスターの体内に存在する魔石が必ず落ちてきますので、それを冒険者ギルドに出すことで報酬を得られます。モンスターが強いほど魔石の質もいいものが落ちると考えてください。そして、ダンジョンの性質上奥に行けば行くほどいい収入になる、と考えてください」
「直接現金になる、ということか。血抜きしたり薬草を束にしたりしなくてもいい分だけ手軽ではあるな。魔石をそのまま売り買いできるってこともわかったし、ぜひ一度試してみたいな」
「でも、ダンジョンは危険だって聞いてますよ」
セルフィもダンジョンが危険なことはわかっているらしい。だが、セルフィは剣聖だ。俺が一人で立ち入ることはなかっただろうが、二人ならなんとかなるかもしれない。
「二人ならまあ、なんとかなるかな。浅いところで一日活動してみて、できるところまで深く潜ってみて、そこでどれだけ稼げるかを探ってみよう。高報酬の仕事は無理でも、ダンジョンで出来高払いという形ならなんとかなりそうだ。お弁当持って探索に出かけよう」
「お弁当ならリンカちゃんに頼めば、スープはともかくとして一食分なら作ってもらえると思いますよ。本当に軽いものですけど」
「空腹でダンジョンで彷徨うぐらいなら軽くてもそのほうがいいかな。ちなみに、冒険者ランクでダンジョンの階層が制限されてたりはないよね? 」
「ありますよ。ダンジョンによってはあからさまに力不足だということで、ダンジョンによっては入る際にチェックされて入場拒否されるダンジョンもあります」
ふむ、その辺はちゃんとしてるのか。冒険者ランクをちゃんと定めている意味はあるってことだな。
「じゃあ……Fランクでも入れるダンジョンが近くにあるかどうかを探さないといけないな」
「だとしたらパナメラのダンジョンが一番近いですね。町から片道30分ほどのところにあります。ダンジョンはコアを破壊しないようにメンテナンスされているダンジョンでもあります。いわゆる商用ダンジョンというやつですね」
「ダンジョンって、破壊しなくてもいいの? 」
「むしろ破壊すると困るんですよ。町から程よく近くて難易度が高くないダンジョンは、魔石の供給源として大切なのです。適切な量が常に管理されていれば、ダンジョンからモンスターがあふれ出すこともないですし。魔石は様々な錬金術や装備品のメンテナンスや魔法付与、属性付与なんかにも利用される汎用性の高い物なので、魔石の供給量が少ないと町の規模もある程度維持できなくなってくるんですよ」
「いろんなものに使えるのが魔石だということはわかった。一般的なところではどんなものに使われているんだろう? 」
「身近なところでは、料理する際のコンロの火種なんかにも使われていますね。後はお湯を沸かしたりで、魔石のお世話にはなっていると思いますよ」
こっちで言う電気みたいなものか。確かに供給源が近くにないと困るのは間違いないだろうな。そのまま話を聞いていると、Dランクぐらいまでのダンジョンが町の近くにあればこの規模であれば問題ないとのこと。
この国の王都の近くにも王都を支えるだけのダンジョン群が存在し、そちらでも冒険者の活躍はきちんと行えているらしく、王都で安全だからと言って食いっぱぐれる冒険者がいるわけではない、ということだ。
「ふーん、じゃあ地方住みと王都住みと、それぞれちゃんと住み分けができているってわけか。王都で活躍してるからすごい冒険者、というわけでもないんだな」
「そうですね。以前話したSSランク冒険者ぐらいになるとまた別になってきますが、基本的には自分の住む地方で生涯を終える冒険者も少なくないですね。冒険者の平均引退年齢は40歳、それまでに稼いだお金や身に付けた技能で食べていく人がほとんどですね」
身に付けた技能……剣術教えたりとか冒険者ギルドで働いたり……とかそういうのだろうか。もしかしたら今日解体場にいたおやっさんも元は冒険者だったりするのかもしれないな。
「大まかにはわかった。とりあえず明日はダンジョンだ。イアンちゃんはついてくるかい? それとも予定は既にあったり? 」
「そうですね。明日一日はお二人で活動してもらうことにしましょうか。いつまでも私がついていく……というわけにもいかないでしょうし、二人で活動することにも慣れていってくれないと困りますからね。私もちょっとお休みをもらってのんびりすることにしましょう。明日の夜、また銀の卵亭に顔を出しますので、その時にでもお話ししましょう。では、今日はごちそうさまでした」
そういうと豚は出荷亭を先に出るイアンちゃん。イアンちゃんのチュートリアルは今日までで一度終了、明日は自力で何とかしなきゃいけないということだな。
「よし、セルフィ。明日はダンジョンへ行こう。お弁当も作ってもらって、潜れるところまで潜っての一日ダンジョン修行だ。魔石がどれだけとれるかはわからないが、一日で稼げるだけ稼いでいこう。マジックバッグがあるから荷物の心配も要らないしな」
「はい! がんばりましょう! 」
「そうと決まれば帰って寝るぞ。明日のためにも今日の疲れは今日の内に取れるようにしておかないとな。それに夜はやることがない。帰って眠って、朝が来たら起きて、それからお仕事だ」
豚は出荷亭を後にして宿に戻り、部屋に帰る。部屋の大きい窓からは、昨日と同じか、昨日より少し欠けているように見える月明かりが窓から入り込んでいた。昨日よりも明るい。月明りに照らされ、セルフィの銀髪が輝く。綺麗だな。ますますどんな奴が彼女の父親だったのか気になるところだが……銀髪はおそらく母親由来のものだったんだろうな。
さあ、明日までひと眠りしよう。しっかり体を休ませるためにベッドに横になり、そのまま目をつむると、疲れた体に反応したのか、すぐに眠ることになった。さて、明日も仕事頑張るか……
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